名古屋市工業研究所

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研究報告

平成17年度研究報告

重点事業 (1テーマ)

事業名 バイオマス由来の新規環境適合材料の開発と応用
担当 [材料技術部]:平野幸治、飯田浩史、小田三都郎、武田卓也、石垣友三、岡本和明、林英樹、原田征、福田博行
[資源環境部]:高橋鉱次、村瀬由明、秋田重人、丹羽淳、吉田和敬、山口浩一、奥田英史、高木康雄、二村道也、桜井定人
補助事業名 公設工業試験研究所の設備拡充補助事業〈日本自転車振興会〉

1.目的

当地域で製造されている各種工業製品には多くのプラスチックが利用されているが、資源環境問題への対応から、再生産可能なバイオマス由来のプラスチック(バイオプラスチック)の利用が検討され、一部の自動車部品にも採用されている。しかし、工業製品としてバイオプラスチックを利用するには、素材の性能や成形加工上の問題があり、解決すべき課題が多い。本事業は、バイオプラスチックの利用促進に向け、成形材料の改善、成形加工技術、リサイクル技術の開発を行い、バイオプラスチックを利用した新製品の開発やバイオプラスチックを加工する中小企業の技術力の向上を目的とする。

2.内容

バイオプラスチックであるポリ乳酸(PLA)に対して、軟質系生分解性プラスチックのポリブチレンサクシネート(PBS)を、混合比率5〜20%で加えた。反応性相溶化剤としてリジントリイソシアネート(LTI)を混練時に添加した。混合比率を変えた種々のブレンド材から、射出成形により試験片を成形した。物性を評価するため、引張強さ、シャルピー衝撃強さ、メルトフローレート(MFR)、分子量分布を測定した。また相溶化状態について、試験片の破断面あるいは切削面を原子間力顕微鏡およびレーザー顕微鏡で観察を行った。バイオプラスチックのリサイクル技術の開発として、超臨界二酸化炭素を媒体とするPLAのメタノリシス反応と、高温高圧水を用いるPLAの加水分解について反応条件の検討を行った。

3.成果

相溶化剤(LTI)を加えずにブレンドした場合は、PBSを20%加えても耐衝撃性はほとんど変化しなかった。LTIを0.15%加えた場合は、PBS混合比率が10%でも耐衝撃性がABSと同等に向上し、MFRの急激な低下も見られなかった。相溶化剤の添加により耐衝撃性を改善でき、成形加工も容易なバイオプラスチック材料を開発することができた。また、PLAの分解については、生成物をNMR、LCなどで分析して確認した。今後、開発した成形材料を対象に分解を行う予定である。

4.設置機器

機器名称 型式・性能 製造所名 設置年月日
金型作製装置 モールドエクストリーム101 中部日本工業(株) H18.3.14
熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析装置 Clarus 500 GC/MS (株)パーキンエルマージャパン H18.3.17
流動特性解析装置 Rosand RH7­D マルバーンインストルメンツ社 H18.3.3
レーザー顕微鏡 OLS1200­NMSP1 オリンパス(株) H17.11.15
樹脂混練機 ラボプラストミル 4C150 (株)東洋精機製作所 H18.3.17
超臨界流体反応実験装置 SCF­NN型 日本分光(株) H18.3.22

主要研究および分担研究(コア技術16テーマ)○:主担当
コア技術名 1.機械診断における予知保全システム技術

主要研究題目 加工機械等の性能診断技術の確立
研究区分 指定
研究者 (生産技術部)○野呂重樹、藤井優、長谷川照夫、児島澄人、夏目勝之、松下聖一、山岡充昌、真鍋孝顯
研究概要 製造機械設備の保全において、事後では損害が甚大であり、定期保全では無駄となる場合がある。本研究は故障や寿命を判断するために、機械設備が発生する徴候を常時監視・収集し、収集した計測データの変化量を自己診断するシステムを検討する。そこで保全が求められる機械設備、および性能診断技術に係るシステムを検討した。その結果、工作機械利用者は、加工工具の管理が重要な課題であり、工具交換を切削のトータル時間と経験により、早めに行っており、可能ならば使用時間を延ばし、都合の良い時に交換したいと考えていた。私たちは診断事例として、基本的加工方法のボール盤によるドリル穴あけ加工を取り上げることにした。工具摩耗が間接的、かつ簡便な方法として、切削音の変化によって、診断できるか検討するため、加工性能、被削材、回転数、送り量、切削液などの条件で、実験データを重ね、診断技術の習熟を図る。

コア技術名 2.CAEを用いたシミュレーション技術

主要研究題目 部分軟化アルミニウム合金板の容器成形に関する研究(薄板製軽量部品の製造技術の開発及びシミュレーション技術)
研究区分 指定
研究者 (生産技術部)○西脇武志、黒部文仁、村田真伸、児島澄人
研究概要 角筒部品形状のプレス成形を対象にとりあげ、6061­T6アルミニウム合金板のプレス成形性改善を試みた。高温に加熱した加熱型を用いて、アルミニウム合金板を部分加熱し、急速冷却することで部分軟化したブランクを作製した。加熱型形状としては複数用意し、1)パンチ形状と対応する正方形形状に硬質部を残した部分軟化板、2)軟質部のダイへの流入が周方向で同時になるよう円形状に硬質部を残した部分軟化板、3)絞り変形の大きい角部のみ軟質にした部分軟化板を作製した。角筒成形試験では、いずれの部分軟化板でもT6板で見られた角部の壁破断が抑制され成形性が向上した。1)または3)において最も成形性が向上し、2)においては均一なT6板よりは成形性が向上したものの、直辺部での破断を生じて成形限界に達した。また、成型品の板厚測定を行ない、部分軟化領域の違いにより成形品の板厚分布が異なることが分かった。
分担研究題目 CAEによるプラスチック成形金型の設計支援(樹脂部品の金型製造技術の開発と射出成形シミュレーション)
研究者 (生産技術部)黒部文仁
研究概要 プラスチック金型およびプラスチック成形品の設計に関して、当所へ技術相談があった内容についてCAEの適用を試みた。CAEを用いることで金型内の現象を視覚的に把握することが可能となり、高品質の金型を短期に製造することが期待できる。また生産中の成形トラブルに適切に対処するための指針を与えることが可能である。中小企業への普及にはソフトウェアの低価格化とともに解析技術者の育成が必須である。
分担研究題目 軽量クラッド材料の成形とその後の機械的性質に関する研究(金属製品および樹脂製品の構造強度の評価技術)
研究者 (生産技術部)児島澄人
研究概要 自動車用材料では、省エネルギーの観点から、軽量化および表面の耐摩耗性などの改善が求められている。そのため、上記の課題を克服する手法として軽量クラッド材料の開発を検討した。耐摩耗性の高いセラミックス粒子を含むアルミニウム複合材料と、成形性の高い超塑性アルミニウム合金とを熱間圧延を利用して、そのクラッド材料の作製実験を行った。その結果、545℃で総圧下率50%の繰返し圧延をすることで、良好な接合ができた。また高温引張試験では剥離せずに200%を超える伸びが得られ、成形性にも期待ができた。

コア技術名 3.表面処理応用技術

主要研究題目 セラミックスコーティング膜の研究開発 (i)機能性セラミックスコーティング技術の開発 (ii)セラミックス微粒子分散新規複合めっき技術の開発
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (材料技術部)○小野さとみ(i)、柘植弘安、○松本宏紀(ii)、加藤雅章、西保夫
研究概要 (i) 本研究では金属表面に有機・無機ハイブリッドコーティングを行うことにより、ノンクロムコーティングとして用いることが可能な耐食性を有したコーティング技術を開発することを目的としている。今年度は、亜鉛めっきの防食に有効である以下の2種類の水系シリカ溶液を開発した。(1)シランカップリング剤を用いた系:エポキシ基、アミノ基およびビニル基を有する複数のシランカップリング剤とテトラアルコキシシランによるカルボン酸含有水溶液を調整した。これを用いて亜鉛めっき上をコーティングし、90℃で加熱処理して皮膜を作製した。得られた皮膜は、均一な表面状態で密着性が高く、また、塩水噴霧試験、72時間噴霧において、白錆発生が面積率で約10%以下の高耐食性を示した。(2)テトラエトキシシラン及びアルキルシランを用いた系:溶液調整において、水への溶解性が高いカルボン酸である、ギ酸、酢酸、プロピオン酸及び酪酸を用いて調整法を検討したところ、酢酸が最も適していることがわかった。また、溶液の組成が重要であり、テトラエトキシシラン:アルキルシラン:酢酸のモル比を最適化することにより3週間以上の安定性を示す水系シリカ溶液が調整できることがわかった。亜鉛めっき上に作製した皮膜の塩水噴霧試験において、72時間噴霧で白錆び発生無しの高耐食性を示すことがわかった。
(ii) 耐摩耗性をはじめとする機械的強度に優れたセラミックス分散めっきについて電解Ni­Pをマトリックスとしてめっき皮膜の作製を試みた。めっき液中の亜りん酸濃度を調節することにより、α−アルミナについて良好な分散状態の皮膜を作製することが可能になった。また、電解条件の変化による皮膜組成の変化及びその評価を検討中である。
主要研究題目 環境に優しい亜鉛めっきシステムの開発
研究区分 重点
研究者 (材料技術部)○三宅猛司、松本宏紀、加藤雅章、西保夫
研究概要 本研究では、めっき工程で用いられた水を排水として処理することなく再利用し、高性能な亜鉛めっき皮膜を作製する無排水処理亜鉛めっきシステムの開発を目指した。塩化亜鉛めっき液に適量の有機添加剤を加え最適なパルス条件下で電析を行うことで光沢を有する亜鉛めっき皮膜が得られた。さらに、3価クロム化成処理を行った後、塩水噴霧試験(SST)を行ったところ白色生成物発生に240h、赤錆発生に500h以上要したことから、従来の亜鉛めっき皮膜と同等以上の耐食性を有した。一方、無排水処理亜鉛めっきシステムを良好に稼動するために、常温で短時間に濃縮が可能な減圧濃縮装置を用いめっき液の濃縮を行い、システム全体の水容量を一定に保った。また、減圧濃縮装置から発生する蒸気を復水させることにより水洗水として再利用することができた。
主要研究題目 ニッケルめっき代替銅−スズ合金めっきの研究開発
研究区分 共同(愛知県鍍金工業組合)
研究者 (工業研究所)久米道之、(材料技術部)西保夫、三宅猛司、松本宏紀、○加藤雅章
研究概要 金属アレルギーを引き起こすニッケルめっきに替わる銅−スズ合金めっきの開発を目指した。銅−40wt%スズ合金めっき皮膜は銀白色で光沢外観を示し、高硬度で高耐食性を有する。とりわけ人工汗溶液に対する耐食性はニッケルめっきと比較して著しく高く、装飾めっきとして高いポテンシャルを有する。さらに開発浴は、主成分のトリポリリン酸ナトリウムをはじめとして、すべての添加剤が食品添加物に指定された試薬で構成されており、作業者や環境に安全なめっき浴であることを特長とする。以前から問題になっていためっき浴の安定性について検討した結果、金属塩の変更や浴安定化剤の添加により改善が見られた。

コア技術名 4.光触媒応用技術

主要研究題目 チタニア架橋粘土光触媒の合成プロセスおよび高機能化技術の検討
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○大岡千洋、西保夫
研究概要 チタニア架橋粘土光触媒を有機材料へ複合化した場合の有機材料の劣化について検討した。チタニア架橋粘土光触媒をフリーズドライ乾燥した粉末をポリ乳酸樹脂に混練、成形した樹脂試験片を作成した。樹脂試験片の屋外暴露試験を実施したところ、チタニア架橋粘土光触媒を混練した試験片の表面は、電子顕微鏡による観察においてもほとんど劣化が観察されなかった。一方、市販の酸化チタン光触媒粉末を同様に混練した樹脂試験片では、屋外暴露により目視においても大きな表面荒れが観察された。また樹脂試験片を用いて空気中のVOCを光触媒反応で除去する性能評価試験を行ったところ、チタニア架橋粘土光触媒を混練した試 験片は市販酸化チタン光触媒粉末を混練した試験片より、遙かに少ない樹脂への混合率で高光触媒性能を発揮した。したがって樹脂に複合化するための光触媒材料としてチタニア架橋粘土は、市販酸化チタン光触媒粉末よりも適していると結論できる。

コア技術名 5.生分解性プラスチック技術

主要研究題目 バイオマス由来の環境適応材料の開発と応用
研究区分 重点
研究者 (材料技術部)○飯田浩史、小田三都郎、武田卓也、石垣友三、岡本和明、林英樹、原田征、福田博行、
(資源環境部)二村道也
研究概要 ポリ乳酸(PLA)およびポリカプロラクトン(PLC)の相溶化を反応性相溶化剤リジントリイソシアネート(LTI)を加え、二軸押出機で行った。得られたコンポジットを射出成形機で物性試験片に加工し、耐衝撃強度を測定した。その結果、耐衝撃強度をABS並みに向上させることができた。このコンポジットは、溶融粘度が高く射出成形時に高い圧力が必要であったため、PLCのかわりに他の軟質系生分解性樹脂であるポリブチレンサクシネート(PBS)を使用し た。PBSを使用することで、衝撃強度を保ったまま、溶融粘度の増加を防げることを見いだした。本研究の成果により、バイオマス由来のポリ乳酸材料の応用がさらに広がることが期待できる。
主要研究題目 機能性添加剤を目指した材料開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○林英樹、原田征、飯田浩史、平野幸治
研究概要 π共役ポリマーの樹脂への高分子系着色剤としての応用を考え、様々な色のポリマーを得ることを目的とした新規フェナザシリン含有ポリマーの合成を行った。フェナザシリン系ポリマーへのオリゴチオフェンユニットの導入の場合、フェナザシリン:チオフェンを1:0から1:1、1:3と変化させるに従い、その吸収極大波長が約360nmから、400nm、430nmと長波長側にシフトし、それに伴って色調が白色から黄色、赤色へと変えることができた。その一方で、芳香族ユニットとして、分子内CT錯体の生成による色調変化の期待できるピリジンユニットの導入を行ったところ、橙色のポリマーが得られた。これらのことから、フェナザシリン系ポリマーを用いたπ共役ポリマー着色剤の色数を豊富にする方法論を確立し、樹脂への高分子系着色剤の用途拡大を可能にした。
分担研究題目 ナノコンポジット技術による生分解性高分子材料の高機能化
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)岡本和明
研究概要 ポリブチレンサクシネートとモンモリロナイト系有機化クレイのナノコンポジットを調整し、難燃性および射出速度を20−200mm/secの間で変えた場合の引張特性の変化について検討を行った。難燃性ではクレイの添加により燃焼速度が低下し、さらに、ドリップの発生と燃焼時の形状変化を抑制することができた。また、リン系難燃剤を併用することにより、さらに燃焼を抑えることができた。射出速度と引張特性との間には特に相関は見られず、ほとんど同程度の引張強度と降伏伸びを示した。同じナノコンポジットを、より樹脂速度の遅い手動射出成形機で成形した場合には降伏伸びを示さないことから、20mm/sec未満の極めて遅い速度でクレイの配向などに変化が起こると考えられる。

コア技術名 6.吸水・吸油材料技術

主要研究題目 吸水・吸油材料の開発と応用
研究区分 指定
研究者 (資源環境部)○中野万敬、伊藤清治、朝日真澄、山中基資
研究概要 吸水・吸油材料は、紙、炭、シリカなどの吸着タイプとゲル状物質である膨潤タイプに分けることができる。本研究では、液体を多量に吸収することができる後者に注目し、さまざまな油分を固化することができる高性能低分子ゲル化剤の開発を行った。水分や添加剤の影響を受けにくいような安定性の高いゲルを得るため、パーフルオロ基を有するゲル化剤を合成し、そのゲル化能を調査した。合成した含フッ素ジエステル化合物は、メタノールやエタノールをはじめとするアルコール類から化粧品などで使用されるシリコンオイルやスクワランなどさまざまな油分を10g/L以下という低い添加濃度でゲル化させることができた。さら に、得られたゲルを水とともに3ヶ月以上室温で放置してもゲル状態に変化は見られなかった。
分担研究題目 バイオマス由来の環境循環型材料を使用した合成紙の研究
研究者 (資源環境部)○高木康雄、朝日真澄、山中基資、(生産技術部)山岡充昌
研究概要 合成紙の基材として、ポリ乳酸/微生物合成プラスチック、およびポリ乳酸/植物系天然物誘導体からなるポリ乳酸ブレンドポリマーを検討した。これらのブレンドポリマーはすべて環境循環型材料からなるため、生分解が期待でき、環境中の二酸化炭素削減も期待できる。試作により、透明で弾性に富んだサンプルが得られたので、延伸処理をおこない、表面のミクロ形状、および物性の検討をおこなった。

コア技術名 7.廃棄物の再資源化と環境対応技術

主要研究題目 プラスチックの熱分解を利用したリサイクル技術に関する検討
研究区分 指定
研究者 (資源環境部)○山口浩一、木下武彦、秋田重人
研究概要 本研究では、廃棄物処理プロセスの低コスト化ならびに省エネルギー化を狙い、無機系の廃棄物とプラスチックの混合物を穏和な温度条件において熱処理し、プラスチックを熱分解させることを利用した有価物の回収法について検討した。Znを高濃度で含む廃タイヤ焼却飛灰(TFA)とポリ塩化ビニル(PVC)の混合物を200℃程度で熱処理したところ、PVCの熱分解により生成したHClがTFAに効率よく吸収され、熱処理後の試料からは水浸出によりZnを高効率 かつ高選択制を持って回収できることを明らかにしてきた。TFAとPVCの混合比、熱処理の時間や温度をパラメータとしてプロセスのさらなる効率向上に取り組んだ結果、PVCの分解率>95%、Znの回収率>90%を達成できた。PVCの熱分解により副生する炭素残渣の有効利用が今後の課題である。
主要研究題目 超臨界流体の利用によるバイオプラスチックのリサイクル技術の開発
研究区分 重点
研究者 (資源環境部)○高橋鉱次、村瀬由明、秋田重人、丹羽淳、吉田和敬、山口浩一、高木康雄、奥田英史、桜井定人
研究概要 石油系プラスチック材料の代替として今後需要が増加すると予想されている代表的なバイオプラスチックであるポリ乳酸(PLA)について、資源および環境面の観点から、PLAの製造原料(モノマー)としてリサイクルすることを目的として、そのケミカルリサイクル技術の開発を検討する。PLA単体では実用面で種々の問題があり、実際の成形品には各種添加剤の使用や他種ポリマーとのブレンドが想定され、このような成形材料を対象にリサイクルを検討する。今年度は、超臨界二酸化炭素を媒体として炭酸カリウムなどの触媒存在下、PLAをメタノールとともに加熱するメタノリシス反応と、高温高圧水を用いてPLAを加水分解する方法について検討し、分解物をNMR、LCなどで分析し生成物の確認を行った。今後、実際の成形材料を対象に分解を行う予定である。
分担研究題目 固液流動層を用いたプラスチックの分別
研究者 (資源環境部)○秋田重人、山口浩一、高橋鉱次、福田博行
研究概要 流動層湿式比重分別法によるプラスチック混合物の分別を検討した。ガラスカラムに比重1.0以上の樹脂混合物を充填し、下方より所定流量で通水して充填層を流動化状態とした。樹脂サンプルは比重差に従って成層化し、各層は適当な高さに位置する取り出し口から順次回収して高精度な分別を達成した。サイズ分布が大きい粉砕品サンプルでは分離効率の低下が認められた。また、本法を金属と樹脂の混合物へと適用し、その分別可能性を検討した。

コア技術名 8.画像応用技術

主要研究題目 移動型画像計測システム
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○黒宮明、渡部謹二
研究概要 カメラを移動させながら広範囲に位置や形状を計測するシステムについて研究する。本年度は、回転(旋回、上下)移動するカメラ雲台を試作し、広範囲な画像入力と指定した点の位置計測を行う方法について実験と評価を行った。具体的にはズームしながら計測点が画像中心となるよう旋回角度を変化させること、向かい合う2台のカメラにおける共通の座標軸を設定することを確認し、この座標軸によって、画像で指定した点の位置を計算できた。また、計測点をズームしながら画面の中央になるよう追尾する方法、他方のカメラの視線を計算すること、ビデオ画像を入力したとき、カメラ前方を遮る障害物の識別の方法などについて調 べた。
分担研究題目 ビデオ信号処理に関する研究
研究者 (電子情報部)渡部謹二
研究概要 高速、安定な動画像処理を用いる際、コンピュータを用いるのではコスト、形状の大きさ、消費電力から現実的でないケースが多くある。それらをクリアする選択肢の一つとしてPLD(プログラム可能なロジックデバイス)の導入がある。本研究はPLDを用いた電子回路で動画像処理を実現するための研究である。本年度は開発環境、周辺回路(AD/DA変換器、DSP)に関して調査を行い実験回路の試作評価を行った。
分担研究題目 画像情報を用いた移動ロボット制御システムに関する研究
研究者 (電子情報部)○井谷久博、梶田欣
研究概要 ロボットによる作業を容易に実現することを目的として、画像情報を用いた移動ロボット制御システムの構築を行った。人間は通路を移動するロボットに対して大域的に状況を判断し、教示を与える。ロボットはこのとき得られた入出力データをもとにシンプルな行動ルールをファジィクラスタリングにより獲得する。このシンプルなルールからBoostingアルゴリズムを用いてより高度な(精度の高い)行動ルールを獲得できるシステムを構築した。
分担研究題目 画像情報を用いた栄養量算定支援システムに関する研究
研究者 (電子情報部)青木猛
研究概要 生活習慣病の予防・治療においては栄養管理・食事指導が重要である。現在もっとも一般的に行われている食事調査法は、栄養士が食事栄養量の算定を希望する人と直接面接して前日の食事内容を聞き取る24時間思い出し法や、食事内容の記載されたメモを見ながら栄養量の算定を行う食事歴法などがある。しかし、いずれの方法でも栄養に関する専門知識をもつ熟練した栄養士が多くの時間を費やさなければならない。そのため、一般の人が頻繁に食事の栄養量を算定してもらい、その結果を食生活にフィードバックするのは実際上、不可能である。この問題を解決するため、本研究は、画像情報を用いた食事栄養量算定支援システムの 構築を目的としている。本年度は、栄養量算定希望者の食事栄養量算定とその結果の食生活へのフィードバックループに栄養士の栄養量算定精度判定機能を付加したWeb食事栄養量算定システムの基本設計を行った。

コア技術名 9.ユビキタス・IT対応技術

主要研究題目 ユビキタスIT対応型デバイス、デバイス製造・設計技術、計測技術の開発
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○小島雅彦、竹内満、山田範明、伊藤治彦、宮田康史、白川輝幸、小田究
研究概要 ユビキタスITに対応した関連の設計技術や計測技術を確立するため、(1)GHz帯電磁ノイズ対策技術の確立、(2)ユビキタスセンサネットワークを意識した計測用デバイス(環境計測用酸素センサ、道路面上の水溶液濃度測定装置)の開発、(3)プラズマプロセスを用いた自律型ナノ加工装置の開発に取り組む。GHz帯ノイズ対策については、IECで検討中の「ノイズ抑制シートに関する試験法IEC62333­2(CVD)」に基づく評価装置の作製を行い、各種電波吸収シートの性能評価を行った。さらに電波吸収シートを用いた電子機器の不要輻射対策技術について検討を行った。熱容量が少なく低消費電力で小型であるユビキタスIT対応のプレーナ型のガスセンサを設計した。道路面上の塩分濃度をマイクロ波照射によって非接触で検出する計測システムを構築し、理論計算値と計測値が良好に一致する結果を得ることができた。安価で小型なユビキタスITデバイス製造監視システム構築のため、新規のアーク放電を利用したラジカル測定用小型光源を提案し、その特性を測定した。
主要研究題目 組み込みOSの試験と検証
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○小川清、斎藤直希、渡部謹二、小島雅彦
(機械金属部)真鍋孝顯
研究概要 ISO/IECの国際規格であるPOSIXおよびSQuaREの対応関係を作成し、ドイツにおける世界ソフトウェア品質会議でシステムの調達における納入試験及び受入試験の枠組みを提案した。POSIXの規格を審議しているISO / IEC JTC1 SC22及びSQuaREの規格を審議しているSC7において、これらの枠組みを有効に生かした試験と検証の規格を提案できるように必要な試験の事例を作成中である。

コア技術名 10.燃料電池技術

主要研究題目 燃料電池の材料開発および燃料電池実用化技術の開発
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (電子情報部)○宮田康史、岩間由希、高橋文明
研究概要 地球環境問題への対応や都市の環境改善、省エネルギーを目的に燃料電池の基盤技術要素である電解質や電極触媒の研究開発として、高効率発電・長寿命・燃料多様化を可能とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発を産業総合研究所と共同研究として実施した。今年度は中温域において高い触媒反応活性を有する電極触媒材料としてセリア、ジルコニアとニッケルのコンポジット電極を検討し、高い電極性能を確認した。また、多孔化材と高温焼成プロセスの開発により水素以外のバイオガスなど多様な燃料を用いる際に必要となる多孔化電極を実現した。また、企業と共同で固体高分子形燃料電池(PEFC)の電極−膜複合体の開発を行いメタノールなど液体燃料で発電可能な電池の開発を行うと共に、携帯に適する燃料電池システムの開発に着手した。

コア技術名 11.金属材料の破損調査とその利用技術

主要研究題目 金属材料の破損・不良調査事例のデータベース化
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○内藤寛、山崎実、松井則男、橋井光弥、毛利猛、川尻鉱二
研究概要 中小企業からの金属材料の破損やその他の不良調査依頼に対して、今後もより的確・迅速に応えられる体制を維持あるいは強化していくために、過去の調査事例を活用できるデータベースを構築することを目標としている。まず成績書のコピーで保存されている過去の調査事例をA4サイズのファイルに綴じ込むことで順次整理し、各事例には、データベース作製に必要なID記号番号を「西暦年+記号+番号」の様に1件ごとに付けることとした。データベースの設計は、データ入力画面の作成が比較的容易なことや複数のデータを関連づけてより便利なデータとして扱えることなどからアクセスを選択した。任意の成績書からデータベースの入力項目・内容の洗い出しを行うとともに、データ入力画面の試作検討を行った。今後はデータベースの設計をさらに進め、順次データの入力を行っていく予定である。
分担研究題目 粉末冶金法によるFeAl材料の開発
研究者 (生産技術部)橋井光弥
研究概要 持続可能社会のための材料開発の一環として、原料資源の豊富さと無毒性で優位にあるFeAl金属間化合物材料の製造プロセス開発を行っている。未還元の水アトマイズFe粉末(表面を酸化皮膜が覆っている)をAl粉末と共にメカニカルアロインング処理した後に固化成形した。このプロセス中に「(Fe+Fe酸化物)+Al→FeAl+Al203」固相反応を起こさせ、Al2O3超微細分散FeAl金属間化合物材料を得た。本材料は、600℃で耐熱ステンレス SUH661の3.4倍、870℃で1.5倍の強度(耐力)を示した。
分担研究題目 リサイクル性に優れたステンレス基複合材料の開発
研究者 (生産技術部)松井則男
研究概要 ステンレス鋼の強化相となるσ相を作製した。Fe粉末、Cr粉末およびσ相の生成を促進するためのSi粉末をFe­48at%Cr+4wt%Si組成に秤量後、遊星型ボールミルを用いて180ks間のMA処理と、このMA粉末を973Kで72ks間保持する熱処理を行った。得られた粉末をX線回折装置で分析した結果、σ相を示すσ­FeCrのピークが観察された。この粉末を50wt%添加したSUS410L粉末を、放電プラズマ焼結機を用いて1173Kで300s間保持して作製した焼結体は約1030HVの硬度を示した。

コア技術名 12.化学分析・化学計測技術

主要研究題目 泡沫分離法に関する研究開発
研究区分 指定
研究者 (材料技術部)○木下武彦、石垣友三
(資源環境部)山口浩一
研究概要 貴金属および有害重金属などの湿式分離法は、近年の環境に対する配慮から有機溶媒などを使用しない方法への転換が望まれている。ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤は金に対して高い親和性を示す。本研究では、この界面活性剤を用いた分離法の一つとして泡沫分離法を取り上げ、これまでに得られた結果を基に、より効率的な装置開発の検討を行った。従来法では、泡沫相において同伴水中の非対象物の除去が不充分であり、また泡沫表面の吸着量は操作条件に殆ど依存せず、回収物の選択制や回収率の向上に限界がある。これらの点を踏まえ、溶液を泡沫相中に直接導入して性能向上を図る新機手法を提案した。水溶性色素を用いた実験では同伴水の排水効果が目視確認できた。また、金および銅を含むプリント基板の王水浸出液にも同手法を適用し、金の選択性の向上を確認した。本手法は、非常に簡便な操作による高い効果が期待できる。
分担研究題目 環境対応型新材料および有害微量成分の分析評価技術の開発
研究者 (材料化学部)○酒井光生、大橋芳明、野々部恵美子
研究概要 1.環境対応型材料の分析法の開発
ビスマス−セレン系青銅中のセレンに適用可能なジアミノベンジジン吸光光度法について検討した。その結果、分解方法やマスキング方法を最適化することにより、セレンの揮散や、スズ・ビスマスによる妨害などの問題点が解決された方法を確立することができた。また、セレンは銅の定量を妨害するため、その分離法についても確立した。
2.微量有害成分の定量技術の開発
鉄系材料中のトランプ元素など微量成分の高温炉原子吸光法による定量法を検討した。Pd(NO3)2、Mg(NO3)2を化学修飾剤として用い、Cd、Crなど14元素の定量性を検討した結果、Cd、Al、Znは0.2μg/g程度、Co、Cr、Cu、Pb、Mnについては2μg/g程度の含有量までの定量が可能であることが分かった。
3.蛍光X線分析法における分析値の正確さの検討
少数の標準物質に高純度試薬や原子吸光用標準溶液を添加して作製したガラスビードを検量線用試料とし、FP法による理論共存成分補正係数を求めて補正検量線を作成する手法で、イットリア安定化ジルコニアなどの酸化物試料を簡便にかつ正確に分析する方法を確立した。また、軽元素や微量成分の測定を可能とする手法も確立した。

コア技術名 13.熱・音響・振動計測による材料・製品の評価技術

主要研究題目 熱・温度に関する材料物性評価、熱設計技術
研究区分 指定、団体共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○高橋文明、小田究、梶田欣、竹内満
研究概要 製品開発における熱対問題に対して、シミュレーションによる熱設計技術を活用することによって、開発期間の短縮及び開発コストの削減を図るため、以下の内容を実施した。
【指定研究】自然空冷による放熱促進手法の開発ならびに、薄膜材料に対応した熱物性評価技術の開発を行い、熱設計技術への応用を図った。
【共同研究】シミュレーションモデルの簡略化によって、モデル作成の省力化及び計算時間の短縮化を図るとともに、実機を使った実測との比較から簡略化モデルの有効性を検証した。
分担研究題目 低騒音化に関する音響振動技術の研究
研究者 (生産技術部)○山内健慈、近藤広文
(電子情報部)奥村陽三
研究概要 材料遮音特性の簡易評価法確立のため、遮音特性評価に使用する簡易遮音BOXの音響特性について、精密に把握することを試みた。遮音BOX底部のスピーカにより上部開口面から放射される音を、音圧レベルおよび音響インテンシティにより測定し、さらに境界要素法を用いて、遮音BOX近傍の音場の可視化を行った。音響特性を従来よりも精密に把握することができ、また特定周波数帯域での音響インテンシティベクトルの様子が、他の帯域とは異なることが分かった。

コア技術名 14.電子機器の信頼性評価と環境対応技術

主要研究題目 電子機器の高信頼性化に関する研究
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○青木猛、井谷久博、白川輝幸、竹内満、小島雅彦、山田範明、林幸裕、伊藤治彦、奥村陽三
研究概要 電子機器の信頼性を向上するため、効果的な信頼性評価システムを構築し、さらに故障解析と対策技術の確立を行うことを目的としている。本研究では以下の内容を実施した。
(1)信頼性評価技術の確立:様々な温度や湿度の環境に振動を組み合わせた複合環境での効果的な信頼性評価方法を確立するため、恒温槽付き振動試験装置を用いた評価システムの構築を行った。また、はんだ接合部のフィレット形状が接続信頼性に及ぼす影響を検討するための実験準備、プリント基板・はんだ導体抵抗評価システムの導入準備を行った。
(2)対策技術の確立:鉛フリーはんだ対応電子部品のすずめっき表面からウィスカが発生し、短絡事故の可能性がある。そこで、ウィスカの試験方法を確立し、短絡不具合の可能性を検証した。また、高速伝送プリント基板の電磁ノイズ対策技術の確立を目指し、マイクロストリップラインを試作して伝送線路の特性を明らかにした。

コア技術名 15.高強度マグネシウム合金の創製技術

主要研究題目 金属強化マグネシウム合金複合材料の創製
研究区分 指定
研究者 (生産技術部)○毛利猛、山岡充昌
研究概要 構造用材料としてのマグネシウム合金は現状では強度や剛性の低さが問題点として挙げられる。一方で、添加元素の多い高強度合金では特長の一つである制振性は損なわれてしまうため、できるだけ合金元素を少なくする必要がある。しかし、合金元素が少ないと機械的性質が低くなってしまう。そこで、マグネシウムを他の金属で強化することによって、マグネシウムの持つ高い制振性とリサイクル性を保ちながらも、強度・剛性を向上させた新しいマグネシウム材料の開発を目指している。純マグネシウムと金属粒子を撹拌法により複合化したところ、マグネシウムと反応しないTi粒子、Zr粒子、Nb粒子は比重差により沈降し分散状態はあまり良くなかったが、マグネシウムと反応するNi粒子、Cu粒子では金属間化合物がほぼ均一に分散した材料が得られた。

コア技術名 16.製品の長寿命化技術

主要研究題目 製品の長寿命化技術(最適設計のための微小部ひずみ測定技術の開発)
研究区分 指定
研究者 (資源環境部)○二村道也、増尾嘉彦
(材料技術部)平野幸治、林英樹
研究概要 従来技術では測定困難な破壊起点やき裂先端などの微小部ひずみを正確に測定するため、顕微ラマン分光法を用いたひずみ測定技術の応用開発に取り組んでいる。ラマン分光法を用いたひずみ測定技術は、現状では測定対象に要件があり、ラマン活性でない金属や配向性の低いプラスチックには適用できない。そこで、本研究ではラマン分光法によりひずみ測定可能なコーティング膜を開発し、各種材料のひずみ測定に利用することを目的として、本年度はポリジアセチレン化合物のひずみセンサとしての可能性を検討した。開発材料をアラミド繊維にコーティングし、繊維を引張りながらラマンスペクトルを測定した結果、ひずみ感受部 であるC≡Cのピーク波数は、繊維との接着がはく離しない限り、ひずみと線形関係があることが認められた。今後、ひずみ測定時の追従性や安定性の向上を目的に、開発材料をベースに接着性や成膜性の改善に取り組む。
分担研究題目 軟質材における動的弾性率による耐熱性の評価および損失正接による振動減衰率の評価(複合材の力学特性)
研究者 (機械金属部)足立廣正
(生産技術部)長谷川照夫
研究概要 6種類のマイクロセルポリウレタンフォームについて、圧縮モードによる動的粘弾性測定により動的弾性率の時間変化を測定して短時間な測定からの耐熱性評価について検討した。その結果、動的弾性率の時間変化において動的弾性率が50%低下する時間をtとしたlog tと絶対温度の逆数とは直線関係にあることがわかった。log tと絶対温度の逆数との関係式より耐久時間を設定して温度を求めることにより耐熱性の評価ができる。
分担研究題目 機能性炭素材料を含有した複合材料に関する研究
研究者 (資源環境部)○吉村圭二郎、中野万敬
研究概要

研究結果

炭素材料を含有した樹脂複合材は、変形に伴い電気的特性が変化するため触覚センサーとして利用できる。しかし、これらには精度や疲労特性の面で課題がある。当研究ではコイル形状のカーボンマイクロコイル(CMC)や直線形状のVGCF等、特異な形状を持つ新しい炭素材料を含有した複合材の特性について検討した。両端に電極となる銅版を接着した10mm×10mm×10mmの複合材を作製し、引張・圧縮の変形を加えた際の電気抵抗の変化を測定した。CMCを含有した複合材はVGCFと比較し、変形に伴う電気抵抗の変化が大きく現れた。また引張と比較し、圧縮変形した場合により大きく電気抵抗が変化した。交流の場合では、変形に伴うインピーダンスの変化は低周波において大きく現れた。

分担研究題目 等方性軟質材料緩衝材による製品の衝撃緩和技術の確立
研究者 (資源環境部)○奥田崇之
(生産技術部)西脇武志
研究概要 製品の衝撃による破壊を防ぎ長期間使用するためには、製品を保護する緩衝材を用いることが必要不可欠である。本研究では、製品に対して最適な緩衝材の選択が行えることを目的とし、初年度の研究として市販の緩衝材に直接エネルギーを与えその衝撃緩和能について検討した。材質の異なる緩衝材について、接触面積を変えながら一定の衝撃エネルギーを与えていくと、それぞれの緩衝材には最も効果的な衝撃緩和能を発揮する接触面積が存在していた。

大学共同研究(2テーマ)

研究題目 インクリメンタル成形による板金部品の金型レス加工(岐阜大学)
研究者 (生産技術部)村田真伸
研究概要 本研究では製造過程における試作工程の短期化を目指し、金型レスで薄板部品の試作品を作成することができるインクリメンタル成形技術を岐阜大学と共同で開発し技術導入を行った。インクリメンタル成形とは従来から職人によって行われていたへら加工を自動化したもので、薄板に工具を押し当てて自由形状に仕上げる成形法であり、短期間少量試作に向くという特徴がある。本年度はNCコードに対応した薄板のインクリメンタル成形機を開発し、半球や角錐などの三次元形状を成形することに成功した。また、半球形状に対しては形状精度や板厚分布に及ぼす工具経路の影響を調査し、通常のプレス成形品との違いを比較検討した。また、数値解析では動的陽解有限要素解析を援用することで、インクリメンタル成形の成形過程をシミュレートできることを明らかにした。
研究題目 イオン液体の開発と応用(名古屋大学)
研究者 (材料技術部)石垣友三
研究概要 カチオン種としてアミンの四級塩ではなく、金属カチオンを有するイオン液体を実現するため、高度に構造制御されたオリゴエーテル構造を有するスルホン酸のリチウム塩を合成した。これらの塩はいずれも室温で流動性を有し、分子量の大きいものほど粘性が低く、テトラヒドロフラン、クロロホルムといった比較的極性の低い溶媒にも可溶であった。サイクリックボルタンメトリー測定から、これらの塩は電極上でリチウムの解離析出を起こしにくいことがわかった。また、交流インピーダンス法でイオン導電率を見積もったところ、20℃で10­7S/cmオーダーであった。この塩にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを20重量%添加したところ導電率が100倍以上向上した。
研究題目 CMCを含有した複合材の触覚センサーへの応用に関する研究(岐阜大学)
研究者 (資源環境部)吉村圭二郎
研究概要 カーボンマイクロコイル(CMC)は1990年に発見された直径がμmオーダーのコイル状炭素繊維である。CMCは、バネ性を有し、変形に伴い電気的特性が変化するため、これを含有した複合材は軽量で柔軟性に富み、優れた疲労特性を持つ触覚センサーとして利用できる可能性がある。本研究ではCMC/シリコン樹脂複合材を作製し、変形に伴う電気的特性の変化を調べた。両端に電極となる銅板を接着した10 mm×10 mm×10 mmの複合材を作製し、引張・圧縮の変形を加えた際の電気抵抗の変化を測定した。CMCを含有した複合材はVGCFと比較し、変形に伴う電気抵抗の変化が大きく現れた。また、引張と比較し、圧縮変形した場合により大きく電気抵抗が変化した。交流の場合では、変形に伴うインピーダンスの変化は低周波において大きく現れた。
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