研究課題評価

平成28年度 機関運営会議(研究課題)

重点研究事業および指定研究に関する意見聴取について

平成29年1月25日(水)に、平成28年度第1回機関運営会議を開催し、平成28年度で終了する重点研究の事後報告(1件)、平成28年度に実施中の重点研究の進捗報告(1件)、平成29年度から実施する重点事業の事前説明(1件)、平成29年度から実施する指定研究の事前説明(2件)を行いました。

1 目的

機関運営会議は、外部の学識者等6名から構成されており、当所の研究計画や研究成果等について客観的な立場からご意見をいただき、効果的・効率的な研究の実施や予算・人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに、研究業務の透明性を高めることを目的としています。

2 開催日時

平成29年1月25日(水) 13時30分~16時30分

3 会議内容と当所の対応

機関運営会議においては、主担当者のプレゼンテーションに対して有意義なご意見を頂きました。
以下に、構成員からのコメントのまとめおよび当所としての対応方針を示します。

1) 重点研究「高機能皮膜の作製と応用技術開発(H26~H28)」(事後報告)

機関運営会議におけるコメントまとめ

  • クロムフリーのアルミニウム系複合酸化皮膜の開発は企業ニーズも高い。実用化に向けた検討を継続するとともに、外部発表等において成果の広報にも心がけられたい。
  • 導入機器(光電子分光装置)は利用度も高く、当初の目的は達成されている。

当所としての今後の対応

  • 安価で簡便なクロムフリー皮膜の実用化に向けた研究開発を引き続き進めるとともに、新規機能性皮膜についての研究開発にも取組む。また、光電子分光装置を利用した技術相談・依頼試験の質の向上を図り、今後も当地域の中小企業の新技術開発支援等に活用していく。

2) 重点研究「次世代環境材料の研究開発(H27~H29)」(進捗報告)

機関運営会議におけるコメントまとめ

  • 高活性のタングステン光触媒の開発は評価できる。本触媒の特徴や優位性を示し、用途の明確化を含めて引き続き実用化を検討されたい。
  • 研究内容との整合性にはやや欠けるが、導入機器(X線回折装置)は技術支援には有効利用されている。

当所としての今後の対応

  • 酸化タングステン光触媒の性能を向上させ、室内利用を目的としたコート技術の実用化を目指す。また、酸化チタン光触媒コートでは、防汚性を生かした用途開発を検討する。導入したX線回折装置は、材料の物性評価をはじめとした中小企業の技術支援に効果的に活用していく。

3) 重点事業「有害元素の微量分析評価の効率化(H29~H30)」(事前説明)

機関運営会議におけるコメントまとめ

  • 分析評価法と関連した機器導入(蛍光X線装置)は適切である。
  • 新しい評価方法の提案は有意義である。公設試間等の連携を図り、外部発表や標準化にも積極的に取り組んで頂きたい。

当所としての今後の対応

  • 検討する試料調整方法は汎用性の高いものとなるように取り組んでいく。得られた成果については、研究会や公設試分析担当者の討論会での報告や、標準化のための規格作成の場における提案など、積極的な外部発信に努める。

4) 指定研究「ナノセルロースを含有した3D樹脂造形物に関する研究(H29)」(事前説明)

機関運営会議におけるコメントまとめ

  • ナノセルロースの用途開発は公設試が取り組むべき内容ではあるが、研究のオリジナリティが不明瞭である。解決すべき課題を明確にし、他公設試や企業等との連携のもと研究を進めて頂きたい。

当所としての今後の対応

  • 先行する特許や技術開発の調査から選択したテーマであり、研究開発を進めていく中で研究的要素を高めていくように取り組んでいく。また、地域の公設機関や企業との協力や連携を図りながら、精力的に研究を推進する。

5) 指定研究「成形品中の強化繊維の評価方法の開発(H29)」(事前説明)

機関運営会議におけるコメントまとめ

  • CFRPリサイクルとも関連した企業ニーズの高い研究課題である。研究成果の普及による企業支援はもとより、繊維長や配向と強度との関係を明らかにするなど学術的な貢献も期待する。

当所としての今後の対応

  • 企業ニーズの高い繊維長測定の課題においては、顕微鏡観察に加えて画像解析を用いた評価も検討する。また、成形品中の不連続繊維の配向についても調査を検討し、FRPのリサイクルや成形技術向上に寄与するよう努める。

平成28年度 第1回名古屋市工業研究所機関運営会議構成員名簿

(敬称略 順不同)

氏名 役職
新美 智秀 国立大学法人名古屋大学 大学院 工学研究科
マイクロ・ナノシステム工学教授
渡辺 義見 国立大学法人名古屋工業 大学 大学院 工学研究科
物理工学専攻 教授
山田 容功 経済産業省 中部経済産業局 地域経済部 産業技術課長
三留 秀人 国立研究開発法人産業技術総合研究所 中部センター 参事
柘植 良男 株式会社中央製作所 取締役 研究開発部長
田口 義高 中京油脂株式会社 取締役 開発センター長