研究課題評価

平成24年度 研究課題評価

平成24年度研究課題事前評価、中間評価および事後評価について

平成25年1月10日(木)に、平成24年度研究課題評価委員会を開催し、平成23年度で終了した研究の事後評価、平成24年度に実施中の研究の中間評価、平成25年度から実施する研究の事前評価を行いましたので、その結果を公表します。

1 評価の目的

外部の学識者等7名(別添「名簿」のとおり。)から成る研究課題評価委員会において、当所の研究計画および研究成果を客観的に評価し、効果的・効率的な研究の実施、予算、人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに研究業務の透明性を高めることを目的とする。

2 委員会開催日時

平成25年1月10日(木)13時00分~17時30分

3 内容

平成25年度から実施する研究2件について下記5項目に関する事前評価を受けた。

  1. 当所の使命との適合性
  2. 研究目的の妥当性
  3. 研究内容の妥当性
  4. 研究実施体制の妥当性
  5. 成果の波及効果

平成24年度に実施している研究8件について下記4項目に関する中間評価を受けた。

  1. 進捗状況
  2. 当初計画の妥当性
  3. 成果の見通し、問題点の明確化
  4. 計画の見直しの必要性

平成23年度で終了した研究3件について下記3項目に関する事後評価を受けた。

  1. 目標の達成度
  2. 達成された成果の意義
  3. 技術としての発展性

4 評価結果

(1)事前評価

評価指標 A B C D
工業研究所の内部評価 1件 1件 0件 0件
評価委員会の評価 0件 2件 0件 0件

A:計画どおり実施。
B:一部修正して実施。
C:計画の変更を要する。
D:計画を保留し内容を見直す。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)

(2)中間評価

評価指標 A B C D
工業研究所の内部評価 1件 6件 1件 0件
評価委員会の評価 2件 6件 0件 0件

A:今後十分な研究成果が期待できる。
B:今後一定の研究成果が期待できる。
C:今後の見通しに問題があり、見直しが必要である。
D:研究の終了を検討すべきである。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)

(3)事後評価

評価指標 A B C D
工業研究所の内部評価 1件 2件 0件 0件
評価委員会の評価 2件 1件 0件 0件

A:目標を上回る十分な研究成果が得られた。
B:目標を達成し、見込み通りの研究成果が得られた。
C:目標を概ね達成し、一定の成果が得られた。
D:十分な研究成果が得られなかった。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)

平成24年度 名古屋市工業研究所研究課題評価委員会 出席委員名簿

(敬称略 順不同)

氏名 役職
沖 猛雄 名古屋大学 名誉教授
鈴置保雄 名古屋大学 大学院工学研究科長 工学部長
中村 隆 名古屋工業大学 大学院戦略工学専攻 教授
木本 博 中部大学 研究支援センター 教授
神保睦子 大同大学 工学部電気電子工学科 教授
飯田昭夫 いいだ特許事務所 所長
田口義高 中京油脂株式会社 取締役開発センター長

平成24年度研究課題評価 事前評価課題概要

研究テーマ名 研究の概要
高機能性プラスチック材料の開発 特殊な機能や高性能を有する高機能性プラスチック材料を開発するとともに、それに必要な分子の構造や配列と材料の性能との相関についての知見を蓄積し、この手法を用いて得られたプラスチック材料開発のノウハウを、当地域の中小企業へ提供することにより技術支援を行う。
ナノ・マイクロ領域のマルチスケール表面処理技術に関する研究 産業化に適したナノ・マイクロ領域のマルチスケールな表面処理の研究を進め、防汚や防食のみならず、高い防曇や機械的的特性の向上を実現し、機械部品や医療等の用途へ活用を目指す。

平成24年度研究課題評価 中間評価課題概要

研究テーマ名 研究の概要
電子制御機器の設計効率化の研究 熱対策と電磁ノイズ対策の相反する課題を解決し、企業の開発力強化と雇用増大を目的として、シミュレーションを活用した設計の効率化を進めるための研究を行う。
燃料電池の開発と応用 電池技術で重要になる電解質材料と電極材料について新規な材料や製造方法を開発し実用化を推進するとともに、電池材料評価法を開発する。さらに二次電池分野にも技術を展開し、炭素材料に注目した新しい電極開発を行うことを目的とする。
無機系排水からの有価金属回収 連続向流泡沫分離法における各種の影響因子を体系的に明らかにし、当分離法のスケールアップなどの実用化を視野に入れた設計指針の提示を目的とする。また界面活性剤と金属錯体の親和性に関するメカニズムを解明し、金以外の貴金属やレアメタルを回収対象としたプロセスを検討する。
有機電子部材の開発 電子機能性を有する新規材料の合成及びこの材料を用いる電子素子の作製に関する技術を開発することで、中小企業において対応可能な高付加価値技術の開発を目指す。
難めっき素材への新しいめっき技術の開発 従来の処理方法ではめっきが析出しないか、またはめっき密着性が十分でないケブラーなどのスーパー繊維およびステンレスといった難めっき素材に対する前処理技術の開発を行う。
新規可視光応答型光触媒の開発 当所でこれまで行ってきた光触媒の研究も踏まえながら、従来の酸化チタンの可視光応答化やWO3を使った実用的な光触媒の開発を目指す。まだ試されていない助触媒を坦持し、安価でより良い性能を持つ光触媒の合成を目標とする。
熱物性評価技術の向上に関する研究 シミュレーション技術を導入した熱対策、いわゆる熱設計を行うことで、開発期間の短縮や低コスト化が図られている。シミュレーションの結果は、入力値である熱物性値によって大きく左右されるため、精度の高い結果を得るためには、予め構成材料の熱物性値を的確に把握しておく必要がある。このため、熱物性評価技術の向上を図る。
広域周波数の電磁波に対応した材料特性及び製品評価技術の開発 MHzまでの低域での材料特性評価技術の向上および、ミリ波を用いた製品評価・材料特性評価技術の開発と確立を目指す。

平成24年度研究課題評価 事後評価課題概要

研究テーマ名 研究の概要
X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化 バイオプラスチックのブレンドやアロイを開発し、製品での使用に必要な物性向上を目指すこと、および、CAD上でのデータと成形体とを現物融合化した「デジタルものづくり」の方法を確立することで製品の信頼性が高まるように研究開発を行い、高品位なバイオプラスチック製品製造への支援体制を確立することを目的とする。
ナノ技術を応用した表面機能化に関する研究 気相法による自己組織化単分子膜(SAM:Self­assembled Monolayer)形成技術を実用化し、地元中小企業に技術普及することにより、名古屋発の独自製品を開発することを目的とする。
セラミックスの耐熱部品および耐摩耗部品への応用に関する研究 熱衝撃・熱疲労への耐性に優れ、加えて、容易に機械加工できるセラミックス、六方晶窒化ホウ素(h­BN)焼結体の製造技術を開発する。従来法よりも環境負荷を大幅に低減して低コストで製造する技術を確立する。本材料は、たとえば「熱処理・鋳造設備向けのセラミックス部材」としての利用が期待できる。

平成24年度研究課題事前評価表

研究テーマ名

内部評価 外部評価 当所の取り扱い
評点 評価 評点 評価 コメント
高機能性プラスチック材料の開発 16.8 B 19.8 B ・グループで総合討論によるパラダイムの構成が出来ると面白い。
・研究内容に具体的なターゲットを盛り込むと良い。
・目的とするバイオプラスチックを明確にして欲しい。期待する。
・事業化できる目標を明確にして進めて欲しい。
研究対象としてポリ乳酸などのバイオプラスチックを軸に開発を進め、事業化を目指す。
ナノ・マイクロ領域のマルチスケール表面処理技術に関する研究 21.3 A 18.0 B ・適用可能な分野の見極めが重要と思われる。
・従来からの成果をもとにしたさらなる積み上げの研究のため、実用化は十分期待できる。
・分子膜を機械要素に使うのは少し無理がある。
本技術が適用可能な分野を精査し、実用化に向けて研究を進めていく。

・評点は、1.当所の使命との適合性、2.研究目的の妥当性、3.研究内容の妥当性、4.研究実施体制の妥当性、5.成果の波及効果の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:計画通り実施可。 B:一部修正して実施可。 C:計画の変更を要する。 D:計画を保留し、内容を見直す。

平成24年度研究課題中間評価表

研究テーマ名

内部評価 外部評価 当所の取り扱い
評点 評価 評点 評価 コメント
電子制御機器の設計効率化の研究 13.8 B 15.7 B ・熱とノイズ対策を総合した対応についての検討が深まることを期待する。
・社会的な貢献が充分なされている。
・市工研にふさわしい研究である。
これまでの成果を活用して、企業の役に立つ技術開発を目指す。
燃料電池の開発と応用 16.3 A 16.0 A ・諸技術を体系的に整理、提示されることが望ましい。
・多数の成果があり、共同研究も十分である。これからの発展も期待できる。
・目標が分散している様に見える
これまで開発した評価技術や材料技術の体系化により、関連を明確にする。今後は次世代電池の開発を中心に研究を進める。
無機系排水からの有価金属回収 13.6 B 15.0 B ・金属の種類によるコストパフォーマンス的要素が入ると目的がはっきりする。
・計画通りに進んでいるようなので、より対象メタルを絞りこんで実用化を目指して欲しい。
・成果は十分評価できる。
・次のステップ、レアメタルの回収を期待したい。
・適用金属種類を増す前に、事業化時の回収リサイクルコスト、採算性を検討しておくべき。
事業化を念頭に、回収リサイクルコストや採算性に留意して対象メタルの選定を行う。
有機電子部材の開発 15.3 B 16.0 A ・電子伝導性のレベルアップが出来ると材料として飛躍的に発展出来る。
・大変有意義な研究課題と思われる。ただそれだけ競争の激しい分野なので、ターゲットを絞りこんで成果につなげて欲しい。
・研究対象物を中小企業が興味を持つ程度に具体的にすると良いと思う。内容的には期待する。
・開発技術の優位点を把握し、目標(用途、性能)を立案して進めて欲しい。
企業との共同研究を推進できるよう、特に中小企業に興味を持ってもらえるようターゲットを絞りつつ研究を進める。
難めっき素材への新しいめっき技術の開発 11.6 C 12.5 B ・目的とメカニズムをはっきり対応可能にすること。めっき目的のメリットをどう考えるかを明確にすること。
・面白い研究なので、問題点を解決して目的を達成して欲しい。
・ケブラーに対するネガティブインフォメーションは重要であるので、それを十分に生かした次のステップ(材料)に進んで欲しい。
・想定用途を考慮した開発をして欲しい。2つのテーマを狙うより、1つに絞ってやることを考えたらどうか。
めっきを行う目的とメリットを明確にする。目処がつき次第、1つのテーマに絞る。
新規可視光応答型光触媒の開発 12.8 B 13.3 B ・助触媒のメカニズムをはっきりさせて将来の発展につなげて欲しい。
・原理的な観点からも今後の研究方向を探って、良い成果につなげて欲しい。有望な研究テーマと思い、期待している。
・目標は良いと思うが、新しい光源に対応した可視光応答型光触媒を研究項目に追加するとより良くなる。
・達成目標(性能、価格)を明確にして進めて欲しい。
助触媒担持光触媒の性能向上のために、その光触媒メカニズムの解明を目指す。
可視光の中でも長波長側の光を用いる光触媒の開発を検討する。
熱物性評価技術の向上に関する研究 15.3 B 14.0 B ・モデル仮説の検討の深化を期待する。
・測定法の改良等の提言も考えてはどうか。
・現在の問題点が計画年度内で解決できるように期待する。
・分かりやすい評価方法にして欲しい。
シミュレーションによる測定結果の検証を進めるとともに、測定法の改良も視野に入れて、評価技術の向上を目指す。
広域周波数の電磁波に対応した材料特性及び製品評価技術の開発 15.6 B 13.0 B ・低域と高域での評価技術を分離して評価技術を確立した上で、両方を合わせた評価技術として検討した方が良いと感じる。
・目標が定まっていない様に見える。
1)低域での材料特性評価の精確度向上、2)高域(ミリ波)での製品・材料特性評価技術の確立という2課題の解決を通じて広帯域での電磁波計測技術を確立して、技術普及および実用化に努める。

・評点は、1.進捗状況、2.当初計画の妥当性、3.成果の見通し、問題点の明確化、4.計画の見直しの必要性の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:今後十分な研究成果が期待できる。 B:今後一定の研究成果が期待できる。 C:今後の見通しに問題があり、見直しが必要である。 D:研究の終了を検討すべきである。

平成24年度研究課題事後評価表

研究テーマ名

内部評価 外部評価 当所の取り扱い
評点 評価 評点 評価 コメント
X線CT3次元測定によるバイオプラスチック製品の高品位化 11.6 B 12.8 A ・均一分散アロイのメカニズムを明確にして方法論を指導するとよい。
・立派な成果をあげたと思う。これからの発展が楽しみである。
・単なるX線CT3D測定のみでなく、3Dプリンターとのサイクルを企業に提案し、成果の大きな「見える化」をすることを望む。
・成形技術向上に役立っている。今後、更に市工研の独自技術になるように発展させて欲しい。
平成24年度からの(独)産業技術総合研究所との共同研究を中心に、今後も依頼試験・研究の両面で研究成果と機器を活用する。
セラミックスの耐熱部品および耐摩耗部品への応用に関する研究 10.6 B 12.5 A ・B203のバインダーメカニズムを理論的に整理するともっと発展出来ると考える。
・長石を加えなくても高強度の焼結体ができた成果には感心させられた。
・成果は十分に評価できるので、製品化の例をアドバルーン的に「見せる化」すると新たな活用例も出てくるのでより好ましい。期待したい。
・開発品の製造コスト、性能を既存材料と定量的に数値化し、利点、欠点を把握し今後の活用を期待する。
開発品の性能を定量化するための評価を行い、製造コストを試算し、利点・欠点を明確化することで、製品化を目指す。加えて、製品例としての試作に取り組む。
ナノ技術を応用した表面機能化に関する研究 13.8 A 11.7 B ・よく用いられる技術であるので、市工研としての独自性が発揮できるとよいと思う。
・これからも成果の継続が期待できる。
・良い成果が出ている。実用化をもっと進めなければいけない。
中小企業との連携を深め、実用化に向けて本研究の応用と展開を進める。

・評点は、1.目標の達成度、2.達成された成果の意義、3.技術としての発展性の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、(A)目標を上回る十分な研究成果が得られた。 (B)目標を達成し、見込み通りの研究成果が得られた。
(C)目標を概ね達成し、一定の成果が得られた。 (D):十分な研究成果が得られなかった。