名古屋市工業研究所

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研究報告

平成22年度研究報告

重点事業 (1テーマ)

事業名 CAEを活用した樹脂部品の設計技術の開発
担当 [機械金属部]:村田真伸、奥田崇之、西脇武志、黒部文仁、足立廣正、加藤峰夫、内藤 寛
[材料化学部]:飯田浩史、岡本和明、原田征、二村道也、伊藤清治
補助事業名 公設工業試験研究所の設備拡充補助事業〈(財)JKA〉

1.目的

自動車車体軽量化のため自動車のさまざまな部品において金属材料から軽量な樹脂材料への材料転換が積極的に検討されている。そのため、コンピュータによるシミュレーション技術(CAE)を活用して試作以前に樹脂成形部品の機械的強度を予測したいという要望は非常に高い。しかしながら、樹脂材料は金属材料に比べて構造解析に関する材料物性データベースの構築や解析材料モデルの基礎的な検証などが十分なされていないこともあり、金属材料ほど構造系のCAEが活用されていないのが現状である。本研究では、樹脂材料に対する構造解析技術を開発して樹脂部品の効率的な設計手法を確立することが目的である。特に自動車開発においては自動車衝突時の安全性の評価が必須であるため、樹脂の衝突解析まで見据えた開発を行う。開発した技術を自動車関連企業の多い当地域の中小企業へ技術展開することで、これまでの「下請け生産型」から「設計提案型」への体質改善を促し、中小企業の開発競争力強化にも寄与する。

2.内容

樹脂材料は“引張り”や“圧縮”などの変形モードや変形する速度によってもその強度(降伏応力)が大きく左右される。そのため、樹脂部品の強度をCAEで予測するためには、これらの因子が樹脂材料の強度にどれほどの影響を及ぼすのかの基礎的な検討が必要である。本研究では、導入した高速引張り試験機と衝撃圧縮試験機を活用して、樹脂材料の変形モードの依存性(静水圧依存性)や変形速度の依存性(ひずみ速度依存性)を考慮した各種の材料試験を行い、CAEに必要とされる材料物性を取得する。得られた材料物性からCAE用のデータへ変換・入力して強度解析を実施し、試作実験と比較することでCAEの予測精度を検証する。研究の最終段階では樹脂製の衝撃吸収部品を想定した模擬開発を行い、中小企業がCAE導入する際に参考となるようなモデルケース事例を作成するとともに、CAEによる設計効率化の効果を検証する。

3.成果

本年度は準静的な試験速度で樹脂射出成形試験片の引張試験を行い、CAEで使用する樹脂材料の機械的物性値を取得した。樹脂材料は引張試験において試験片にネッキングが発生するため、引張試験の結果(公称応力­公称ひずみ関係)をそのままCAE用の材料物性値(相当塑性ひずみ­相当塑性応力関係)に変換することはできない。そこでネッキング時の断面積をノギスで実測することで、高ひずみ領域の相当塑性ひずみ相当塑性応力との関係を推定した。推定した材料物性値を使って樹脂試験片の4点曲げ解析を行い、シミュレーション精度の検証を行った。

4.設置機器

機器名称 型式・性能 製造所名 設置年月日
高速引張り試験機 HITS­­T10 (株)島津製作所 H23.3.18
衝撃圧縮試験機 IM10T­­20HV IMATEK社 H23.3.4

重点研究、共同研究および指定研究(コア技術15テーマ)○:主担当
コア技術名 1.機械診断における予知保全システム技術

研究題目 機械診断を補助する簡易予知保全システムの開発
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○松下聖一、山岡充昌、真鍋孝顯、深谷聡、児島澄人
研究概要

1.目的

中小企業では、高価な導入コストや診断技術を習熟した作業者の確保が難しいため、予知保全技術の導入は遅れている。そこで、作業者の機械診断を補助し、異常や故障など過負荷が予測されるときに、部品交換や操業条件の変更などを指示できる、簡易型予知保全システムの構築を目指す。

2.内容

本研究で目指す簡易型予知保全システム構築のためには、設備診断技術のよりいっそうの高度化を図ることが必要である。そのために、音源位置の探査技術についての検討やホワイトノイズの低減方法、Wavelet変換など、特に音についての診断技術の検討を行った。

3.考察

リアルタイムでの音源位置の方向取得技術、およびWavelet変換によるノイズ低減技術により、簡易型予知保全システムの改良を行った。これにより、設備診断の精度が向上し、企業の生産効率向上の助けとなることが期待される。

コア技術名 2.金属材料の利用技術および不良等原因解析

研究題目 セラミックスの耐熱部品および耐磨耗部品への応用に関する研究
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (機械金属部)○山田博行、橋井光弥、本田直子、山田隆志、内藤寛
研究概要

1.目的

熱衝撃への耐性に優れ且つ切削加工が容易な絶縁セラミックスであるh­­BN系材料を、従来法よりも大幅に低環境負荷・低コストで製造する技術を確立する。そして、熱処理・金属溶解炉の構成部品としての利用を計る。

2.内容

高酸素h­­BN粉末と長石を混合することで、大気中・無加圧・1200℃で焼結できた。なお、従来のh­­BN系材料焼結では、窒素雰囲気・加圧・2000℃以上を必要とする。本年度は、原料配合比率と焼結体強度の関係を検討し、h­­BN:長石=6:4(vol%)で最大強度を得た。

3.考察

長石がh­­BN粉末表面を覆うことでh­­BNの酸化・消失が抑制され、大気中焼結を実現できた。しかしながら、長石配合比率が最適値よりも小さい場合は、h­­BNを長石が覆いきれずにh­­BN酸化・減量が多くなったことが原因で、焼結体強度が低下したと考えられる。

コア技術名 3.マグネシウムを主とした軽量金属材料の利用技術

研究題目 マグネシウム合金板材の高機能化と成形に関する研究
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○毛利猛、山岡充昌、山崎実、川尻鉱二、松井則男
研究概要

1.目的

マグネシウム部品の競争力を高めるために、コスト面や機能面などの付加価値が必要となる。本研究では、板材の成形と成形体へのマグネシウムポーラス金属の充填を利用した軽量で比強度・比剛性の高いマグネシウム部材の開発をおこない、マグネシウム合金の特長を活かした実用品への応用を目指す。

2.内容

Al量が3wt%,9wt%および12wt%で、Caを1wt%添加したAZ系マグネシウム合金で、プリカーサ法にて種々の加熱条件でポーラス金属の作製を行った。どの加熱条件でも作製できたが、合金種や条件によって膨張率が異なっていた。また、パイプ内へのポーラス金属の充填も可能であった。

3.考察

ポーラス金属の発泡形態の違いは、それぞれの合金の溶融開始温度の違いによることがわかった。発泡開始まで連続昇温をすると、発泡開始温度は、12wt%Al,9wt%Al,3wt%Al含有合金の順となり、合金の溶融開始温度の低い順であった。そのため、より低温で発泡する12wt%Al含有合金で最も膨張率が高かった。

コア技術名 4.CAEを用いたシミュレーション技術

研究題目 CAEを活用した樹脂部品の設計技術の開発
研究区分 重点
研究概要 重点事業のとおり

コア技術名 5.表面処理応用技術

研究題目 めっき皮膜の熱加工性向上技術の開発
研究区分 重点
研究者 (材料化学部)○加藤雅章、三宅猛司、松本宏紀、柘植弘安、浅野成宏、橋鉱次、小野さとみ、安田良
研究概要

1.目的

めっき部品のろう付けなど熱加工処理に伴ってめっき膨れ等の不良が発生して問題となっている。本研究は、熱加工処理等に伴う金属/金属界面構造変化の評価技術を確立し、膨れや剥離などの欠陥発生との関連性を検討して、膨れ発生のメカニズムの解明と対策技術の確立を目的とする。

2.内容

鉄鋼上ニッケルめっき製品のろう付けに伴う膨れ発生について検討した。種々の条件で作製したニッケルめっき皮膜について熱処理を行い、不良発生条件を調査した。単層、二層ともに通常の条件で作製しためっき皮膜では膨れは発生せず、光沢剤を過剰に添加した場合にのみ発生した。

3.考察

めっき皮膜の膨れ(剥離)は初期のめっきと基材の界面で発生していなかった。膨れが発生した深さ領域では多数のボイドが発生と粗大な合金結晶粒の粒界の形成、および合金組成の不連続変化が確認された。熱拡散によるカーケンドール効果と結晶の粗大化により結晶粒界に不連続界面が発生し、膨れになったものと推測される。

研究題目 チタン金属上へのめっき技術の開発
研究区分 共同(愛知県鍍金工業組合)
研究者 (材料化学部)○三宅猛司、加藤雅章、松本宏紀、浅野成宏、橋鉱次
研究概要

1.目的

チタン金属は表面上に強固な酸化膜が形成されており、この酸化膜がめっき密着性に大きな影響を及ぼすことが知られている。一般に、フッ酸溶液を用いて酸化膜を除去されるが、本研究では、フッ酸を用いることなく、優れた密着性を有するめっき技術の開発を目指した。

2.内容

チタン合金であるTi­6Al­4Vを材料として用い、10M硫酸浴液に浸漬後、ニッケルめっきを施した。密着性向上を図る目的で素材とニッケルめっきの間にインサート層として銀めっきを行うと同時に密着性に及ぼす熱処理の影響について検討した。

3.考察

密着性は、銀めっきであるインサート層を行い、さらに650℃以上の熱処理を行うことで著しく向上し、素材とめっき膜界面で剥離することはなかった。その原因は、素材とめっき層界面においてニッケルとチタンの金属間化合物を形成したためであり、熱処理温度600℃以下では金属間化合物の形成が乏しかったために密着強度2MPa以下であった。

コア技術名 6.光触媒応用技術

研究題目 光触媒材料の開発および製品への応用
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○岸川允幸、川瀬聡、小野さとみ
研究概要

1.目的

当所で開発したチタニア架橋粘土光触媒は、既に室内VOC対策用光触媒コーティング液として利用、販売されている。本研究では室内VOC対策に焦点を絞り、更に高性能な光触媒材料を開発することを目的とする。

2.内容

アニオン交換性能を持つ層状複水酸化物に代えた酸化チタン/ハイドロタルサイト複合体(HT­Ti)を合成し、その物性評価を行った。触媒性能が発現すると予想される条件も検討した。また、HT­Tiに白金あるいはタングステン元素を担持することで触媒の高性能化を測った。VOC分解反応への適性を調べるため、アセトアルデヒド、トルエンの光触媒分解反応を測定した。

3.考察

層間に充分結晶化した酸化チタンが導入された、表面親水性のチタニア架橋層状複水酸化物光触媒が作製できた。光触媒活性について、親水性対称物質の分解反応が進行し、HT­Tiへ遷移金属元素を担持すると、触媒性能が更に向上した。担持された元素が反応の活性部位になると考えられる。

研究題目 光触媒による護岸の防汚実証研究
研究区分 指定(特)
研究者 (材料化学部)○小野さとみ、岸川允幸、川瀬聡、柘植弘安、安田良
研究概要

1.目的

名古屋市の堀川護岸に多く見られる黒ずみは著しく景観を損なっている。そこで、酸化チタンを用いたセルフクリーニング機能により、このような黒ずみを防ぐことが可能であるかどうかについて調べた。

2.内容

2枚のコンクリート板表面に様々な光触媒施工し、堀川の川岸で、1枚を満潮時に完全に水没する下段に、もう1枚を水に浸ることのない上段に設置した。防汚の評価は目視観察と試料の上部・中部・下部での汚れ具合を色差の経時変化で判断した。120日間試験を行った結果、3試料において、水に浸ることのない上段の試料では色差の経時変化がなく、完全に水没する下段の試料の最も汚れ易い下部で、明らかに色差の経時変化量が小さく防汚効果を示した。

3.考察

光触媒機能を利用して、このような水辺での防汚効果を発揮させるためには、表面全体には汚れを水で洗い落としやすい親水性よりも、水の汚れがつきにくい撥水性を付与し、付着してしまった少量の汚れを光触媒の有機物分解反応により分解することが最も効果的であると考えられる。

コア技術名 7.化学分析・化学計測技術

研究題目 環境調和型材料の分析評価技術における課題解決および新規分析法の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○大橋芳明、野々部恵美子、柴田信行、小野さとみ
研究概要

1.目的

本研究では、鉛フリーはんだなど環境規制の強化に伴って登場してきた新材料中の主要成分および微量成分の新規分析法を開発し、社内標準試料の値付けや品質管理分析などに適用して、中小企業などにおける製品の品質向上を支援することを目的としている。

2.内容

1.環境対応型Sn­Ag­Cu系鉛フリーはんだのICP発光法による分析操作をマニュアル化、2.環境対応型鉛レス青銅のICP発光法による分析操作をマニュアル化、3.リートベルト法によるアモルファス相を含めた酸化チタン参照触媒の結晶相の定量分析方法をマニュアル化、について検討した。

3.考察

1.鉛フリーはんだでは硝酸分解の沈殿を保温ろ過することで正確な銀の定量が可能、2.鉛レス青銅では1種類の試料溶液で希釈倍率ごとに内部標準元素を変更することにより含有量の大きく異なる成分をすべて測定可能、3.酸化チタンではリートベルト法により13種類の試料についてアモルファス相を含む結晶相の高精度かつ正確な定量分析が可能、であることが分かった。

コア技術名 8.プラスチック技術

研究題目 X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化
研究区分 重点
研究者 (材料化学部)○飯田浩史、小田三都郎、石垣友三、二村道也、岡本和明、林英樹、原田征、伊藤清治、安田良
(機械金属部)足立廣正、村田真伸、加藤峰夫
研究概要

1.目的

低炭素社会への要望として、自動車や電化製品にバイオプラスチック(BP)の採用が進められている。しかしながら、BPは成形後のひけやそりが大きく、寸法精度が低い。そこで、X線CTでBP成形後の寸法や欠陥を3次元で測定し、「デジタルものづくり」の方法で高品位化を検討する。

2.内容

BPとしてポリ乳酸アロイのCAE解析に必要なヤング率およびポアッソン比を測定した。反応性相容化したアロイの成形品位の評価についてX線CTを用いて寸法検査を行い、CADデータからの寸法誤差や公差などの値を求めた。また、CAEとして流動解析を行い解析後の寸法の評価を行った。

3.考察

アロイの成形体をX線CTで測定し汎用データとすることで、設計のCADデータおよびCAEデータとの比較について、「デジタルものづくり」の方法で検討した。測定精度を高めることでデータを1画素単位で解析することができ定量性の把握に成功したので、品位の向上に寄与できる。

研究題目 光・電子・イオン機能を有する新規高分子材料の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○林英樹、石垣友三、山中基資
研究概要

1.目的

電子デバイスの構成材料として有機系高分子材料を用いた場合、真空蒸着装置等の高価な機器を用いなくても塗布等による簡便な方法での膜形成が可能となるため、製品の製造コストの軽減が期待できる。そこで、本研究では、有機デバイスを目指した新規材料の開発を行う。

2.内容

前年度に合成したモデル化合物の評価結果に基づき、モデル化合物を組み込んだポリマー材料の合成を行い、合成した化合物の特性評価を行った。

3.考察

a.電子機能材料に関して:合成したポリマーは汎用の有機溶媒に高い溶解性を示した。このポリマーを用いたトランジスタはp­型特性を示すことがわかった。
b.イオン機能性材料に関して:脂肪族オリゴエーテルデンドロン化合物に架橋剤を加えることによりゲルが生成した。このゲルはオリゴエーテル鎖の導入によりオリゴエーテル鎖を持たないゲルと比較して導電率が向上した。

コア技術名 9.製品の長寿命化技術

研究題目 最適設計のための微小部ひずみ測定技術の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○二村道也、林英樹
(参事)三宅卓志
研究概要

1.目的

製品の破壊は、応力が集中または不均一となる形状急変部や接着部が起点となるため、最適設計にはこれら箇所のひずみを正確に把握することが必要である。しかし、従来技術ではこのような微小部のひずみ測定が困難なため、顕微ラマン分光を用いた新しいひずみ測定技術を開発する。

2.内容

顕微ラマン分光を用いたひずみ測定技術は、ラマン不活性な金属や低配向のプラスチックに適用できないため、@コーティング型ひずみセンサ材料の開発、Aひずみセンサによる微小部ひずみの測定、以上の2つの課題に取り組んだ。

3.考察

従来の加熱型材料に加え、コーティング時に加熱が不要な非加熱型材料について検討し、ひずみ感度の高い非加熱型コーティング材料を開発した。また、これらを使用し射出成形プラスチックのウェルド部のひずみを測定し、ウェルド部周辺の物性について検討した。

コア技術名 10.リサイクル・環境対応技術

研究題目 無機系排水からの有価金属回収
研究区分 共同(名古屋大学)
研究者 (材料化学部)○木下武彦、野々部恵美子、岸川允幸、洒井光生、小野さとみ
研究概要

1.目的

我々は、非イオン性界面活性剤を用いた連続向流泡沫分離法を開発し、希薄溶液からの金イオンを選択的に分離回収できることを示してきた。本研究では分離装置の塔径を大きくし、分離特性への影響を明らかにすると共に、スケールアップへの指針を得ることを目的とする。

2.内容

塔径31mmと60mmの分離塔を用意し、塔径の違いによる分離特性への影響を調べた。安定した操作が可能な条件下で分離実験を行い、空気流量や界面活性剤溶液の滴下流量などを変化させて分離結果を比較した。

3.考察

塔径拡大の分離特性への影響は大きく、大幅な分離度の向上が見られた。これは、壁を伝う下方排水(泡沫相中の下方排水よりも流動抵抗が少ないと考えられる)の割合が減り、より効果的に泡沫相内で排水が行われたことによる、と推測できる。

研究題目 紙材表面の超はっ水コーティングに関する研究
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○山中基資、中野万敬
(電子情報部)吉村圭二郎
研究概要

1.目的

紙は有用な材料である一方、水に弱いという欠点がある。そのため必要に応じてはっ水処理が施されるが、リサイクルが難しく改善が望まれている。本研究では、植物由来のゲル化剤をベースとしたはっ水剤を用いて100%バイオマテリアルの環境にやさしい超はっ水紙の開発を目指す。

2.内容

紙基材を段ボールに選定し、12­ヒドロキシステアリン酸とステアリン酸で構成されるはっ水剤の配合比、溶剤種および濃度の最適化を行った。はっ水剤を塗布した各試料の接触角を測定してそのはっ水性能を評価し、吸水操作前後の圧縮試験を行い、水濡れによる強度の変化を比較した。

3.考察

開発したはっ水剤で紙表面をコーティングすることにより、接触角150°以上の超はっ水性の段ボールが得られた。試料の電子顕微鏡観察から、表面は微小な薄片状結晶で覆われており、これが超はっ水性の発現に寄与したと考えられる。また吸水操作後において、未処理試料が吸水でバラバラに分離したのに対し、超はっ水化試料は吸水前の未処理試料と同程度の強度を維持できた。

コア技術名 11.燃料電池技術

研究題目 燃料電池の開発と応用
研究区分 共同(名古屋大学)
研究者 (電子情報部)○宮田康史
研究概要

1.目的

燃料電池は発電効率が高く、環境負荷が低い次世代の発電装置として、内燃機関の代替や分散型電源、可搬型電源などへの応用が期待されている。これまで行ってきた燃料電池の開発を進め、新しい無機系電解質を燃料電池に適用した全固体電池を製作した。さらに、これまで蓄積した電池材料開発技術を二次電池に応用した。また、電解質中の水分評価技術を樹脂分野にも展開し、微量水分計測を可能とした。

2.内容

全固体電池用電解質を開発し、常温から120℃まで乾燥ガスを用いて発電を確認し、無水発電の可能性を示した。また、燃料電池電極作成技術を応用することで二次電池を試作し、充放電特性を計測したところ、理論容量の95%以上を示した。
電池材料評価技術開発として、電磁波を応用した固体高分子電解質中の水分評価技術を開発した。さらに樹脂中の水分計測に応用し、迅速な微量水分評価法を検討した。

3.考察

幅広い温度域で燃料電池として利用できる無機系燃料電池を開発したが、イオン伝導メカニズムを解明することでさらに高温である200℃付近までの温度特性の向上が見込める。また、電池材料評価に用いている各種分光法や電磁波評価法の他の機能材料評価への展開により、関連業界への波及効果を期待できる。

コア技術名 12.電子機器の信頼性評価と環境対応技術

研究題目 電子機器の実装技術に関する研究
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○小島雅彦、伊藤治彦、吉田和敬、岩間由希、村瀬真
研究概要

1.目的

環境意識の高まりと共に鉛フリー化の取り組みが進められている。現在使用されている鉛フリーはんだの代表的な材料は、Sn­3.0Ag­0.5Cuであるが、近年、銀価格の異常な高騰のため、銀の含有量を減らした低Ag鉛フリーはんだが注目されている。しかし、低Agはんだは実績が少なく、接合強度の信頼性に不安要素があり、セットメーカが採用に踏み切れていない。そこで、低Agはんだの接合信頼性・作業性等を確認し、品質的に代替可能かを検討した。

2.内容

低Agはんだの性質を調べることを目的に、はんだとしてSn­1.0Ag­0.7Cu(低Agはんだ)、Sn­3.0Ag­0.5Cu(従来品)、基板としてSnめっきCu基板、Ni基板の組み合わせで、作業性を確認するための濡れ拡がり試験と接合状態を確認するためのX線CTによる観察を行った。
濡れ広がり試験では、基板上にクリームはんだを印刷した後、165℃のプリヒートと235℃のリフローを行い、はんだの濡れ拡がり率を調べた。得られた結果には実験計画法の手法を適用し、その差異について検討した。また、濡れ拡がり試験を行ったサンプルを、X線CTを用いてはんだと基板の界面状態について観察した。

3.考察

基板の種類による差異が認められたが、はんだの種類による明確な差異は認められなかった。Ni基板では、はんだの弾きが強く、はんだと基板の界面に多数のボイドが観察されたが、これはフラックスの活性効果が不十分なためと考えられる。

コア技術名 13.画像応用技術

研究題目 線状領域撮像方式による画像生成と画像処理
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○黒宮明、渡部謹二
研究概要

1.目的

線状撮像方式は、広範囲で高分解能な撮像が可能で、実時間演算にも優れているため、この技術を活用するニーズは、年々多くなっている。この方式の利点を生かした画像検査・処理や画像生成などさまざまな課題を解決し応用技術をまとめる。

2.内容

今年度は、濃度階調を細かくし8ビット撮像では判別できない濃淡の差を明瞭にする手法、および、少ない露光時間と細かい撮像ピッチの画像入力により、撮像レンジを向上させる手法を試みた。また、画像の濃淡を強調することサイズを縮小しても小さなキズなどが確認できる手法を試みた。

3.考察

ここで用いた手法は、日照条件によらず、一定露光で撮像してもひび割れが十分検出でき、路面の撮像に効果的であった。また、濃淡を強調する画像処理により、分解能1mmの画像でサイズを1/32程度に縮小してもひび割れが確認できた。

コア技術名 14.ユビキタス・IT対応技術

研究題目 ユビキタスIT対応型デバイスに関連する計測技術、EMC対策技術の開発
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○白川輝幸、小田究
研究概要

1.目的

高周波技術や電磁波(無線)利用技術においては、信号伝送系に着目した高周波特性やEMC対策技術(電磁ノイズ対策技術)が重要になる。本研究の目的は、ユビキタスITに対応した技術開発を支援するために、関連の計測技術を確立するとともに、EMC対策技術を開発することにある。

2.内容

高周波回路の伝送系やEMCに関する課題として、段差(インピーダンス不整合)がある伝送線路と段差部がテーパー構造の伝送線路の近傍磁界を測定比較し、併せて近傍磁界のシミュレーション計算を行った。また、差動伝送基板について放射特性の解析を行い、測定結果との比較を行った。

3.考察

段差がある線路と段差部がテーパー構造の線路の近傍磁界の実測とシミュレーションを比較すると、実測では両者はほとんど変わらないが、シミュレーションではテーパー構造の方が磁界の強度は低くなった。この相違については現在検討中である。差動伝送基板については測定結果とシミュレーション結果との間で一部傾向が一致した。

研究題目 ナノ技術を応用した表面機能化に関する研究
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (電子情報部)○小島雅彦、村瀬真、八木橋信、粟生雅人
(材料化学部)山口浩一、村瀬由明、安田良
研究概要

1.目的

本研究では、アルミニウム(Al)ミラーの耐食性を向上させることを目的に、光学特性に影響を与えない単分子膜(〜5nm程度)による表面処理を検討した。Alミラーでの防食性を確認した後、同手法を用いてICパッケージ内のAl配線等(Al合金)に対する防食性の検討を行った。

2.内容

本防食処理を施したAlミラーの反射率は、中性塩水噴霧試験(96時間)前後で変化が無いことを分光強度計で確認した。1%-SiのAl合金(IC用ボンディングワイヤ)に対しても、中性塩水噴霧試験(96時間)をおこないFE-SEMと実体顕微鏡による観察で腐食していないことを確認した。

3.考察

本気相法処理は、成膜する試薬の分子の蒸気に試料をさらすだけでよく、成膜の過程では分子自己組織化により膜厚の制御も必要としない。そのため、生産設備の導入に多額の費用がかからず、中小企業が導入を検討し易い手法と考えられる。

コア技術名 15.熱・音響・振動計測による材料・製品の評価技術

研究題目 熱・温度に関する材料物性評価技術、熱設計技術の確立
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○高橋文明、小田究、梶田欣、近藤光一郎
研究概要

1.目的

最近の電子機器では、小型化あるいは高性能化に伴う発熱量の増加が深刻な問題になっている。これに対して、シミュレーション技術を用いた熱対策技術、いわゆる熱設計を製品開発に活用する事例が増えている。本研究では、「熱・温度に関する材料物性評価技術、熱設計技術の確立」を目的として、熱物性評価技術ならびにシミュレーション技術の開発を行った。

2.内容

基板上に作製されたコーティングや薄膜など多層材料に対応した熱物性評価法の開発を行うとともに、熱設計上重要な比熱容量測定の高精度化に関する検討を行った。また、電子機器の熱問題に対応するため、放熱促進手法の開発を行い熱設計への展開を図った。

3.考察

多層標準試料で測定精度を確認した結果、基準値に対して数%以内に収まっており、実用上問題のないレベルでの熱物性評価が可能であることが明らかになった。また、自然対流境界層内の流れに対して傾けた平板(放熱促進板)を複数段取り付けた場合は、これまでに検討を行った一段の場合と比べて約50%伝熱が促進されることを解析、実験の両面から確認した。

研究題目 電子機器の熱問題を解決するためのシミュレーション技術の開発
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○高橋文明、梶田欣、近藤光一郎
研究概要

1.目的

電子機器の開発における熱設計の位置付けは年々重要度を増しており、中でも自己発熱する電子部品の温度上昇を正確に予測することが重要となっている。本研究では、「汎用熱流体解析ソフトによる効率的な熱設計手法の確立」を目的として、解析モデルの簡略化に関する検討を行った。

2.内容

実製品を忠実にモデル化することで、一定レベル以上の計算精度を確保できるが、忠実にモデル化することにより計算規模が飛躍的に増大するため、機器全体のモデル化は事実上不可能である。本研究では、電子部品及びプリント配線板を対象とした解析モデルの簡略化を行った。

3.考察

簡略化モデルを用いた場合でも、実測値に対して10%以内の精度で温度予測が可能なこと、また、簡略化を施す前のモデル(詳細モデル)に比べて、メッシュ数ならびに計算時間は、最大40%まで低減できることが分かった。以上から、簡略化モデルを用いても実用上十分な予測精度を確保できることが明らかになった。

研究題目 ランダム振動試験の条件設定に関する研究
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○井谷久博、吉村圭二郎
研究概要

1.目的

複数の周波数の振動を同時に加えるランダム振動試験は実際の環境に近い試験として着目されている。本研究では信頼性試験において将来的に正弦波振動試験からランダム振動試験へ移行することを目的とし、実環境における振動解析と試験条件の決定方式に関する研究を行う。

2.内容

学会・展示会参加および文献等による技術調査と、輸送車両(トラック)の走行時に荷台に発生する路面の凹凸により励振される振動加速度データの獲得および周波数解析を行った。

3.考察

ランダム振動試験のPSD(Power Spectral Density)や試験時間などの試験パターンを決定する方法については、一般的な手法はまだ確立されていないことがわかった。車種や道路、速度などの条件を変えて測定した加速度データを解析し、多数のPSD形状を獲得した。これらを活用することで、より実際の輸送環境に近い条件で振動試験を行うことが期待される。

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