2021年度公設工業試験研究所等における
機械設備拡充補助事業

　近年、製造業はコストの低減や開発期間の短縮を求められるなど、取り巻く環境が厳しさを増しています。さらにそのような中で、企業は製品の高機能化あるいは省エネルギー化などの要望に応えたり、製品の不具合に対して迅速かつ徹底的に原因を究明したりすることが求められます。そのため、製品開発や不具合対策におけるスピード向上や効率化は企業において重要な課題となっています。

　そこで、製品内部の3次元情報を短時間で取得可能な「高出力X線CT装置」を導入し、技術相談、依頼試験、受託研究等に活用します。これにより、企業の製品開発や不具合対策にかかる時間やコストの削減を支援し、地元中小企業の競争力強化に寄与することを目指します。

　今回導入する高出力X線CT装置は、優れた分解能を有し、微細な構造や欠陥を詳細に観察することが可能です。また高いエネルギーのX線を照射する能力を持つため、樹脂等の軽量素材に加え、金属などの重量素材にも使用することが可能です。このような特徴により、例えば鉄鋳物に対する内部欠陥の評価、トランス等を含む電子機器の内部撮影、金属の溶接箇所の詳細観察など、従来は対応が困難であった対象の評価が可能となります。そのため、地域中小企業からの故障の原因調査、品質検査、動作機構の確認、形状データの取得など、幅広い需要に応えることができると予想されます。