重点事業および指定研究に関する意見聴取について
平成31年1月24日(木)に、平成30年度機関運営会議(研究課題)を開催し、平成30年度で終了する重点事業の事後報告(1件)、平成31年度から実施する重点事業の事前説明(1件)、平成31年度から実施する指定研究の事前説明(2件)を行いました。 |
1 目的
機関運営会議は、外部の学識者等6名から構成されており、当所の研究計画や研究成果等について客観的な立場からご意見をいただき、効果的・効率的な研究の実施や予算・人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに、研究業務の透明性を高めることを目的としています。
2 開催日時
平成31年1月24日(木) 9時00分~12時00分
3 会議内容と当所の対応
機関運営会議においては、主担当者のプレゼンテーションに対して有意義なご意見を頂きました。
以下に、構成員からのコメントのまとめおよび当所としての対応方針を示します。
1) 重点事業「有害元素の微量分析評価の効率化(H29~H30)」(事後報告)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 微量元素の正確・迅速な計測は多くの産業分野で必要とされており、産業界のニーズに合致した事業である。前処理法やバックグランドレシオ法などの精度を高め、今後の技術支援に活用されることを期待する。
- 標準化が確立されていない蛍光X線装置の測定方法を様々なアプローチで検証しており、研究会などを通しての中小企業への支援体制も整備されている。研究成果を論文等に公表し、広く利用されるよう努めて欲しい。
当所としての今後の対応
- 重点事業で行った微量元素の正確・迅速な測定のための試料前処理方法や測定方法について、今後さらに検討を進め、地域中小企業のニーズにあった技術支援に有効に活用していきます。
- 研究成果を論文等で公表し、研究会などを通して報告します。また、蛍光X線分析法に関する標準化を視野に入れて、今後も検討を進めます。
2) 重点事業「樹脂劣化評価手法の開発(H31~H32)」(事前説明)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 熱分離の高分解能質量分析計は当地区の公設試験所等が保有していない分析装置であり、事業の成果目標は妥当である。事業のオープン部分とクローズド部分をうまく使い分け、技術支援において本装置の効果的な活用を図って欲しい。
- プラスチックの劣化を高分子主鎖ではなく添加剤に着目した点が特徴的な研究である。劣化評価は多くの産業分野での利用が期待でき、研究成果が標準化に繋がることを期待する。
当所としての今後の対応
- 測定素材の機密性に対しては十分に配慮し、本機器を依頼試験、受託研究などに積極的に活用することで中小企業への技術支援に取り組みます。
- 本研究が高分子材料劣化の実用的、また汎用的な評価手法として確立されることを目指し、知見やノウハウの蓄積に努めます。
3) 指定研究「炭素材料を含有した傾斜多孔質複合材に関する研究(H31)」(事前説明)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 傾斜化材料は、評価パラメータが多岐にわたるが地道にデータを収集し、目的物が得られる手法を確立して欲しい。傾斜パラメータと電気抵抗変化との関連性が分かると実用化が近づくと思われる。
- センシング技術をはじめとした企業等の具体的ニーズの情報収集を合わせて進め、共同研究や受託研究などに発展することを期待する。
当所としての今後の対応
- センシング技術をはじめとした企業のニーズに応えるべく、必要とされる性能を有する傾斜多孔質複合材の開発を行うよう研究を推進します。
4) 指定研究「熱・光による結合組み換え反応に基づく機能性有機材料の開発(H31)」(事前説明)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 繰返し性がある自己修復材料は興味深い。技術的な方向性はしっかりと定まっているため、地道に研究開発を進め、工業研究所独自の材料開発につながる成果を期待する。
- 有機材料に関する基盤的なテーマであるが、自己修復材や接合技術などへの応用も想定し、企業等との共同研究や公的資金によるプロジェクト研究への発展を図って欲しい。
当所としての今後の対応
- 化学構造を検討しながら自己修復材料の研究開発を進め、当所独自の技術として確立するように努めます。
- 企業における自己修復や接合技術などのニーズを把握し、開発した材料の産業応用を目指して企業等との連携を図っていきます。
構成員名簿
平成30年度 名古屋市工業研究所機関運営会議(研究課題)構成員名簿
(敬称略 順不同)
氏名 |
役職 |
水谷 法美 |
名古屋大学 大学院 工学研究科長・工学部長 土木工学専攻 教授 |
渡辺 義見 |
名古屋工業大学 大学院 工学研究科 物理工学専攻 教授 |
篠田 顕一 |
経済産業省 中部経済産業局 地域経済部 産業技術課長 |
山内 幸彦 |
産業技術総合研究所 中部センター 所長代理 |
柘植 良男 |
株式会社中央製作所 取締役 総務部長 |
旭野 欣也 |
シヤチハタ株式会社 研究開発部 部長 |