研究課題評価

平成22年度 第2回研究課題評価

平成22年度 第2回研究課題事前評価および中間評価について

平成23年2月7日(月)に、平成22年度第2回研究課題評価委員会を開催し、平成23年度から実施する研究の事前評価、平成19,21年度より実施している研究の中間評価を行いましたので、その結果を公表します。

1 評価の目的

外部の学識者等7名(別添「名簿」のとおり。)から成る研究課題評価委員会において、当所の研究計画および研究成果を客観的に評価し、効果的・効率的な研究の実施、予算、人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに研究業務の透明性を高めることを目的とする。

2 委員会開催日時

平成23年2月7日(月)13時00分~17時00分

3 内容

平成23年度から実施する研究6件について下記5項目に関する事前評価を受けた。

  1. 当所の使命との適合性
  2. 研究目的の妥当性
  3. 研究内容の妥当性
  4. 研究実施体制の妥当性
  5. 成果の波及効果

平成19,21年度より実施している研究5件について下記4項目に関する中間評価を受けた。

  1. 進捗状況
  2. 当初計画の妥当性
  3. 成果の見通し、問題点の明確化
  4. 計画の見直しの必要性

4 評価結果

(1)事前評価

評価指標 A B C D
工業研究所の内部評価 2件 4件 0件 0件
評価委員会の評価 3件 3件 0件 0件

A:計画どおり実施。
B:一部修正して実施。
C:計画の変更を要する。
D:計画を保留し内容を見直す。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)

(2)中間評価

評価指標 A B C D
工業研究所の内部評価 5件 0件 0件 0件
評価委員会の評価 4件 1件 0件 0件

A:今後十分な研究成果が期待できる。
B:今後一定の研究成果が期待できる。
C:今後の見通しに問題があり、見直しが必要である。
D:研究の終了を検討すべきである。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)

平成24年度 名古屋市工業研究所研究課題評価委員会 出席委員名簿

(敬称略 順不同)

氏名 役職
沖 猛雄 名古屋大学 名誉教授
鈴置保雄 名古屋大学 大学院工学研究科長 工学部長
木本 博 中部大学 研究支援センター 教授
末松良一 独立行政法人国立高等専門学校機構 豊田工業高等専門学校 校長
神保睦子 大同大学 工学部電気電子工学科 教授
飯田昭夫 いいだ特許事務所 所長
萩原義昭 萩原電気株式会社 代表取締役社長

平成22年度 第2回研究課題評価 事前評価課題概要

研究テーマ名 研究の概要
有機電子部材の開発 ガラス繊維強化プラスチックなどの有機無機複合材料はフィラーの配向や凝集をうまく制御することで性能が向上する。本研究では、複合材料のより高機能化、高信頼性化を目指すため、複合材料中のフィラーの成形時の流動による配向、相分離やフィラーの極性を利用した二次構造の発現、フィラーの核剤としての性質や加工特性への影響について研究を行う。
難めっき素材への新しいめっき技術の開発 機械製品(ねじ、歯車、金型など)は、その使用用途で千差万別の設計が必要であるが、多くは経験値に頼った設計や製造が行われている。本研究では、形状の評価、応力解析、モーダル解析、破損の要因分析等の測定技術を用いて、経験値を見やすい形にして、迅速的で簡易的な評価技術の向上のための検証実験と解析を行う。見出し
新規可視光応答型光触媒の開発 蛍光灯等の可視光でも高い触媒活性を示す新たな光触媒材料(可視光応答型光触媒)が求められている。本研究では、従来の酸化チタンや酸化タングステンを使った実用的な可視光応答型光触媒の開発を目指す。助触媒を坦持し、安価でより良い性能を持つ光触媒の合成、および、耐久性の向上を目標とする。
熱物性評価技術の向上に関する研究 電子機器の小型化あるいは高性能化に伴う発熱密度の増加が深刻な問題になっており、シミュレーション技術を用いた熱対策技術、いわゆる熱設計の製品開発への活用が図られている。シミュレーションにおいて精度の高い結果を得るためには、予め構成材料の熱物性値を的確に把握しておく必要があり、本研究は熱物性価技術の向上を図ることを目的とする。
広域周波数の電磁波に対応した材料特性及び製品評価技術の開発 本研究においては、(1)物性評価技術の向上(透磁率、誘電率測定の精度検証と高域への対応)、および、(2)ミリ波を用いた製品評価・材料特性評価技術 の開発(各種工業材料・製品の評価等)を課題として取り上げる。電磁波を軸とした本研究において得られた成果を、技術支援の充実・強化へとフィードバック し、当地産業界へと貢献する。
電子制御機器の設計効率化の研究 近年の工業製品は大多数が電子制御化されており、電子機器には高い信頼性が要求されている。一方で、電子機器の小型化・高速化にともなう熱と電磁ノイズの問題が大きくなっている。しかし、熱と電磁ノイズの対策は相反するため一般には解決が困難であり、本研究ではこの相反する課題の解決を目的とする。

平成22年度 第2回研究課題評価 中間評価課題概要

研究テーマ名 研究の概要
セラミックスの耐熱部品および耐摩耗部品への応用に関する研究 耐熱性に優れるだけではなく容易に機械加工できるセラミックス(いわゆるマシナブルセラミックス)の製造技術を開発する。従来法よりも環境負荷を大幅に削減して低コストで製造する技術を確立する。マシナブルセラミックスはたとえば「熱処理・鋳造設備向けのセラミックス部材」としての利用が期待できる。
無機系排水からの有価金属回収 産業廃棄物等に含まれる重金属の処理方法の開発が望まれている。泡沫分離法は、界面活性剤の水溶液に空気を吹き込む操作によって目的物の濃縮分離を行う低環境負荷な分離法であり、簡便でランニングコストが低いという特徴がある。本研究では、新規開発した泡沫分離法における各種の影響因子を体系的に明らかにし、スケールアップなどの実用化を視野にいれた設計指針の提示を目的とする。
X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化 バイオプラスチックと既存樹脂のブレンドが実用化されはじめている。しかし、これらのブレンド樹脂の成形加工特性は従来の樹脂とは異なり、成形加工に新たなノウハウが必要となる。バイオプラスチックのブレンドやアロイを開発し、実際に近い成形体での物性向上を目指すとともに、CAD上でのデータと成形体とを現物融合化した「デジタルものづくり」の方法を確立することが必要である。これらを総合し、高精度、高強度のバイオプラスチック製品製造への支援体制を確立することを目的とする。
ナノ技術を応用した表面機能化に関する研究 はっ水性部材の需要は、自動車、建築、被服、工学部品など広範囲にわたり、将来巨大な潜在的市場が待ち受けていると言われている。本研究は、複雑形状部材へ有機シラン系の自己組織化単分子膜(SAM:Self-assembled Monolayer)をコーティングすることによってはっ水性機能を付与する技術を開発する。特殊な高額な機器を必要としない簡便な方法であるので、中小企業にはっ水性部材市場に参入する可能性を開くものである。
燃料電池の開発と応用 本技術開発では、燃料電池の実用化、応用技術として電気製品電源への搭載、特にニーズが増加すると思われる小型電気機器への応用を可能とすることを目標とする。電池を実用化する際には電池システムや電池の搭載に適した電気機器の開発が不可欠となる。そこで材料開発から電池特性評価までが可能である当所の技術を活かし、実用化技術、電池評価技術の開発を行う。

平成22年度 第2回研究課題事前評価表

研究テーマ名

内部評価 外部評価 当所の取り扱い
評点 評価 評点 評価 コメント
有機電子部材の開発 19.7 B 18.3 B ・理論体系を明確にして進めること。
・目標を明確にして、出口につなげることを期待する。
より優れた電子部材の開発ができるよう、実験面だけでなく、理論面からの検討も行う。
難めっき素材への新しいめっき技術の開発 15.2 B 21.0 A ・早期に企業と組み、現場の要求に合わせた成果をあげてほしい。
・オゾンを活用することは中小企業対応としても新しさがあり、実用性も高い。
業界のニーズを踏まえて研究を進めるとともに、連携できる企業を調査する。
新規可視光応答型光触媒の開発 18.0 B 21.3 A ・資源問題も考慮するように。
・競争が激しい分野なので、速やかに成果をあげてほしい。
助触媒の利用にあたり安価で入手容易な化合物を用いる。また、TiO2を使った可視光応答型光触媒の開発も進めていく。
熱物性評価技術の向上に関する研究 20.0 A 19.8 B ・レーザーフラッシュ法の信頼性向上への貢献が期待される。
・この技術が実際の製品にどの程度までいかされるのか、製品との関連がやや不明確。
・実際の製品設計段階での熱設計とリンクすることを期待する。
実際の製品に使われる部材等を含め熱物性を測定し、信頼性向上の設計に活かせるよう研究を実施する。
広域周波数の電磁波に対応した材料特性及び製品評価技術の開発 19.2 B 16.3 B ・実用上重要な課題ではあるが、複数課題の共通点などが見えにくい。
・GHz超の周波数に対しての測定は困難と予想されるが、その方策がやや不十分。
・応用面とのリンクが望まれる。
数MHzからミリ波帯域までの周波数特性の精度良い計測を狙う。計測可能な領域がオーバーラップする帯域での比較から始め、精度検証を高域まで拡げていく。
電子制御機器の設計効率化の研究 21.7 A 21.0 A ・個別の製品対応だけでなく、共通的な方法論の開発につながることを期待する。
・ノウハウを設計指針化し、いかに後につなげていくかを実現してほしい。
・研究対象の具体化を進めてほしい。
設計効率化に関する共通的な方法論やノウハウを指針化するよう、研究を進めていく。

・評点は、1.当所の使命との適合性、2.研究目的の妥当性、3.研究内容の妥当性、4.研究実施体制の妥当性、5.成果の波及効果の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:計画通り実施可。 B:一部修正して実施可。 C:計画の変更を要する。 D:計画を保留し、内容を見直す。

平成22年度 第2回研究課題中間評価表

研究テーマ名

内部評価 外部評価 当所の取り扱い
評点 評価 評点 評価 コメント
セラミックスの耐熱部品および耐摩耗部品への応用に関する研究 16.0 A 18.3 A ・粒度との体系付けをするように。
・興味のある成果であり、実用化につなげてほしい。
・ユーザーの意見も考慮するように。
粒度との体系付けを整理し、実用化に向けて努力していく。
無機系排水からの有価金属回収 16.7 A 19.0 A ・計画以上によい成果が見込まれる。実用化につなげてほしい。
・技術を売れるように、「見える化」を積極的に進めてほしい。
実用化に向けて、適用拡大を視野に入れた研究開発および装置の改良等を行う。また、企業や他機関との連携を検討する。
X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化 18.8 A 16.8 A ・バイオプラに関しては、用途開発も重要と思われる。
・問題点を明確につかんでおり、その対策も含めて順調に計画が進行している。
・企業との連携もできている。
企業と連携して用途開発を進める。
ナノ技術を応用した表面機能化に関する研究 18.5 A 19.0 A ・応用面の展開が期待される。
・知財戦略も考えていくように。
・企業との連携も進んでおり、他の材料にも展開できている。
実用化に向けて研究を進めていく。
燃料電池の開発と応用 16.7 A 15.3 B ・電解質のち密化、新電極材料開発の具体的展開を期待する。
・電極の無機化の製造開発に期待する。
・問題点を解決できるかどうか、現状では不明確である。
固体高分子形燃料電池の電極作製技術を無機系電解質電極に応用することで問題点の克服を行う。

・評点は、1.進捗状況、2.当初計画の妥当性、3.成果の見通し、問題点の明確化、4.計画の見直しの必要性の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:今後十分な研究成果が期待できる。 B:今後一定の研究成果が期待できる。 C:今後の見通しに問題があり、見直しが必要である。 D:研究の終了を検討すべきである。