平成20年1月31日(木)に、平成19年度第2回研究課題評価委員会を開催し、平成20年度から実施する研究の事前評価、平成18年度より実施している研究の中間評価を行いましたので、その結果を公表します。 |
外部の学識者等4名(別添「名簿」のとおり。)から成る研究課題評価委員会において、当所の研究計画および研究成果を客観的に評価し、効果的・効率的な研究の実施、予算、人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに研究業務の透明性を高めることを目的とする。
平成20年1月31日(木)13時00分~17時00分
平成20年度から実施する研究のうち、コア技術に係る主要研究8件について下記5項目に関する事前評価を受けた。また、平成18年度より実施している主要研究4件について下記5項目に関する中間評価を受けた。
(1)事前評価
評価指標 | A | B | C |
工業研究所の内部評価 | 2件 | 6件 | 0件 |
評価委員会の評価 | 4件 | 4件 | 0件 |
A:計画どおり実施する。
B:一部修正して実施する。
C:計画を変更して実施する。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)
(2)中間評価
評価指標 | A | B | C |
工業研究所の内部評価 | 2件 | 2件 | 0件 |
評価委員会の評価 | 4件 | 0件 | 0件 |
A:計画どおり実施する。
B:一部修正して実施する。
C:計画を変更して実施する。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)
(敬称略 順不同)
氏名 | 役職 |
沖 猛雄 | 名古屋大学 名誉教授 |
末松良一 | 豊田工業高等専門学校 校長 名古屋大学 名誉教授 |
木本 博 | 中部大学 総合工学研究所 教授 |
竹中 修 | 科学技術交流財団 第1期知的クラスター創成事業本部 事業総括 |
研究テーマ名 | 研究の概要 |
めっき皮膜の熱加工性向上に関する研究開発 | 金属/金属界面の熱加工処理等に伴う界面構造変化の評価技術を開発し、膨れや剥離などの欠陥発生との関連性を検討して、企業における品質の向上や、安全で安心なものづくり技術の向上を支援することを目的とする。本研究では、「鉄鋼上ニッケルめっき製品のろう付けに伴う膨れ発生」を取り上げ、膨れ発生のメカニズムの解明と対策技術の確立を図る。 |
マグネシウム合金板材の高機能化と成形に関する研究 | エネルギー吸収能が高いポーラス金属(多孔質金属)は、軽量かつ高比剛性で、自動車などの衝撃エネルギー吸収材への応用が期待されている。これにマグネシウムを適用すれば非常に軽量なエネルギー吸収材となりうる。さらに、マグネシウムの板と組み合わせて利用すれば、マグネシウムとしてリサイクルが可能である。本研究では、マグネシウム合金の板成形と機能性の高いポーラス金属を組み合わせることによって、軽量で比強度・比剛性の高いマグネシウム材料の開発を検討する。 |
光・電子・イオン機能を有する新規高分子材料の開発 | 電子デバイスの構成材料として有機系高分子材料を用いた場合、低分子のそれと違い、真空蒸着装置等の高価な機器を用いなくても塗布等による簡便な方法での膜形成が可能となるため、製品の製造コストの軽減が期待できる。そこで、本研究では、上記実情に鑑み、二次電池やECD素子などの有機デバイスを目指した光・電子・イオン機能を有する新規高分子材料の開発を行う。 |
機械診断を補助する簡易予知保全システムの開発 | 機械・設備の保全は、経済的な観点と診断技術の高度化と相まって、時間基準から状態基準で管理による予知保全へと移行しつつある。しかし、中小企業では、高価な導入コストや診断技術を習熟した作業者の確保が難しいため、予知保全技術の導入は遅れている。そこで、作業者の機械診断を補助し、異常や故障など過負荷が予測されるときに、部品交換や操業条件の変更などを指示できる、簡易予知保全システムの構築を目指す。 |
最適設計のための微小部ひずみ測定技術の開発 | 従来のひずみ測定技術、たとえばひずみゲージは、測定領域がミリメータオーダのため、ひずみが最も集中する箇所をピンポイントで測定することができない。そこで、微小部のひずみ測定に利用可能なラマン分光法を利用し、マイクロメータ領域のひずみ測定技術の開発を目的とする。 |
線状領域撮像方式による画像生成と画像処理 | 広範囲かつ高精度に画像を撮像する技術とこれによって得られる大きなデータを高速度で演算する技術を、線状領域撮像方式に特化した方法で解決する。 |
熱・温度に関する材料物性評価技術、熱設計技術の確立 | シミュレーション技術を用いた熱対策技術、いわゆる熱設計を製品開発に活用して、開発期間の短縮及び開発費の削減が図られている。本研究では、「熱・温度に関する材料物性評価技術、熱設計技術の確立」を目的として、熱物性評価技術ならびにシミュレーション技術、放熱促進手法の開発を行う。 |
ランダム振動試験の条件設定に関する研究 | 当所の振動試験機ではランダム波振動が可能であるが、JIS規格の不備、正弦波試験結果を考慮した試験条件設定の困難さのためほとんど実施されていない。本研究では信頼性試験において将来的に正弦波振動試験からランダム波振動試験へ移行することを目的とし、実環境における振動解析と試験条件の決定方式に関する研究を行う。 |
研究テーマ名 | 研究の概要 |
酸化チタン光触媒を利用した水処理システムにおける各種影響因子の解明 | 現在、市場にある光触媒の応用技術製品は防汚、抗菌、空気浄化を目的としたものがほとんどであり、水処理に関するものは数少ない。光触媒水処理システムを実環境水や上下水道水等に広く応用するためには共存物質、特に共存イオンの影響等を体系的に明らかにする必要がある。本研究では、酸化チタン光触媒水処理に影響する各種の影響因子を体系的に明らかにする。光触媒水処理システムの設計指針、ノウハウを明らかにすることにより、将来的に中小企業を含めた各企業が各種の水処理システムを開発することを促進する。 |
ナノコンポジット技術による生分解性高分子材料の高機能化 | 近年、木材や農作物などの再生可能資源を由来とする生分解性プラスチック材料の利用が大きな流れとなっている。しかし、これらの材料は、成形性や強度の点でこれまで使われていたプラスチック材料にくらべ利用しづらいのが現状である。押出機を用いたナノフィラーの添加により成形性や難燃性、機械強度などの諸物性を改善し、その利用性を高めることを目的とする。また、ナノコンポジット化が生分解性に及ぼす影響についても調べる。 |
環境対応型新材料および有害微量成分の分析評価技術の開発 | 全世界的な規模の環境規制の進展に伴い、モノづくりにおいては環境対応型材料の開発や材料・製品中の微量有害成分の把握・管理が避けて通ることができないものとなっている。しかしながら、分析評価技術においては、公定法が整備されていなかったり、現行の公定法を適用できない例が増加しており、新たな分析評価法の開発が喫緊に求められている。本研究では、中軸として鉛レス銅合金の分析技術の開発を図るとともに、他材料も対象とした多面的な環境対応分析技術の確立をおこない、当地域中小企業からの技術支援の期待に広く応えることを目指している。 |
部分軟化アルミニウム合金板の容器成形に関する研究 | 自動車の軽量化に伴い、アルミニウム合金板製部品が今後増加していくと予想される。しかしアルミニウム合金板は鋼板と比べてプレス成形性に劣っているため特殊な成形機で製造する必要があり、新たな設備投資を必要とする。そのため汎用のプレス機を利用可能な成型技術の開発を行い、中小企業におけるアルミニウム合金板の加工を促進する。 |
研究テーマ名 |
内部評価 | 外部評価 | 当所の取り扱い | |||
評点 | 評価 | 評点 | 評価 | コメント | ||
めっき皮膜の熱加工性向上に関する研究開発 | 12.5 | A | 14.0 | A | ・適確にスタッフの研究分担を決めた上、進めたら期待できる。 ・必要な技術課題なので、良い成果を期待する。 |
研究分担を明確にして、計画通り実施する。 |
マグネシウム合金板材の高機能化と成形に関する研究 | 9.2 | B | 9.5 | B | ・材料(Mg)のどの点にフォーカスをあてるかをはっきりすべき。 ・結晶配向性や粒度など複雑な条件を整理すること。 ・現象の解明なども合わせて研究を進め、実用化につながる材料開発をめざすこと。 |
当所で作製するAZ系マグネシウム合金鍛造板を評価対象とし、諸特性評価(結晶配向性や粒度など)を行う。これらと成形性の関係を整理し、板の成形に最適な条件を検討して実用化を進める。 |
光・電子・イオン機能を有する新規高分子材料の開発 | 11.5 | B | 11.5 | A | ・研究の焦点が大きすぎるので、更にしぼっていけば大いに期待出来る。 ・適用対象として大量生産系より表面修飾の方に着眼すると面白い。 ・製品化をイメージして、共同研究の相手を見つけてほしい。 |
素子の作製に焦点を絞って、計画通り研究開発を進めながら、共同研究による製品化を目指す。 |
機械診断を補助する簡易予知保全システムの開発 | 10.0 | B | 11.0 | B | ・設置条件の基準化も大切である。 ・五感をどうシステムに組み込むかを検討すること。 ・予防保全の前に、現場での故障事例を調べること。 ・本質(故障メカニズム)の追求が必要である。 ・専門家との研究体制のコラボレーションを検討すること。 |
システムの開発のために設備保全技術者や熟練者、さらに周辺技術の専門家の協力を得る。併せて、企業の事故事例や故障過程等について調査検討し、研究を実施する。 |
最適設計のための微小部ひずみ測定技術の開発 | 10.3 | B | 10.5 | B | ・コーティングの基準化を確立することも大切である。 ・PR,啓蒙も大事である。 ・ひずみ測定(マイクロオーダー)の最終的な目標を明確にしてほしい(例:安全率の信頼性向上、破壊メカニズムの明確化)。 ・ベンチマーク(他研究機関との比較)が必要である。 ・材料研究者とのコラボレーションが必要である。 |
コーティング技術など材料研究者とのコラボレーションを強固にするとともに、微小部ひずみ測定による破壊プロセスの解明を目標とし、研究を実施する。 |
線状領域撮像方式による画像生成と画像処理 | 11.5 | B | 12.5 | A | ・目的や具体的目標が明確でよい。 ・他研究機関との比較(ベンチマーク)が必要である。 ・特許出願を希望する。 ・学会での発表を期待する(技術賞を目標に)。 ・研究開発体制の強化と予算の増額を期待する。 |
他の研究事例と比較調査しながら、特許出願や学会発表につながるよう研究を進める。 |
熱・温度に関する材料物性評価技術、熱設計技術の確立 | 12.3 | A | 13.0 | A | ・環境エコ、省エネなどへのアプローチもあるかもしれない。 ・これまでの成果はよい。 ・技術ポテンシャルが高い。 ・ニーズも明確である。 ・シミュレーションと実機との相関性を明確化すること。 ・学会等での技術賞を期待する。 ・特許出願を希望する。 |
環境エコ、省エネなどへのアプローチも視野に入れるとともに、シミュレーションと実測との相関を取りながら計画通り研究を実施する。 |
ランダム振動試験の条件設定に関する研究 | 9.2 | B | 8.5 | B | ・是非、本技術の応用を広げることを期待する。 ・課題の明確化が必要である。 ・新規性は何かを示すこと。 ・新評価方法の着眼点を明確化すること。 |
実環境の振動データを新規に獲得し、FFTとクラスタリング手法を用いた解析を行って、振動試験仕様の最適化を図る基礎データとして活用できる様に研究を進める。 |
・評点は、1.当所の使命との適合性、2.研究目的の妥当性、3.研究内容の妥当性、4.研究実施体制の妥当性、5.成果の波及効果の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:計画どおり実施する。 B:一部修正して実施する。 C:計画を変更して実施する。
研究テーマ名 |
内部評価 | 外部評価 | 当所の取り扱い | |||
評点 | 評価 | 評点 | 評価 | コメント | ||
酸化チタン光触媒を利用した水処理システムにおける各種影響因子の解明 | 11.3 | A | 10.5 | A | ・実体構成のモデルの設計を検討してほしい。 ・TiO2結晶の構成要素と処理の関係の検討もほしい。 ・独自の研究も発展させてほしい。 ・将来的に期待できる。 |
当所シーズの粘土複合体技術の応用展開に力点を置きながら、水処理への実用化を視野に入れて検討を進める。 |
ナノコンポジット技術による生分解性高分子材料の高機能化 | 8.3 | B | 11.0 | A | ・着想がよいが、有機膜の通気性の調査がほしい。 ・抗菌性の添加剤など考えれば、更に方向性が出て興味深い。 ・現象の本質を丁寧に調べ、着実な成果をあげている。 |
抗菌性の添加剤について検討を加えた上で、計画通り実施する。 |
環境対応型新材料および有害微量成分の分析評価技術の開発 | 10.3 | B | 10.5 | A | ・成分について特定分析法の決定がされるとよい。 ・1つの方法で全ての成分の分析を行うより、成分別の分析の提案がよい。 ・大変よくがんばっている。 |
より信頼性の高い分析法の開発に向けて検討を進める。 |
部分軟化アルミニウム合金板の容器成形に関する研究 | 11.3 | A | 11.5 | A | ・特許申請を計画通りに進めているようで素晴らしい。早期に出願すべきである。 ・加工からアプローチした着眼点に優れている。 ・学会の技術賞(実用化)候補になること期待する。 ・予算の増額を期待する。 ・研究ポテンシャルも高い。 |
特許取得を視野に入れて進めていく。また、企業との連携による外部資金の獲得を目指す。 |
・評点は、1.進捗状況、2.当初計画の妥当性、3.成果の見通し、問題点の明確化、4.計画の見直しの必要性の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:計画どおり実施する。 B:一部修正して実施する。 C:計画を変更して実施する。