名古屋市工業研究所

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研究報告

平成18年度研究報告

重点事業 (1テーマ)

事業名 自動車軽量化部品の製造技術の開発
担当 [生産技術部]:西脇武志、黒部文仁、村田真伸、児島澄人
[電子情報部]:林幸裕、山田範明、小島雅彦
補助事業名 公設工業試験研究所の設備拡充補助事業〈日本自転車振興会〉

1.目的

名古屋市及びその周辺地域では、自動車を始めとする輸送機械・機器などの工業製品が多く製造されている。地球環境への悪影響を最小限に抑えるため、輸送機器産業では、CO2排出量削減のために車体構造を軽量化することが重要な課題となっており、軽量化部品の製造が検討されている。軽量化部品の製造の代表的な手法は、鋼板製既存部品をアルミニウム合金板製に置き換えることであるが、アルミニウム合金板はプレス加工性に劣るため、その製造が困難となっている。
本事業では、部分軟化法によるプレス加工という新たな技術により汎用プレス加工機で製造可能なアルミニウム合金板製軽量化部品の製造技術の開発や生産技術の開発に取り組む。さらに、環境影響物質使用規制の観点に立ち、環境対応材料を用いた自動車用電子部品等の信頼性評価技術の開発を目指す。そのために必要となる所要機器を設置して設備の拡充強化を図り、当地域の中小企業の指導・育成に努め、技術水準の向上及び発展に寄与する。

2.内容

市販の汎用アルミニウム合金板の部分軟化熱処理を行うため金型音間システムを設置し、成形性を改善した部分軟化アルミニウム合金板を作製する。作製した部分軟化アルミニウム合金板については、組織や析出物の同定を行うため、オージェ電子分光測定制御装置を設置した。またその成形性は、万能塑性加工試験機を設置し、円筒深絞り成形・角筒深絞り成形性等のプレス成形性の評価を行う。
さらに、近年増加している自動車用電子部品等の製造技術を確立するため、プリント基板・はんだ導体抵抗評価システムを設置し、環境対応材料を用いた電子部品の信頼性評価技術を確立する。

3.成果

自動車軽量化部品の製造技術は、新しい製造設備を必要とすることなく難加工金属板であるアルミニウム合金板を加工可能にする技術であり中小企業でも容易に取り組むことができる。さらに導入する設備により開発される技術は当所での簡単な成型品の試作やその評価を可能にするため、中小企業による新部品開発や技術力向上に寄与できる。このような部品製造技術の開発に加えて、環境に対応した材料に代替した自動車用電子部品の信頼性評価技術の開発を図ることにより、部品採用の実現性が高まる。

4.設置機器

機器名称 型式・性能 製造所名 設置年月日
万能塑性加工試験機 ECO­100T

(株)オプトン

H19.3.16
金型温間システム SK­060404­1 三機商事(株) H19.2.28
オージェ電子分光測定制御装置 AESデータシステム 日本電子データム(株) H19.1.31
プリント基板・はんだ導体抵抗評価システム AMR­120­PD/PL­3KP/TSA­101S­W エスペック(株) H18.12.8

主要研究および分担研究(コア技術16テーマ)○:主担当
コア技術名 1.機械診断における予知保全システム技術

主要研究題目 加工機械等の性能診断技術の確立
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○野呂重樹、藤井優、長谷川照夫、児島澄人、夏目勝之、松下聖一、山岡充昌、真鍋孝顯
研究概要

1.目的

製造工程における械設備の保全において、事後では損害が甚大であり、定期保全では無駄となる場合がある。そこで、機械設備の状態を適宜監視し、故障や過負荷が予想されるときにのみ、部品交換や操業条件の変更などの対策ができる診断するシステムを検討する。そこで加工機械の工具を事例として取り上げる。

2.内容

ボール盤は加工機械の中で、ドリル穴あけ加工機として、作業内容や構造がシンプルであり、工具の診断技術を応用する事例として有効と考えられる。ドリル穴あけ加工の際、穴あけ個数と加工音、振動を計測するとともに、ドリルの磨耗量を計測するため、ドリル刃先を撮影するなどにより、計測データを解析し、それらの関係を求める。

3.成果

実験により、実験方法による加工音の計測方法や加工場所による差異が加工音に影響することや、切りくずが周囲にあたる音が影響するなどの知見を得ることができた。実験の結果はドリル磨耗幅(穴あけ個数)と穴あけ加工音のパワースペクトルの関係は今回のところ、明確にはなっていない。振動などの他の徴候計測・検討する必要がある。

コア技術名 2.CAEを用いたシミュレーション技術

主要研究題目 部分軟化アルミニウム合金板の容器成形に関する研究(薄板製軽量部品の製造技術の開発及びシミュレーション技術)
研究区分 重点
研究者 (生産技術部)○西脇武志、黒部文仁、村田真伸、児島澄人
研究概要

1.目的

アルミニウム合金板は鋼板と比べてプレス成形性に劣っているため、その改善が望まれている。そのため部分軟化成形法という汎用のプレス機を利用可能な成形技術の開発を行ない、中小企業におけるアルミニウム合金板の加工を促進する。

2.内容

部分軟化成形法において成形性の向上に重要な部分軟化領域の予測技術について検討を行なう。CAEを用いた角筒容器シミュレーションをとりあげ、CAEのモデル化手法の確立や成形限界を予測するための破断予測精度の向上をめざす。

3.成果

部分軟化熱処理時の熱影響時を考慮したCAEのモデルを作成し、考慮しないモデルの計算結果や実験結果と比較した。熱影響部を考慮しないモデルでは計算結果は実験結果と異なったが、熱影響の考慮によって実験結果とほぼ一致し、部分軟化成形法のCAEでのモデル化手法を確立できた。

分担研究題目 CAEによるプラスチック成形金型の設計支援
研究者 (生産技術部)黒部文仁
研究概要

研究結果

自動車用プラスチック材料として一般的なPC,PP,PSに対して樹脂流動解析を行い、実成形品と比較して解析精度を検証した。モデルは板厚が2,4,6mmに変化する短冊状で、各板厚部分に穴を持つ形状とし、またゲート位置を変更できる金型とした。樹脂の最終充填位置とウェルドの発生位置は、どの樹脂、どのゲート位置においても解析による予測精度が高く、金型設計に利用可能であることが確認できた。今後は成形品の収縮やそり変形の予測精度について検証していく予定である。
分担研究題目 軽量クラッド材料の成形とその後の機械的性質に関する研究(金属製品および樹脂製品の構造強度の評価技術)
研究者 (生産技術部)児島澄人
研究概要

研究結果

軽量でかつ耐食性に優れるA5052(Al­Mg)合金とSUS304のクラッド材料を作製した。通常、この組合せの場合、溶接が難しい(偏析物の生成)ことから、融点以下でも接合の可能な熱間圧延法を試みた。その結果、500℃で圧延すると良好な接合が可能であった。これは圧延時に生じる摩擦と高温による拡散が関係していた。クラッド板の成形性を調べるために180度曲げ試験を行った。その結果、アルミニウムとステンレスのクラッド比が2:1の試験片で、割れや基材の破損無く良好な曲げができた。また、深絞り加工機にてカップ状の成形を行った。その結果、35のカップが絞り比約2で成形できた。

コア技術名 3.表面処理応用技術

主要研究題目 セラミックスコーティング膜の研究開発 (i)機能性セラミックスコーティング技術の開発 (ii)セラミックス微粒子分散新規複合めっき技術の開発
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (材料技術部)○小野さとみ(i)、柘植弘安、○松本宏紀(ii)、加藤雅章、西保夫
研究概要

1.目的

(i) 化学溶液法を用いて六価クロメート代替処理として利用できる水系コーティング技術を開発する。
(ii) セラミック粒子分散めっきは高い耐磨耗性が期待されるため、電解Ni­Pめっきをマトリックスに用い、分散させるセラミック粒子に焼結用α­アルミナを用いて高耐摩耗性の皮膜を作製することを目的とする。

2.内容

(i) 有機シラン化合物より調整した有機・無機ハイブリッド皮膜を用いることにより、クロムフリーで金属表面に高耐食性を付与できるコーティング技術を開発した。水を溶媒として、テトラエトキシシランと酢酸のみから調整した溶液では高耐食性皮膜の形成は困難であるが、そこへ、メチルトリエトキシシランを組み合わせ、これら3成分を所定の割合で混合した溶液が、亜鉛めっき上において耐食性皮膜を形成する可能性があることを見出した。そこで、これらの様々な組成において水系シリカ溶液を調整し、その溶液を用いて亜鉛めっきをはじめとし、ステンレスやアルミニウム上に作製した皮膜について耐食性を評価した。
(ii) めっき浴成分中の亜リン酸濃度を変化させた浴を用いて、様々な量のリンを皮膜中に含有する分散めっき皮膜を作製した。作製した分散めっき皮膜の耐摩耗性試験を行い、その測定結果から最適なめっき浴組成を確立した。

3.成果

(i)水系シリカ溶液の組成を最適化することにより2週間程度安定なコーティング溶液を調整した。その溶液を用いて金属上に作製した皮膜は高い耐食性を有していることがわかった。特に、亜鉛めっき上に作製した皮膜では、塩水噴霧試験96時間で白錆発生率5%以下の高耐食性皮膜を作製することができ、本研究の最終目標を達成した。
(ii)本年度の目標は耐磨耗試験によるめっき皮膜の機械的評価と実用化に向けためっきプロセス管理の検討であり、機械的評価に関してはほぼ達成することができた。実用化に向けた研究に関しては市内企業と連携して今後進めていく予定である。
主要研究題目 銅−スズ合金めっきをニッケル代替として利用した新しい装飾めっきの開発
研究区分 共同(愛知県鍍金工業組合)
研究者 (工業研究所)久米道之、(材料技術部)西保夫、三宅猛司、松本宏紀、○加藤雅章
研究概要

1.目的

装飾めっきとしてニッケル/クロムめっきが広く用いられているが、ニッケルめっきでは金属アレルギーが、クロムめっきでは六価クロム規制がそれぞれ問題となっている。我々はこれまでニッケルめっき代替として銅­スズ合金めっきの開発をおこなってきたが、今回、銅−スズめっきに適合したクロム代替めっきについても検討をおこなった。

2.内容

スズ−コバルトめっきはクロムめっきに類似した色調を有しており、代替めっきとして一部用いられている。しかし耐食性や硬度が十分でないなどの問題点も多い。そこでスズ­コバルトめっきに第三元素を共析させることで皮膜特性の改善を試みた。

3.成果

スズ­コバルトめっきはスズ酸ナトリウムベースのアルカリ浴が一般であるが、本研究では、第三元素として鉄を共析させるために硫酸スズベースの酸性浴で検討をおこない、光沢外観を有するめっき皮膜の作製することができた。このめっき皮膜の結晶粒は数十ナノメートルオーダーで あり、鉄の共析によってさらに微細化することが確認された。

コア技術名 4.光触媒応用技術

主要研究題目 酸化チタン光触媒を利用した水処理システムにおける各種影響因子の解明
研究区分 共同(名古屋大学)
研究者 (材料化学部)○大岡千洋、西保夫
(資源環境部)岸川充幸
研究概要

1.目的

酸化チタン光触媒水処理に影響する各種の影響因子を体系的に明らかにし、個々の応用目的に応じた光触媒水処理システムの設計指針を明らかにする。

2.内容

水中有害有機物質の光触媒分解反応で共存イオンの影響を体系的に調べた。反応容器には流通循環式のものを使用し、固定化担体としては当面はガラスビーズとし、酸化チタンそのものの反応挙動を掌握することに努めた。対象物質としてビスフェノール­Aを選定し、共存陰イオンとしては、Cl­-、SO42­-、NO3-­、共存陽イオンとしては、Na+、K+,Mg2+、Ca2+について濃度の影響を調べた。

3.成果

中性水溶液中のビスフェノール­Aの酸化チタンによる光触媒分解反応における共存陰イオンの影響については、Cl­-は光触媒反応を阻害し、SO42-­は促進し、、NO3-­は大きな影響を与えないことが明らかになった。共存陽イオンについては、Na+,K+,Mg2+,Ca2+の光触媒反応への影響は見出せなかった。

コア技術名 5.生分解性プラスチック技術

主要研究題目 バイオマス由来の環境適応材料の開発と応用
研究区分 重点
研究者 (材料技術部)○飯田浩史、小田三都郎、武田卓也、石垣友三、岡本和明、林英樹、原田征、福田博行、
(資源環境部)二村道也
研究概要

1.目的

バイオマス由来の環境適応材料であるポリ乳酸は、硬くてもろく成形加工性も悪いという欠点がよく知られており、プラスチック業界ではこれらを改善するニーズが高まっている。そこで、反応性相溶化の手法を適用し、ポリ乳酸の耐衝撃性および成形加工性を改善することを目的とする。

2.内容

ミキサーによるトルク測定を行い、耐衝撃性を増大させることのできる反応性相溶化剤のスクリーニングを行った。キャピラリーレオメータを用いて低剪断速度側で剪断粘度の増大が起きていることを見出し、それを抑えることに成功した。金型作製装置を用いて設計および金型切削を行い、入れ子を試作した。また、企業との共同試作を行った。

3.成果

反応性相溶化剤の選択により、少量の添加でかつ剪断粘度の増加が抑えられる条件を見いだした。これにより、耐衝撃性と射出成形生産性のバランスが取れたポリ乳酸が開発できた。

主要研究題目 機能性添加剤を目指した材料開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○林英樹、原田征、飯田浩史、粟生雅人
研究概要

1.目的

環境に優しい生分解プラスチックへの添加剤として用いることを想定して、添加剤が環境へ流出しにくい構造で、かつ、光機能、電子機能などの新しい機能を与えることのできる新規材料を開発することを目的とする。

2.内容

反応性側鎖を持ち、窒素や珪素などを含有した複素環式ポリマーを合成して、生分解性樹脂への添加剤とした。さらに、低分子系反応性化合物を加えてリアクティブプロセッシングを行い、複素環式ポリマーと生分解性樹脂との化学結合を試みた。モデル化合物の合成、反応については、NMR(核磁気共鳴)およびSEC(サイズ排除クロマトグラフ)による確認を行った。

3.成果

成形体の分子量を測定したところ、樹脂に低分子系反応性化合物またはポリマーのみを添加したものより、低分子系反応性化合物とポリマーの両方を添加したものの方が、分子量が大きかった。低分子反応性化合物を介して樹脂と結合した分子構造を有する、新規合成ポリマーが得られた。

分担研究題目 ナノコンポジット技術による生分解性高分子材料の高機能化
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)岡本和明
研究概要

1.目的

押出機を用いたナノフィラーの添加により既存の生分解性樹脂の成形性や難燃性、機械強度などの諸物性を改善し、その利用性を高めることを目的とする。

2.内容

バッチ式混練機(ラボプラストミル)を用いて、ポリブチレンサクシネート(PBS)と有機クレイの混練をおこない、混練温度・時間と構造との関連をX線回折スペクトルにより評価した。また、PBSと難燃剤・有機化を混練し、シート(0.8mm)のUL94垂直燃焼試験を行った。また、難燃剤の添加による分子量低下についてもGPCを用いて確認した。キャピラリーレオメータを用いてPBSとナノコンポジット化PBSの溶融粘度を測定した。

3.考察

有機化クレイの分散は、速やかに起こることが確認され、押出機の短い滞留時間で十分な分散が得られることが確認された。難燃剤の添加によりPBSがV­0を達成できることが確認されたが、多量の添加(数十%)が必要であった。難燃材の添加による樹脂の分子量低下はポリ乳酸のように顕著ではなかった。ナノコンポジット化によるPBSの成形性の低下は起こらないことが確認された。

コア技術名 6.吸水・吸油材料技術

主要研究題目 吸水・吸油材料の開発と応用
研究区分 指定
研究者 (資源環境部)○中野万敬、朝日真澄、山中基資
研究概要

1.目的

従来技術に加えナノ技術を取り入れた高性能、高機能吸水・吸油材料の開発を行い新製品の開発につなげるとともに、開発した材料を利用して液状物質の流出防止、環境浄化、物質のリサイクルに役立てることを目的とする。

2.内容

これまで実用化されたオイルゲル化剤は数種類しかなく、すべて水素結合をゲル化の駆動力としている。このため、水や添加物などによりゲルの形成が妨げられたりゲルの崩壊が起こったりする。この問題を解決するため、フッ素の凝集力をゲル化の駆動力とする低分子ゲル化剤の開発を行う。

3.考察

パーフルオロ基を有するエステル化合物を合成しそのゲル化能を調査した。得られた化合物のいくつかは、メタノールやエタノールをはじめとするアルコール類から化粧品などで使用されるシリコンオイルやスクワランなどさまざまな液体をゲル化させることができた。しかもほとんどの溶媒は10g/L以下という低濃度でゲル化した。安定性を調べるためシリコンオイルより得られたゲルを水とともに室温で放置したが、一年以上ゲル状態を維持していることを確認した。このゲル(乾燥後)のAFM観察から、直径数十nmのナノファイバーによりゲルが維持されていることがわかった。

コア技術名 7.廃棄物の再資源化と環境対応技術

主要研究題目 プラスチックの熱分解を利用したリサイクル技術に関する検討
研究区分 指定
研究者 (資源環境部)○山口浩一、木下武彦、秋田重人
研究概要

1.目的

簡便な装置や手法を用い、廃棄物に含まれる資源・エネルギーを有効に利用することで従来の手法より処理コストや環境負荷の低減を可能とするリサイクル技術の開発を狙い、異種廃棄物の混合熱処理について検討した。

2.内容

焼却灰など有価金属を含む廃棄物からの金属回収ならびに廃プラスチックのケミカルリサイクルを想定し、主に廃タイヤ焼却飛灰(TFA)とポリ塩化ビニル(PVC)を用いて混合熱処理を行い、TFAを金属源、PVCをHCl源として利用することを試みた。熱処理した試料からの金属の湿式回収ならびに熱処理後に生成する炭素残渣の有効利用について検討した。

3.成果

TFAとPVCの混合物を200〜300℃で熱処理したところ、PVCの熱分解により発生するHClガスはTFAに効率よく吸収された。この過程でTFAに含まれる亜鉛化合物が塩化物となるため、熱処理後の試料からは水浸出によりZnを選択的に溶出させて回収できることがわかった。また、この混合物を400〜700℃で熱処理すると生成する塩化亜鉛により炭素残渣が賦活され、良好な吸着性能を有する炭素が得られた。

主要研究題目 超臨界流体の利用によるバイオプラスチックのリサイクル技術の開発
研究区分 重点
研究者 (資源環境部)○高橋鉱次、村瀬由明、秋田重人、丹羽淳、吉田和敬、山口浩一、高木康雄、朝日真澄、山中基資、奥田英史、桜井定人
研究概要

1.目的

代表的なバイオプラスチックであるポリ乳酸の利用が今後増加すると、使用後の廃棄物や原料供給の問題が顕在化し、そのリサイクル技術の確立が必要になることが考えられるため、異種ポリマーとのブレンドや添加剤を含むポリ乳酸樹脂成形材料のケミカルリサイクルについて検討した。

2.内容

ポリ乳酸のケミカルリサイクルとして検討されている(1)熱分解、(2)水熱反応、(3)超臨界二酸化炭素を媒体に用いるメタノリシスのうち、(3)は(1)や(2)と比較して低温で処理できる特徴があり、(3)の方法を用いてポリ乳酸およびその成形材料を対象に分解を行い、分解生成物を調べた。

3.成果

報告されている方法に従って超臨界二酸化炭素中でポリ乳酸のメタノリシスを行い、分解生成物をGC­MSで分析するとラクチドが検出されたが、NMRやGPC測定などからこのラクチドは、低分子量化したポリ乳酸がGCの試料気化室中で熱分解して生成したものと推定された。各種のポリ乳酸樹脂成形材料についてメタノリシスによる乳酸メチルの生成について調べた結果、ほぼ定量的に乳酸メチルが生成したが添加剤等の種類によっては生成量が低下した。


 

主要研究題目 固液流動層を用いたプラスチックの分別
研究者 (資源環境部)○秋田重人、山口浩一、高橋鉱次
(材料技術部)福田博行
研究概要

研究結果

流動層湿式比重分別法を用い、破砕混合物の素材による分別を検討した。分別槽(Φ=30mm)にガラス、金属、プラスチック等の破砕混合物(〜5mm)を充填し、下方より所定流量で通水して充填層を流動化状態とした。各素材は比重差に従って成層化し、迅速な分別が得られた。分別に与える形状の影響は大きく、粒状物では比較的良好な分離が得られたが、ハーネスや繊維等を含んだサンプルでは流動化が妨げられた。

コア技術名 8.画像応用技術

主要研究題目 移動型画像計測システム
研究区分 指定
研究者 (電子情報部)○黒宮明、渡部謹二
研究概要

1.目的

カメラを移動しながら撮像することで広範囲に表面性状と形状を得るシステムを開発する。ここでは、面状に広がる長大な範囲を、高速度でカメラを移動させながら撮像し、高精度な表面性状と形状を得ることが目的である。

2.内容

線状領域を撮像するカメラを高速に並進移動させながら、広範囲に表面性状と形状を計測した。この撮像形態におけるカメラパラメータを算出することで、カメラの視野面を自由に設定した形状計測を試みる。この方式において視野面の異なる画像から相関点を探策する計算、この相関点とカメラの位置および先のカメラパラメータにより形状計算ができた。

3.成果

線状領域撮像方式におけるカメラパラメータを算出し、形状計測結果を評価した。3.3mの線状領域を撮像するカメラを4m/秒くらいの速さで移動させながらこの視野面における形状が算出できた。計測誤差は、プラスマイナス3〜5mmであった。

分担研究題目 ビデオ信号処理に関する研究
研究者 (電子情報部)渡部謹二
研究概要

研究結果

2年間を通じLSI設計の際にエミュレーションとして採用されているFPGAと呼ばれているデバイスを用いて画像処理を行った。初年度は周波数変換やフィルタリング回路などを作成して挙動をテストしたが、本年度は大規模な画像を扱うためにメモリコントローラを中心に開発を行った。ハードウェア実装は開発にかかるコストがソフトウェアに比してかかるため、ソフトウェアシミュレーションの重要性が非常に高い。本研究においてはシミュレーション結果が実装結果と同一になるための条件の決定に工数を多く費やした。
またパルスノイズを除去するためのアルゴリズムの開発をソフトウェア環境において行った。来年度はこのパルスノイズ除去アルゴリズムのハードウェア化を行う予定である。

分担研究題目 画像情報を用いた移動ロボット制御システムに関する研究
研究者 (電子情報部)○井谷久博、梶田欣
研究概要

研究結果

シンプルな行動ルールからBoostingアルゴリズムによって高度なルールを獲得するシステムを考案した。また、実機による検証を行うため、新規機器が購入できないので手持ちのハードウェアを調査・検討した。

分担研究題目 画像情報を用いた移動ロボット制御システムに関する研究
研究者 (電子情報部)○井谷久博、梶田欣
研究概要

研究結果

本研究は、栄養管理・食事指導に関して従来法に比べ@患者・栄養士の負担、A記録精度などの問題を改善する安価で簡便な栄養量算定支援システムの構築を目的としている。本年度は、食品の特定支援機能を中心にシステム構築を行った。具体的には、PCに表示された食事画像上で、特定の食品をマウスで線を描きな がら囲むとコンピュータがその大きさを推定し、階層プルダウンメニューからその食品を特定して、先に求めた大きさから栄養量を推定できるようにした。

コア技術名 9.ユビキタス・IT対応技術

主要研究題目 ユビキタスIT対応型デバイス、デバイス製造・設計技術、計測技術の開発
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○小島雅彦、竹内満、山田範明、伊藤治彦、宮田康史、白川輝幸、小田究
研究概要

1.目的

ユビキタスITに対応した設計技術や計測技術を確立するため、(1)GHz帯電磁ノイズ対策技術の確立、(2)ユビキタスセンサネットワークを意識した計測用デバイスの開発、(3)プラズマプロセスを用いた自律型ナノ加工装置の開発に取り組む。

2.内容

(1)磁性シートの電磁ノイズ抑制効果を測定したところ、シートの材質や厚みに依存することが明らかになった。(2)道路面上の塩分濃度が非接触で検出可能な測定システムを構築し、実道路において試験したところ良好な結果を得ることができた。(3)インシュレータを配した電極構造を検討し、発光スペクトルを測定した結果、連続な発光スペクトルを有することを確認した。

3.成果

(1)電磁ノイズ対策に使用する磁性シートの効果を対策したい周波数に合わせる手段として、厚さを選択する方法を提案した。(2)道路面上の塩分濃度非接触計測システム実用化の目処を得ることできた。(3)構造を改良することによって連続な発光スペクトルを有するラジカル計測用の光源を作ることができた。

主要研究題目 組み込みOSの試験と検証
研究区分 共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○小川清、斎藤直希、渡部謹二、小島雅彦
(機械金属部)真鍋孝顯
研究概要

1.目的

名古屋地区の中小企業では、自社オリジナルのハードウェアに、組込みOSを搭載してソフトウェアのプラットフォームを構築し、開発期間の短縮やシステム価値の向上を図ることが一般的となっている。これらの場合、WTO/TBT(Technical Barriers to Trade)協定に基づき、国際調達の非関税障壁防止のため国際規格に適合した試験結果を添付する必要がある。また、工業標準化法に基づき、官庁の調達が工業標準(国際規格との整合性を図っているもの)を尊重する必要があり、これらの工業標準に基づいた試験プログラムを利用することができる。

2.内容

OSの試験の体系化が、OSを開発する側の視点での分類はあるが、OSを利用する側での分類に基づいた体系化が存在しなかったため、ISO/IEC 25000(SQuaRE)シリーズに基づいた体系化を試みた。POSIXのTest Suiteを公開しているNISTの試験プログラムは、セルフ開発環境のものであったため、クロス開発環境での試験を実施できるようにした。この試験の際 に、Window上のcygwinで試験できない項目がCコンパイラによるものか、OSによるものかの範囲を区分するため、GCCのTestについて検討した。

3.成果

POSIXのTest Suiteのクロス開発環境での試験の実施、GCCのTest Suiteの実施、OSを利用する側にとっての試験項目の体系化について、情報処理学会組込みシステム研究会、電気関係学会東海支部で発表した。また、その成果を業界対応型研修の組込みLinux研修において、研修内容に盛り込んだ。

コア技術名 10.燃料電池技術

主要研究題目 燃料電池の材料開発および燃料電池実用化技術の開発
研究区分 共同(産業技術総合研究所)
研究者 (電子情報部)○宮田康史、岩間由希、高橋文明
研究概要

1.目的

燃料電池は発電効率が高く、環境負荷が低い次世代の発電装置として期待が高く、内燃機関の代替や分散型電源、可搬型電源として製品化が模索されている。これまで工業研究所で行ってきた燃料電池の開発を進め、小型化に有利な液体燃料が利用可能な固体高分子形燃料電池材料の開発と、中温域対応の固体酸化物燃料電池用セラミックス電極触媒と電解質の開発を目標とした。

2.内容

燃料電池の性能向上とアルコールなど液体燃料の利用を可能とするための材料開発と評価技術を実施した。電解質膜のアルコール透過性を抑えるとともに燃料電池でのアルコール反応性を高め、消費されるアルコールに対する発電効率を向上するための電解質膜および電極開発を行った。
中温域で作動可能な燃料電池の材料開発としてセラミックスを応用した薄膜電解質や高活性電極の材料開発および製造プロセス開発を行った。ジルコニア微粒子と電極材料の粒子径分布を制御することで薄膜化と寸法精度を向上させ、熱膨張係数を低く抑え、多孔化アノード電極を支持体とする電池構造の検討を行った。さらに低温で作動する新規電解質の検討を行い、良好な結果を得た。

3.成果

開発した新規高分子電解質膜は従来のNafion電解質膜に比べて、アルコールの透過性を抑えることが可能になった。さらに新規電解質膜に合わせた電極製法として噴霧法を検討したところ、均一性に富み高性能電極の作製が可能になり、電池の常用電流域で良好な特性を得ることができた。固体酸化物燃料電池用電解質として、薄膜電解質を有するアノード電極支持型の電池の製作が可能となり、前年度に取り組んだ高性能化の成果を取り入れた電池を製作し、発電特性を評価したところ、高出力を得ることができた。

コア技術名 11.金属材料の破損調査とその利用技術

主要研究題目 金属材料の破損・不良調査事例のデータベース化
研究区分 指定
研究者 (機械金属部)○山田隆志、山崎実、松井則男、橋井光弥、毛利猛、山田博行、川尻鉱二
研究概要

1.目的

中小企業からの金属材料の破損・不良調査依頼に対して、より的確・迅速に応えられる体制の維持あるいは強化を目指し、過去の調査事例を活用するためのデータベースの構築を行う。今期は、依頼・相談への運用を想定して利用しやすいデータベースの枠組みを構築する。

2.内容

使用するソフトはマイクロソフト社のアクセスに決め、入力については、基本情報テーブル、製品部品テーブル、実施試験テーブル、試験結果テーブルの4種類のテーブルに分けて入力することとした。また、結果については一覧表計式およびカード形式の2種類のフォームで閲覧することができ、さらに、結果検索により抽出したデータをPDF形式の成績書として参照できる仕組みとした。

3.成果

データベースの大枠は完成した。そのデータベースに数十件の過去の調査事例のデータを入力し、本データベースの有用性について検証を行った。それを通して、結果検索の自由度をより高めた方がさらに利便性が向上するといった改良点が明らかにされた。

分担研究題目 粉末冶金法によるFeAl材料の開発
研究者 (生産技術部)橋井光弥
研究概要

研究結果

「未還元の水アトマイズFe粉末」「Al粉末」「ミルスケール」を原料として、メカニカルアロイング­真空ホットプレスによるFeAl金属間化合物基複合材料の合成を行い、以下の知見を得た。
(1)従来材と比較して10vol%Al2O3分散FeAl焼結体(本研究材)の強度(耐力)は、573Kにおいて約10倍、873Kにおいて約4倍、1173Kにおいて約7倍を示す。(2)Al2O3分散相体積率の効果が高温になるほど大きくなる。

分担研究題目 リサイクル性に優れたステンレス基複合材料の開発
研究者 (生産技術部)松井則男
研究概要

研究結果

Fe­48at%Cr+4wt%Si組成の混合粉末を180ks間MA処理し、その後973Kで72ks間保持する熱処理を行った。X線回折装置でδ相の生成を確認した後、この粉末をSUS410L粉末に50wt%添加して乳鉢・乳棒で混合し、SPSを用いて温度1,273Kで0.3ks間保持して焼結体 を作製した。この焼結体から機械加工により引張試験片を作製し、室温大気中にて引張試験を実施した。その結果、約440MPaの引っ張り強度を示した。今後、混合および焼結条件を変更することで強度の向上を図る。

コア技術名 12.化学分析・化学計測技術

主要研究題目 泡沫分離法に関する研究開発
研究区分 指定
研究者 (材料技術部)○木下武彦、石垣友三
(資源環境部)山口浩一
研究概要

1.目的

従来の泡沫分離法では、泡沫相において泡沫間に存在する同伴水中の非対象物を取り除くことが出来ず、回収物の選択性向上に問題がある。また回収率や濃縮比の両立が難しい場合も多く、総合的な分離回収の性能向上が課題である。本研究において、選択性のみならず回収率および濃縮比の向上を両立させる新しい分離手法の提案、およびその装置の開発を目的とする。

2.内容

今年度は分離回収された泡沫液からの更なる金の濃縮分離を促進する方法として、低環境負荷に加えて簡便な操作、大きな吸着容量などを特徴とする吸水ゲルによる吸着法を検討した。

3.成果

金に親和性を持つ側鎖を有する吸水ゲルを合成し、塩酸水溶液からの金の回収実験を行った。ゲルの吸水量は微量であるのに対し、水溶液中の金の95%以上がゲル内部に吸着されたことが確認できた。泡沫液への本ゲルの適用に関しても同等の吸着性能が確認され、泡沫分離後の濃縮分離手段として有効であることが分かった。

主要研究題目 環境対応型新材料および有害微量成分の分析評価技術の開発
研究区分 指定
研究者 (材料化学部)○酒井光生、大橋芳明、野々部恵美子、佐藤眞
研究概要

1.目的

RoHSなどの環境規制の強化に伴い、環境対応型新材料の開発や材料・製品中の微量有害成分の把握・管理の強化が急速に進展している。そのため、分析評価技術においては、公定法がないあるいは公定法はあってもそのままでは適用できないなどの問題が増加しており、新たな分析法の開発が喫緊に求められている。本研究では、非鉄合金の無鉛化への対応を中心として、主成分および微量成分の高精度な分析技術ならびに蛍光X線による簡便な分析手法の開発をおこなった。

2.内容

本年度は、蛍光X線法による銅合金の迅速分析法の開発を中心に、昨年度までに開発した湿式的手法による精密分析法の妥当性の検討、アルミニウム合金中の微量成分の高温炉原子吸光法による定量性の検討をおこなった。鉛レス銅合金の蛍光X線法による分析においては、共存成分の影響が大きいので、分析試料に対応した標準物質は得難い。また、熱履歴や加工履歴による影響を考慮する必要もある。そこで、これらの問題点を解決するために高感度点滴濾紙法およびガラスビード法の適用性について検討した。

3.成果

(1)現行のJIS分析法を適用することができない鉛レス黄銅について、主要8成分(Cu,Bi,Zn,Sn,Pb,Mn,Si,Ag)の湿式的手法による定量方法を確立した。その中には、JISの方法を再確認したもの、様々なJISの手法を組み合わせたものもあるが、多くは独自に工夫したものである。これらの方法による分析結果は、これも分解酸などを工夫したICP法によるそれとよく一致した。さらに共同分析で方法の妥当性を検証し、良好な結果を得ることができた。
(2)銅合金中の微量成分(Cd,Pb,Cr,As,Se,Sb,Sn,Mn,Co,Ni,Al,Zn)について、高温炉原子吸光法による定量法を検討した。その結果、Sn,Seを除き、Cu 1000ppm共存下でppb〜10ppb(0.1〜1μg/g)のオーダーまで定量可能であることが分かった。化学修飾剤(Pd,Mg)の添加効果についても調べたが、顕著な効果は認められなかった。
(3)波長分散型蛍光X線は高分解能であり、金属の定量に有利である。しかし、鉛レス青銅の場合には、たとえばPb L β1に対してSe Kβ1やBi L β4が重なるなど、定量の妨げとなるスペクトルの重なりが多く生じる。そのため、厳密な重なり補正が不可欠であった。重なり補正は実験的におこなうため、多様な組成を持つ標準試料の準備が必要である。一方、今年度、高珪石質中の微量成分の定量について、低希釈率ビード法と原子吸光用標準液添加による検量線用試料作製法とが有効であることも明らかにしたが、標準液添加による検量線用試料作製法は標準物質が未整備である銅合金の定量への応用も期待できると考えられた。

コア技術名 13.熱・音響・振動計測による材料・製品の評価技術

主要研究題目 熱・温度に関する材料物性評価、熱設計技術
研究区分 指定、団体共同(中部エレクトロニクス振興会)
研究者 (電子情報部)○高橋文明、小田究、梶田欣、竹内満
研究概要

1.目的

最近の電子機器では、小型化あるいは高性能化に伴う発熱量の増加が深刻な問題になっている。これに対して、シミュレーション技術を用いた熱対策技術、いわゆる熱設計を製品開発に活用する事例が増えている。本研究では、熱設計技術を確立するため、以下の内容で指定研究及び共同研究に取り組んだ。

2.内容

指定研究では、発熱量の推算手法ならびに熱物性測定技術の開発を行うとともに、推算・測定精度の向上を図った。共同研究では、シミュレーションモデルの簡略化によって、モデル作成及び計算時間の短縮化を図るとともに、実機を使った実測との比較から簡略化モデルの有効性を検証した。

3.成果

発熱量の推算手法ならびに熱物性測定技術は、実用上問題のないレベルまで到達することができた。また、シミュレーションモデルの簡略化に関して、電子素子部のモデル化指針を得ることができた。なお、プリント基板部のモデル化については、引き続き検討を行っていく予定である。

分担研究題目 低騒音化に関する音響振動技術の研究
研究者 (生産技術部)○山内健慈、近藤広文
(電子情報部)奥村陽三
研究概要

研究結果

材料遮音特性の簡易評価法確立のため、遮音特性評価に使用する簡易遮音BOXの音響特性について、精密に把握することを試みた。遮音BOX底部のスピーカにより上部開口面から放射される音を、音圧レベルおよび音響インテンシティにより測定し、さらに境界要素法を用いて、遮音BOX近傍の音場の可視化を行った。音響特性を従来よりも精密に把握することができ、また特定周波数帯域での音響インテンシティベクトルの様子が、他の帯域とは異なることが分かった。

コア技術名 14.電子機器の信頼性評価と環境対応技術

主要研究題目 電子機器の高信頼性化に関する研究
研究区分 重点
研究者 (電子情報部)○林幸裕、山田範明、小島雅彦
研究概要

1.目的

電子機器の信頼性を向上するため、効果的な信頼性評価システムを構築し、さらに故障解析と対策技術の確立を行い、中小企業を技術的に支援する。はんだ接合部の接続信頼性を正確かつ効率的に評価できる手法の確立を行う。電子機器の鉛フリー化において発生する問題を解決する。

2.内容

冷熱衝撃試験や温湿度サイクル試験を実施し、その試験中にはんだ接合部の抵抗値変化を連続測定するため、プリント基板・はんだ導体抵抗評価システムを導入した。鉛フリー化に伴って導入された錫めっきに発生するウィスカの発生条件を調べた。

3.成果

プリント基板・はんだ導体抵抗評価システムにより、亀裂発生の事実とそのサイクル数を捉えることができ、はんだ接合部の目視検査ができない面配列型パッケージでも有効に利用できることを確認した。錫めっきした基板の材質によりウィスカの発生しやすさが変わった。めっき後の加熱で発生が抑制されることが分かった。

コア技術名 15.高強度マグネシウム合金の創製技術

主要研究題目 金属強化マグネシウム合金複合材料の創製
研究区分 指定
研究者 (生産技術部)○毛利猛、山岡充昌
研究概要

1.目的

構造用材料としてのマグネシウム合金は現状では強度や剛性の低さが問題点として挙げられる。そこで合金元素の少ないマグネシウム合金をマトリックス、強化材を金属とした複合材料を創製し、耐振性・リサイクル性を保ちながら強度・剛性を向上させたマグネシウム合金の開発を目指す。

2.内容

Ar雰囲気のステンレス容器内でマグネシウムを所定温度で溶解し、金属粒子(Ti,Zr,Nb,CuおよびNi,体積率5%)を溶湯内に投入し撹拌子で10分間撹拌した後、冷却・凝固させる。作製した試料は、400℃で熱間押出しを行い2×15mmの板状に成形し、顕微鏡組織の観察および引張試験を行う。

3.成果

作製した試料はすべて押し出し可能で板材を得ることができた。溶湯と反応しない粒子(Ti,Zr,Nb)のうち、粒子が細かなZrは純Mgに対して弾性率や引張強度は大幅に向上し伸びも同程度の良好な材料となった。溶湯と反応する粒子(Cu,Ni)は、強度は高いが伸びの低い材料となった。

コア技術名 16.製品の長寿命化技術

主要研究題目 製品の長寿命化技術(最適設計のための微小部ひずみ測定技術の開発)
研究区分 指定
研究者 (資源環境部)○二村道也、増尾嘉彦
(材料技術部)林英樹
研究概要

1.目的

製品の破壊は、応力が集中または不均一となる形状急変部や接着部近傍が起点となりやすく、これら箇所のひずみが破壊寿命を決定する重要な因子と考えられる。しかし、従来技術ではこのようなマイクロメータスケールの微小部ひずみは測定困難なことから、顕微ラマン分光を用いた新しいひずみ測定技術の開発を目的とする。

2.内容

顕微ラマン分光法を用いた微小部ひずみ測定技術は、繊維など高配向材料のひずみ測定には実績があるが、ラマン不活性な金属や低配向のプラスチックには適用できない。そこで、1)ラマン分光によりひずみ測定可能な高配向コーティング材料の開発、2)コーティングを利用したひずみ測定技術の開発、以上2点を課題に様々な工業材料の微小部ひずみ測定を目指す。

3.成果

前年度、ポリジアセチレンをベースとした化合物にひずみ測定の可能性を見出せたことから、本年度もこの開発材料を使用し、様々な材料のひずみ測定を試みた。マイクロメータスケールのアラミド繊維をはじめ数十ミリスケールのアルミ合金板において、ひずみ測定可能であることが確認できた。次年度以降、測定精度の向上や多軸ひずみ測定を可能にする技術の開発に取り組む。

分担研究題目 軟質材における動的弾性率による耐熱性の評価および損失正接による振動減衰率の評価(複合材の力学特性)
研究者 (機械金属部)足立廣正
研究概要

研究結果

熱硬化性ポリウレタンエラストマーおよび高減衰ゴムの動的弾性率の時間変化において測定開始時間から動的弾性率が50%低下する時間をt minとし、その時間の対数と絶対温度の逆数との関係である温度寿命線図を作成した。その結果、すべての試料においてlog tと絶対温度の逆数とは直線関係にあり、発泡プラスチックと同様に動的弾性率の時間変化が認められる温度領域を明瞭に区別できることがわかった。これより動的弾性率の時間に対する低下率の違いを把握でき、耐久時間を設定して温度を求めることにより耐熱温度とすることができる。

分担研究題目 機能性炭素材料を含有した複合材料に関する研究
研究者 (資源環境部)○吉村圭二郎、中野万敬
研究概要

研究結果

炭素材料を含有した樹脂複合材は、変形に伴い電気的特性が変化するため触覚センサーとして利用できる。しかし、これらには感度や柔軟性の面で課題がある。当研究ではコイル形状のカーボンマイクロコイル(CMC)、直線形状の炭素繊維、粒子形状のカーボンブラックから複合材を作製し、それぞれの機械的・電気的特性を評価した。
両端に電極となる銅版を接着した10mm×10mm×10mmの複合材を作製し、圧縮・引張変形を加えた際の電気抵抗率の変化を測定した。どちらの変形を加えた場合も、CMCを含有した複合材は他の複合材と比較し、変形に伴う電気抵抗率の変化が大きく現れた。また、この複合化により複合材の柔軟性が失われることはなかった。

分担研究題目 等方性軟質材料緩衝材による製品の衝撃緩和技術の確立
研究者 (資源環境部)○奥田崇之
(生産技術部)西脇武志
研究概要

研究結果

製品の衝撃による破壊を防ぐためには、緩衝材が必要不可欠であり高い信頼性も求められている。しかし様々な製品に対して使用するべき緩衝材の材質や大きさなど、定量的な把握はほとんど行われていない。本研究では市販の緩衝材に対して、昨年度の圧縮による衝撃緩和の検討につづき今年度はせん断による衝撃緩和 の検討を行った。
試験方法としてケーシングされた衝撃体モデルに緩衝材を貼り付け、角度をつけて落下衝撃を与え最大加速度を測定した。その結果、同材質同厚さの緩衝材において貼り付ける面積を調節することにより、圧縮のみによる衝撃緩和に対しせん断作用が加わると、さらに衝撃を和らげる効果が得られた。

大学共同研究(2テーマ)

研究題目 インクリメンタル成形による板金部品の金型レス加工(岐阜大学)
研究者 (生産技術部)村田真伸
研究概要

1.目的

本研究では試作工程の短期化を目指し、金型レスで薄板部品の試作品を作成することができるインクリメンタル成形技術を岐阜大学と共同で開発し、技術導入を行う。

2.内容

インクリメンタル成形法は、金型レスもしくは簡易金型で薄板部品を製作することができるため、短納期での試作品製作や、高効率な多品種小ロット生産に有力な手法として注目されている。しかし、インクリメンタル成形法では成形品によっては、肉厚が局部的に薄くなる減肉化という問題があり、適用可能な形状などが限られてきた。本研究では成形限界高さの向上と減肉化の抑制を目的として、プレス予成形品を素材とするインクリメンタル成形法を開発し、プレス予成形品 の形状や板厚分布がインクリメンタル成形後の成形品に与える影響を調査した。

3.成果

球頭張出し形状のインクリメンタル成形において、プレス予成形品を素材とすることによって、インクリメンタル成形の成形限界高さが20%以上向上し、減肉化の抑制に対しても有効であることがわかった。

研究題目 CMC/シリコン樹脂複合材の疲労特性に関する研究(岐阜大学)
研究者 (資源環境部)吉村圭二郎
研究概要

1.目的

カーボンマイクロコイル(CMC)は1990年に発見された直径がμmオーダーのコイル状炭素繊維である。CMCは、バネ性を有し、変形に伴い電気的特性が変化するため、これを含有した複合材は軽量で柔軟性に富み、優れた感度を持つ触覚センサーとして利用できる可能性がある。本研究ではCMC/シリコン樹脂複合材を作製し、機械的・電気的特性を調べた。

2.内容

両端に電極となる銅板を接着した10 mm×10 mm×10 mmの複合材を作製し、これに圧縮・引張の変形を加えた際の電気抵抗率の変化を調べた。また、ダンベル形状の複合材を作製し、複合化による機械的特性への影響を調べた。

3.成果

圧縮・引張のどちらの変形を加えた際も、CMCを含有した複合材は他の炭素材料を含有した複合材と比較し、変形に伴う電気抵抗率の変化が大きく現れた。また、この複合化により複合材の柔軟性が失われることはなかった。

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