名古屋市工業研究所

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研究報告

平成21年度研究報告

重点事業 (1テーマ)

事業名 X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化
担当 [材料化学部]:飯田浩史、小田三都郎、石垣友三、二村道也、岡本和明、林英樹、原田征、伊藤清治、粟生雅人
[機械金属部]:足立廣正、村田真伸、加藤峰夫
補助事業名 公設工業試験研究所の設備拡充補助事業〈(財)JKA〉

1.目的

低炭素社会に向けての自動車業界の環境対応として軽量化による燃費向上が目標となっており、金属からプラスチックへの代替が進められている。また、従来の石油由来プラスチックに代わり、バイオマス由来のプラスチック(バイオプラスチック)が既存の樹脂にブレンドされ実用化され始めている。一方、金型および成形業界には、樹脂のブレンドやフィラーによる高性能化、製品設計および寸法の高精度化、納期短縮の観点から試作回数の削減が強く求められている。これらの状況を鑑みて、@バイオプラスチックのブレンドやアロイを開発し、AX線CTを導入し、成形体のX線CTによるデータをCADのデータとPC上で現物融合化した「デジタルものづくり」の方法を確立することで、新規材料開発から設計・生産まで支援できるシステム確立を目指す。

2.内容

バイオプラスチックの耐熱性を高めるために新たに反応性相容化させたポリ乳酸(PLA)アロイの結晶化について検討した。特に結晶化プロセスについて、アニール法と高温金型法で結晶化を起こさせ、熱分析や物性測定を行った。その結果、耐熱温度は80­90℃(ポリプロピレンと同等)、シャルピー耐衝撃性(ノッチ入り)は標準的なPLAの約5倍の14kJ/m2を達成した。次に現物融合化手法を実施するために、新規モデル成形体の金型をCADで設計し、CAEによる流動解析を行った後、CAMで金型の切削軌跡を展開し、金型を作製した。この金型を用いて開発したPLAアロイを用いて射出成形を行い、得られた成形体をX線CTで測定した。測定時間は約30分で、そのスライスデータを3次元化し、元のCADデータとの重ね合わせを行いPC上での現物融合化を検討した。その結果、6cmの成形体で6μmの寸法精度を確認でき、成形体の修正等を行うのに十分であることを確認した。このことからX線CTは現物融合化のための十分な性能を持つことを実証できた。

3.成果

バイオプラスチックの開発については、反応性相容化させたバイオプラスチックの結晶化により耐熱性および強度の向上を同時に達成することができた。現物融合化手法については、CADで新規モデルを作り金型を製作することでSTLなどの設計データを作製し、切削加工やバイオプラスチックの射出成形等による各プロセスの誤差の評価を可能とした。流動化ソフト(CAE)によるヒケの予測と、X線CTでPCに取り込んだ成形体の実際の寸法も比較できた。さらに、現物をX線CTでスキャンし部品のCAE解析を行うことで現物を元にしたシミュレーションが可能になり、より現実に即した解析が期待できる。これらのことからX線CTを用いて現物のCAD/CAE/CAMデータを定量的に参照することにより、バイオプラスチックのような新規開発材料についても、短期間で高品位の部品開発が可能となることがわかった。

4.設置機器

機器名称 型式・性能 製造所名 設置年月日
X線CT装置 TOSCANER­32252μhd 東芝ITコントロールシステム(株) H22.2.5

重点研究、共同研究および指定研究(コア技術15テーマ)○:主担当
コア技術名 1.機械診断における予知保全システム技術

研究題目 機械診断を補助する簡易予知保全システムの開発
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○真鍋孝顯、松下聖一、山岡充昌、深谷聡、児島澄人
研究概要

1.目的

予知保全技術は導入コストが高く、診断技術を習熟した作業者の確保が難しいため、中小企業への導入は遅れている。そこで、作業者の機械診断を補助し、異常や故障など過負荷が予測されるときに、部品交換や操業条件の変更などを指示できる、簡易予知保全システムの構築を目指す。

2.内容

設備の主要な要素である軸受に着目し、軸受の状態と得られる振動データとの関連を調べる。解析の妨げとなる信号の除去について検討する。また、スピンドルのモーダル解析シミュレーションと信号処理した振動データの結果を関連付けることにより、監視領域の選定を明確にする。

3.考察

wavelet解析でノイズ除去し解析することによりピークを検出した。これらのピークには軸受のラジアルすきまとの関連性が認められた。一方モーダル解析で得られた固有振動数とほぼ一致し、ラジアルすきまの監視領域として適当であり、他の設備への応用も可能である。

コア技術名 2.金属材料の利用技術および不良等原因解析

研究題目 セラミックスの耐熱部品および耐磨耗部品への応用に関する研究
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (機械金属部)○橋井光弥、山田博行、山田隆志、内藤寛
研究概要

1.目的

耐熱性に優れるだけでなく容易に機械加工できるセラミックス(マシナブルセラミックス)の製造技術を開発する。従来法よりも環境負荷を大幅に削減して低コストで製造する技術を確立する。本材料はたとえば「熱処理・鋳造設備向けのセラミックス部材」としての利用が期待できる。

2.内容

h­BN・長石/複合材料の製造において、低純度(高酸素濃度)h­BN粉末を原料として焼結温度を約1470Kとすることが最適であると、前年度に見出している。今年度は、h­BN粉末と長石を種々の体積率で配合し、それぞれの焼結体を作製して評価した。長石配合比率が小さいほど、焼結体の相対密度および曲げ強度が低い値を示した。

3.考察

長石配合比率が一定値以上の場合は、長石がh­BN粉末を覆うことで、大気中焼結であっても、h­BNの酸化・消失を回避できる。長石配合比率が小さければ、焼結過程でh­BN粉末表面が大気に曝されることで酸化・消失し、焼結体の相対密度と強度が低い値となる。

コア技術名 3.マグネシウムを主とした軽量金属材料の利用技術

研究題目 マグネシウム合金板材の高機能化と成形に関する研究
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○毛利猛、山岡充昌、山崎実、川尻鉱二、松井則男
研究概要

1.目的

マグネシウムの部品を開発するうえで、競争力を高めるためにはコストを下げ機能面などの付加価値を与える必要がある。本研究では、板材の成形と成形体へのマグネシウムポーラス金属の充填を利用した軽量で比強度・比剛性の高いマグネシウム部材の開発をおこない、マグネシウム合金の特長を活かした実用品への応用を目指す。

2.内容

AZ91合金鋳造材の鍛造板から作製した絞り成形体は、比較材のAZ31合金圧延板に対して絞り高さがおよそ20%向上した。また、純Mg系およびAZ91合金系でプリカーサ法にてポーラス金属の作製を行ったところ、どちらも200%程度の膨張を示しポーラス金属が作製できた。

3.考察

AZ91合金鍛造板は、5μm以下の非常に微細な再結晶組織を示した。この微細再結晶組織のため成形性が良くなったと考えられる。また、ポーラス金属の作製においては、純Mg系では球状の膨張を、AZ91合金系では一方向への膨張を示し、合金の違いにより膨張形態が異なった。詳細は次年度に検討する予定である。

コア技術名 4.CAEを用いたシミュレーション技術

研究題目 エネルギー吸収部材の設計手法の確立
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○村田真伸、奥田崇之、西脇武志、黒部文仁、足立廣正
(材料化学部)飯田浩史
研究概要

1.目的

自動車乗員の安全性と車体の軽量化を両立させるために、樹脂製やウレタンフォーム製等の軽量なエネルギー吸収部材を搭載することが増えてきている。しかし、これらの部材の開発現場では、従来型の試作の繰り返しによる開発が続けられているのが現状であり、CAEを用いた効率的な設計手法の確立が求められている。

2.内容

エネルギー吸収部材の変形過程をCAEで再現するためには、対象材料の材料物性値(相当応力と相当塑性ひずみの関係)を高ひずみ領域まで正確に見積もる必要がある。しかし樹脂材料のように変形過程でくびれが発生する場合、通常の引張試験からそれらを見積もることは困難である。本研究では樹脂試験片の引張試験と解析とを行い、両者の比較から高ひずみ領域までの材料物性値の推定を試みた。

3.考察

くびれ発生以降の相当応力と相当塑性ひずみとの関係を多項式関数と仮定し、関数の係数をパラメータとして変化させながら引張試験解析を行い、引張試験を再現する最適な相当応力­相当塑性ひずみの関係を探索した。探索の結果、引張試験での引張荷重とくびれ挙動を精度よく再現する材料物性値を決定することができた。

コア技術名 5.表面処理応用技術

研究題目 めっき皮膜の熱加工性向上技術の開発
研究区分 重点
研究者 (材料化学部)○加藤雅章、三宅猛司、松本宏紀、浅野成宏、柘植弘安、橋鉱次、小野さとみ、粟生雅人
研究概要

1.目的

めっき部品のろう付けなど熱加工処理に伴ってめっき膨れ等の不良が発生して問題となっている。本研究は、熱加工処理等に伴う金属/金属界面構造変化の評価技術を確立し、膨れや剥離などの欠陥発生との関連性を検討して、膨れ発生のメカニズムの解明と対策技術の確立を目的とする。

2.内容

鉄鋼上ニッケルめっき製品のろう付けに伴う膨れ発生を取り上げ、種々の条件で作製したニッケルめっき皮膜について熱処理を行い、不良発生の条件を調査した。熱処理後、めっき皮膜の断面試料を作製して熱処理に伴うめっき皮膜の変化を走査電子顕微鏡により評価した。

3.考察

めっき皮膜の膨れ(剥離)は初期のめっきと基材の界面で発生しているのではなく、膨れ発生箇所付近では多数のボイドが発生し、熱処理にともなう拡散によるカーケンダル効果により生成したものと考えられる。ボイドの発生量は添加物量の増加とともに増加しており、過剰な添加物量が不良発生の一因であると考えられる。

研究題目 機能性有機・無機ハイブリッド皮膜によるコーティング技術の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○小野さとみ、柘植弘安
研究概要

1.目的

化学溶液法を用いて、シリカ等の無機成分と樹脂や有機シラン化合物等の有機成分の組成や反応性を制御してハイブリッド化することで、セラミックス、金属および木材等の材料表面に、親水・撥水性、耐擦傷性などの機能を有したサブミクロンの薄膜から数十ミクロンの厚膜まで対応可能な有機・無機ハイブリッド皮膜の作製に関する技術開発を行う。

2.内容

今年度はテトラエトキシシランを出発原料として、ガラス表面への親水性付与を目的としたシリカコーティングに関するテーマAと、撥水性付与を目的としたアダマンタン由来シランによるコーティングに関するテーマBの2つのサブテーマについて研究を行った。

3.考察

1)テーマAでは、ガラス基板上に100〜700℃の広い加熱処理温度範囲で、水洗で汚れが落とし易くなるという防汚性を示すシリカコーティング技術が確立できた。
2)テーマBでは、ガラス基板上に水による接触角108°、鉛筆硬度4Hを示す透明撥水性皮膜の作製技術が確立できた。

研究題目 新しい亜鉛合金めっき技術の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○三宅猛司、加藤雅章、松本宏紀、橋鉱次
研究概要

1.目的

亜鉛めっきの後処理として3価クロムを用いた化成処理が6価クロメート処理代替技術として主に用いられている。しかし、この代替技術を用いてもいくつかの問題があり、将来的にはクロムフリーでの処理を行う必要がある。本研究では、後処理の不要な亜鉛合金めっきの耐食性向上を目的として開発を行った。

2.内容

亜鉛−ニッケル合金めっきおよび亜鉛−マンガン合金めっきを対象に、これらめっき膜を得るためのめっき浴組成および電解条件の最適化を図るとともに、得られためっき膜の耐食性について検討した。

3.考察

塩化物浴からパルス電解法を用いることで亜鉛−ニッケル合金めっきおよび亜鉛−マンガン合金めっきを得ることができた。このようにして得られためっき膜の耐食性について塩水噴霧試験により評価した結果、亜鉛−ニッケル合金めっきでは960時間、大気炉中での加熱による酸化処理を併用した亜鉛−マンガン合金めっきでは500時間で赤錆が発生した。

研究題目 チタン金属上へのめっき技術の開発
研究区分 共同(愛知県鍍金工業組合)
研究者 (材料化学部)○三宅猛司、浅野成宏、加藤雅章、松本宏紀、橋鉱次
研究概要

1.目的

チタン材料は軽量、高強度であるが耐摩耗性や電気接点特性は他の金属と比べて劣り、表面特性を改善することで用途の拡大が期待できる。チタン金属上へのめっきの問題点として密着不良が挙げられる。本研究はチタン金属上に安定した密着力を有するめっき技術の開発を目的とする。

2.内容

チタン金属上に安定した密着力を有するめっき技術を開発するには、@チタン表面の粗化処理条件、Aめっき条件、B後処理条件の最適化を行う必要がある。今年度は主に@のチタン表面の粗化条件について検討し、ニッケルめっきを例としてアンカー効果による密着性について調べた。

3.考察

塩酸、硫酸、シュウ酸溶液を用いてチタン表面を粗化し、さらに活性化処理を行ってからニッケルめっき皮膜を作製した。エッチング後のチタン表面の形態やニッケルめっき皮膜の断面構造を走査電子顕微鏡により調べ、エッチングの効果について検討した。塩酸および硫酸をエッチング液として用いた場合、アンカー効果が期待できる表面形態が得られた。

コア技術名 6.光触媒応用技術

研究題目 光触媒材料の開発および製品への応用
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○岸川允幸、川瀬聡、小野さとみ
研究概要

1.目的

当所で開発したチタニア架橋粘土光触媒は、既に室内VOC対策用光触媒コーティング液として利用、販売されている。本研究では室内VOC対策に焦点を絞り、さらに高性能な光触媒材料を開発することを目的とする。

2.内容

ペルオキソチタンと親水性表面を持つ層状複水酸化物であるハイドロタルサイトを用いて新規チタニア架橋粘土光触媒を合成し、光触媒反応に最適な条件を検討した。また、室内VOC対策用材料としての適性を調べるため、ガスバック法によりVOC光触媒分解反応を測定した。

3.考察

充分に結晶化した酸化チタンをハイドロタルサイト層間に導入することにより、親水性表面を有するチタニア架橋粘土光触媒が作製できた。また、この触媒を用いたVOC光触媒分解反応では、トルエン等の疎水性物質の分解反応と比較して、アセトアルデヒドやエタノール等の親水性物質の分解反応の方がより速く進行することがわかった。

コア技術名 7.化学分析・化学計測技術

研究題目 環境調和型材料の分析評価技術における課題解決および新規分析法の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○酒井光生、大橋芳明、野々部恵美子、小野さとみ
研究概要

1.目的

本研究では、鉛レス銅合金など環境規制の強化に伴って登場してきた新素材の主要成分および微量成分の分析法を開発し、社内標準試料の値付けや品質管理分析などに適用して、中小鋳物業者などにおける製品の品質向上を支援することを目的としている。

2.内容

鉛レス青銅CAC911について、ビスマス分離による銅の電解重量法、セレンのジアミノベンジジン発色トルエン抽出吸光光度法、リンのモリブドバナドリン酸吸光光度法、カドミウムの原子吸光法、およびICP発光法による多元素同時定量法について検討した。

3.考察

銅の分析では定電位電解法で精度良く定量することを可能とした。セレンの分析ではEDTAによる妨害元素のマスキングが有効であることが分かった。リンの分析では試料量をスケールダウンした定量を可能とした。カドミウムの分析では共存元素の銅でマトリックス合わせをすることにより精度良く定量することを可能とした。ICP発光法では1種類の試料溶液に異なる内部標準元素を添加し、希釈率を変えて溶液を調製することにより、同時多元素定量することを可能とした。

コア技術名 8.プラスチック技術

研究題目 X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化
研究区分 重点
研究概要 重点事業のとおり
研究題目 光・電子・イオン機能を有する新規高分子材料の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○林英樹、石垣友三、山中基資
研究概要

1.目的

電子デバイスの構成材料として有機系高分子材料を用いた場合、真空蒸着装置等の高価な機器を用いなくても塗布等による簡便な方法での膜形成が可能となるため、製品の製造コストの軽減が期待できる。本研究では、有機デバイスを目指した新規材料の開発を行う。

2.内容

ポリマーの特性予測には、モデル化合物による評価が有力な方法である。モデル化合物は、ポリマーと違って分子量分布の無い単一の材料であるので、詳細な分析の可能性が期待できる。そこで、本年度は、電子機能およびイオン機能材料について、低分子モデル化合物の合成を行い、特性および高分子材料へのフィードバックついての検討を行った。

3.考察

1)電子機能材料に関して:フェナザシリンオリゴマーのトランジスタ特性は、ポリマーへも反映されており、モデル化合物として有用であった。
2)イオン機能性材料に関して:分子中のリチウムイオン量が増えることにより、イオン伝導度が増大したので、重合させてリチウムイオンを増やすことにより特性の向上が期待できる。

コア技術名 9.製品の長寿命化技術

研究題目 最適設計のための微小部ひずみ測定技術の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○二村道也、林英樹
(参事)三宅卓志
研究概要

1.目的

製品の破壊は、応力集中または不均一となる形状急変部や接着部が起点となるため、最適設計のためにはこれらの箇所のひずみを正確に把握することが必要である。しかし、従来技術ではこのような微小部のひずみの測定が困難なため、顕微ラマン分光を用いた新しいひずみ測定技術を開発する。

2.内容

顕微ラマン分光を用いたひずみ測定技術は、ラマン不活性な金属や低配向のプラスチックには適用できないため、1.ラマン分光によりひずみ測定可能なコーティング材料の開発、2.コーティングを利用したひずみ測定技術の開発、の2つの課題に取り組んだ。

3.考察

従来の加熱型材料をコーティングしたアルミ合金やエポキシ製の応力集中モデル試験片の測定では、円孔等の形状急変部においてラマンスペクトルのピークシフト量が大きく、応力集中を反映することを確認した。また、耐熱性の低い材料を測定するため、ひずみ感度の高い非加熱型材料を開発するとともに、測定精度や安定性を高めるコーティング方法を見出した。

コア技術名 10.リサイクル・環境対応技術

研究題目 環境を保全する新規吸水・吸油材料の開発
研究区分 重点
研究者 (材料化学部)○中野万敬、朝日真澄、山中基資、山口浩一、奥田英史、村瀬由明、高橋鉱次、木下武彦、石垣友三、粟生雅人
(電子情報部)吉村圭二郎
研究概要

1.目的

付加価値を高めた独自の環境対応型吸水・吸油材料を開発する。本年度は、1)植物由来化合物から成る超はっ水剤の開発、2)吸水ゲルによる有害金属の簡易処理プロセスの開発、の2つの内容について研究を進めた。

2.内容

1)植物由来のゲル化剤と結晶性低分子化合物との混合物から超はっ水膜の作製を検討した。
2)ポリエチレングリコール(PEG)鎖を有する吸水ゲルの六価クロム吸着・還元能を検討した。

3.考察

1)植物由来のゲル化剤のみから得られた膜は水との接触角が120°未満であったが、結晶性低分子化合物を10〜30%程度添加することにより接触角が150°以上である超はっ水膜を形成できた。
2)吸水ゲルを六価クロム含有水溶液に投入したところ、ゲルは六価クロムを吸着しその後PEG鎖の還元作用により毒性の少ない三価のクロムへ還元し、その三価のクロムのみを溶液中へ放出した。

研究題目 無機系排水からの有価金属回収
研究区分 共同(名古屋大学)
研究者 (材料化学部)○木下武彦、野々部恵美子、岸川允幸、洒井光生、小野さとみ
研究概要

1.目的

非イオン性界面活性剤を用いた連続向流泡沫分離法を開発し、希薄溶液からの金イオンを選択的に分離回収できることを示した。本研究では泡沫相の状態を液ホールドアップ(泡沫相の同伴水の体積水分率)および泡沫径をパラメーターとし、流動特性や分離特性を明らかにする。

2.内容

起泡特性の異なる焼結ガラスフィルターを用意し、泡径の違いによる分離特性への影響を調べた。安定した操作が可能な条件下で分離実験を行い、空気流量や界面活性剤溶液の滴下流量などを変化させて分離結果を比較した。

3.考察

泡沫層の液ホールドアップが低いほど、洗浄液により夾雑物は洗い流される。その洗浄効果は泡沫層の上向き流れと、同伴水中を下向きに流れる洗浄液の流量の影響をほとんど受けず、液ホールドアップが低ければ、わずかな洗浄液流量で洗浄でき、分離度を向上させることが分かった。

コア技術名 11.燃料電池技術

研究題目 燃料電池の開発と応用
研究区分 共同(名古屋大学)
研究者 (電子情報部)○宮田康史
研究概要

1.目的

燃料電池は発電効率が高く、環境負荷が低い次世代の発電装置として、内燃機関の代替や分散型電源、可搬型電源などへの応用が期待されている。これまでに行ってきた燃料電池の開発を進め、中低温域対応の新しい無機系電解質を燃料電池に適用した全固体電池を製作した。さらに、これまで蓄積した電池材料評価技術を他分野に展開した。

2.内容

全固体電池用電解質を開発し、常温から120℃での発電を確認した。また、FT-IRやラマン分光などから電解質構造を推定するとともに、イオン伝導機構の解明のためにX線を用いた水和クラスタ評価法を開発した。加えて電池電極評価を目的としたミリ波による炭素材料評価法を確立した。

3.考察

幅広い温度域で燃料電池として利用できる無機系電解質を開発したが、今後はイオン伝導メカニズムを解明しながら200℃付近まで温度特性を向上させる。また、電池材料評価に用いている各種分光法や電磁波評価法を他の機能材料評価にも展開し、波及効果を期待する。

コア技術名 12.電子機器の信頼性評価と環境対応技術

研究題目 電子機器の実装技術に関する研究
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○小島雅彦、伊藤治彦、吉田和敬、岩間由希、村瀬真、山田範明
研究概要

1.目的

電子機器に使用されるはんだやめっきの鉛フリー化に伴って、はんだ接合部の信頼性の低下やめっきからのウィスカの発生といった問題が起きている。これらの問題を解析し技術的課題を明らかにすることにより、鉛フリー化に関する信頼性評価技術の確立を目指す。BGA(Ball Grid Array)部品のはんだ接合部のぬれ不良及びコネクタ圧接部から発生するウィスカの問題に取り組んだ。

2.内容

BGAに使用されているはんだボール表面の酸化膜及びフラックス残渣に着目し、ぬれ性との関係を調べた。また、コネクタ圧接部に発生するウィスカを調べるため、ウィスカ連続観察用の治具を作製しウィスカの成長について調べた。

3.考察

はんだボール表面に形成される酸化膜が厚いほど、また、フラックス残渣が多いほど接合性が悪化し、信頼性向上のためには両方を軽減する必要があることが分かった。発生するウィスカを観察した結果、一定期間成長した後にはほぼ停止することが分かった。観察治具を用いることでウィスカの連続観察が可能であり、ウィスカ発生条件の把握とその対策を立てる際に有用であることを確認した。

コア技術名 13.画像応用技術

研究題目 線状領域撮像方式による画像生成と画像処理
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○黒宮明、渡部謹二
研究概要

1.目的

対象物の表面に沿った広視野で高分解能の画像が得られる線状撮像方式の利点を生かした、画像処理や画像生成技術を研究し、産業応用する。製品ごとに特化されることの多いこの撮像方式の技術や特徴を体系的に整理する。

2.内容

1ラインごとに撮像し、送られてくる画像データを電子回路によって、実時間で演算する技術を開発した。ライン画像の加工・変換、および撮像ピッチの制御とライン画像の実時間演算を組み合わせたパターン検出処理が確認できた。

3.考察

広視野かつ高分解能な画像はデータ量が多くなるが、適宜、必要な個所に切り取った2次元画像とすることが可能で、これにより画像演算が容易となる。このような画像入力・加工装置は、線状撮像方式に広く応用できるものと思われる。

コア技術名 14.ユビキタス・IT対応技術

研究題目 ユビキタスIT対応型デバイスに関連する計測技術、EMC対策技術の開発
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○白川輝幸、小田究
研究概要

1.目的

高周波技術や電磁波(無線)利用技術においては、信号伝送系に着目した高周波特性やEMC対策技術(電磁ノイズ対策技術)が重要になる。本研究の目的は、ユビキタスITに対応した技術開発を支援するために、関連の計測技術を確立するとともに、EMC対策技術を開発することにある。

2.内容

高周波回路の伝送系やEMCに関する課題として、差動伝送基板からの放射電磁界や段差(インピーダンス不整合部分)を持つマイクロストリップ線路の近傍磁界を測定し、併せてこれらの電磁界解析(シミュレーション)を行った。

3.考察

差動伝送基板からの放射エミッション評価では、受信角度による特性変化が認められた事から、差動伝送の持つ線路の対称効果が反映した結果であると思われる。また、段差があるマイクロストリップ線路の近傍磁界分布に関しては、シミュレーションでは線路の中心軸に対して左右対称であったが、測定では左右対称ではなかった。これはアンテナの形状が原因であると思われる。

研究題目 ナノ技術を応用した表面機能化に関する研究
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (電子情報部)○小島雅彦、村瀬真、八木橋信、三宅卓志、
(材料化学部)山口浩一、村瀬由明、高橋鉱次、粟生雅人
研究概要

1.目的

単分子膜は厚さがナノメートル(10-9m)単位と非常に薄いため、被膜対象の光学的性質等を損なうことなく表面の性質を変えることができる特長を持つ。本研究では単分子膜被覆により金属本来の光沢を維持したまま、防食性を付与することを目的とした。

2.内容

アルミニウムミラー表面を単分子膜で被覆することによって、反射率を低下させることなく高い防食性を付与した。JIS Z 2371に準拠した中性塩水噴霧試験により防食性を検証し、3日間(72時間)の塩水噴霧後においても、本研究で処理したアルミニウムミラーの反射率が低 下しないことを確認した。

3.考察

本研究で用いた気相法による単分子被覆処理は、高額な設備を必要とせず、処理にかかるコストや環境への負荷も従来のコーティング技術と比較すると大幅に低くなると期待できる。そのため、本技術は環境面でも中小企業への展開の面でも、高い可能性を持つものと考えられる。

コア技術名 15.熱・音響・振動計測による材料・製品の評価技術

研究題目 熱・温度に関する材料物性評価技術、熱設計技術の確立
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○高橋文明、小田究、梶田欣、野呂重樹
研究概要

1.目的

最近の電子機器では、小型化あるいは高性能化に伴う発熱量の増加が深刻な問題になっている。これに対して、シミュレーション技術を用いた熱対策技術、いわゆる熱設計を製品開発に活用する事例が増えている。本研究では、熱物性評価技術ならびにシミュレーション技術の開発を行った。

2.内容

基板上に作製されたコーティングや薄膜などの多層材に対応した熱物性評価法の開発を行うとともに、熱設計上重要な比熱容量測定の高精度化に関する検討を行った。また、電子機器の熱問題に対応するため、シミュレーション技術を用いた放熱促進手法の開発を行った。

3.考察

既存の測定装置に改良を施すとともに多層解析用のソフトを作製することによって、多層材に対応したシステムを構築した。また、放熱促進手法の開発として、自然対流境界層内の流れに対して傾けた平板を挿入することによって、伝熱が促進されることを解析、実験の両面から確認した。

研究題目 電子機器の熱問題を解決するためのシミュレーション技術の開発
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○高橋文明、梶田欣、野呂重樹
研究概要

1.目的

電子機器の開発における熱設計の位置付けは年々重要度を増しており、中でも自己発熱する電子部品の温度上昇を正確に予測することが重要となっている。本研究では、「汎用熱流体解析ソフトによる効率的な熱設計手法の確立」を目的として、解析モデルの簡略化に関する検討を行った。

2.内容

実製品を忠実にモデル化することで、一定レベル以上の計算精度を確保できるが、忠実にモデル化することにより計算規模が飛躍的に増大するため、機器全体のモデル化は事実上不可能である。本研究では、電子部品及びプリント配線板を対象とした解析モデルの簡略化を行った。

3.考察

プリント配線板上に実装した電子部品を単独に発熱させた場合には、電子部品ならびにプリント配線板を簡略化したモデルでも十分な精度で温度分布を得られることが明らかになった。今後は、複数の部品を同時に発熱させた(熱干渉がある)場合でも、今回提案した簡略化モデルが適用できるか否かの検討を進める。

研究題目 ランダム振動試験の条件設定に関する研究
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○井谷久博、吉村圭二郎
研究概要

1.目的

当所の振動試験機ではランダム振動が可能であるが、正弦波試験結果を考慮した試験条件設定の困難さのため現状ではほとんど実施されていない。本研究では、実環境における振動解析と試験条件の決定方式に関して検討した。

2.内容

学会・展示会参加および文献等による技術調査に加え、貨物を搭載した輸送車両が実走行時に発生する振動加速度データの獲得および解析を行った。

3.考察

実際のランダム振動試験のPSDや試験時間などの試験パターンを決定する方法については、測定したPSD形状や加速度の頻度、輸送シナリオから決定する方法などが提案されているが、一般的な手法はいまだ確立されていないことがわかった。当所の設備、試験にかかるコストを考慮した結果、過去の測定データをパラメータごとにデータベース化し、データベースをもとに試験パターンを決定する方法が現実的と判断した。

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