平成19年7月5日(木)に、平成19年度第1回研究課題評価委員会を開催し、平成18年度で終了した研究の事後評価、平成19年度より実施する研究の事前評価を行いましたので、その結果を公表します。 |
外部の学識者等8名(別添「名簿」のとおり。)から成る研究課題評価委員会において、当所の研究計画および研究成果を客観的に評価し、効果的・効率的な研究の実施、予算、人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに研究業務の透明性を高めることを目的とする。
平成19年7月5日(木)13時00分~16時30分
平成18年度で終了したコア技術に係る主要研究4件について下記3項目に関する事後評価を受けた。
平成19年度より実施するコア技術に係る主要研究1件について下記5項目に関する事前評価を受けた。
(1)事後評価
評価指標 | A | B | C |
工業研究所の内部評価 | 0件 | 4件 | 0件 |
評価委員会の評価 | 3件 | 1件 | 0件 |
A:十分な研究成果が得られている。
B:一定の研究成果が得られている。
C:十分な研究成果が得られていない。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)
(1)事前評価
評価指標 | A | B | C |
工業研究所の内部評価 | 0件 | 1件 | 0件 |
評価委員会の評価 | 1件 | 0件 | 0件 |
A:計画どおり実施する。
B:一部修正して実施する。
C:計画を変更して実施する。
★評価結果に対する当所の対応(別添「評価表」のとおり。)
(敬称略 順不同)
氏名 | 役職 |
沖 猛雄 | 名古屋大学 名誉教授 |
小野木克明 | 名古屋大学 大学院工学研究科長 工学部長 |
木本 博 | 中部大学 総合工学研究所 教授 |
末松良一 | 豊田工業高等専門学校 校長 名古屋大学 名誉教授 |
飯田昭夫 | いいだ特許事務所 所長 |
神谷昭司 | 株式会社三琇プレシジョン 代表取締役会長 |
萩原義昭 | 萩原電気株式会社 代表取締役社長 |
竹中 修 | 科学技術交流財団 知的クラスター創成事業本部 事業総括 |
研究テーマ名 | 研究の概要 |
セラミックスコーティング膜の研究開発 | (1)六価クロムフリー処理技術として利用できる耐食性皮膜作製のために化学溶液法を用いたコーティング溶液の開発を行う。本研究で用いる化学溶液法は、主としてセラミックの低温合成法として用いられている方法であるが、多種多様な形状の大面積の表面に対して、サブミクロンオーダーで均一なコーティング膜が作製できる省エネ的で安価な方法で、金属表面に耐食性をはじめとし、多種多様な高機能化を図ることができるため、クロメート処理の代替技術として産業化するのに非常に適している。 (2)粒子の分散化などによって機械的特性の向上を図りつつ、電解NiPめっきをベースとした浴においてパルスめっきなど電解条件や浴組成を検討することによって、新規の分散めっき皮膜を開発する。 |
プラスチック熱分解を利用したリサイクル技術に関する検討 | プラスチックの熱分解を利用したリサイクル技術の開発を行う。飛灰など有価金属を含有する廃棄物からの金属回収、ならびに廃プラスチックのケミカルリサイクルを想定し、混合・熱処理に関する基礎的検討ならびに熱処理後の試料からの金属回収特性の評価を行う。さらに、熱分解の過程で得られる多孔質性の残渣の付加価値化(機能性材料としての利用)についても併せて検討する。 |
燃料電池の材料開発および実用化技術開発 | 燃料電池の実用化を目指した材料開発を目的とする。特に電池技術で重要になる電解質材料と電極材料について産総研、企業と共同研究を実施することで新規な材料や製造方法を開発し、中温型燃料電池や携帯型燃料電池の実用化を推進する。さらに材料開発を受けて実用化技術を実施する。特に今後ニーズが増加すると思われる小型電気機器への搭載は主目標となる。そこで材料開発から電池特性評価までが可能である当所の技術を活かし、実用化技術の開発として電池システムや電気機器への搭載が可能な電池の開発を行う。 |
泡沫分離法に関する研究開発 | 非イオン性界面活性剤などを用いた泡沫分離法を中心とする有機溶媒レスの要素技術の複合化、および実サンプルへの適用などを総合的に検討し、プロセスの最適化を目指す。また、この分離技術の適用範囲は、有価金属回収に留まらず、有害物の除去、稀少資源回収や微量分析技術への展開も期待される。 |
研究テーマ名 | 研究の概要 |
セラミックスの耐熱部品および耐摩耗部品への応用に関する研究 | 耐熱性に優れるだけではなく容易に機械加工できるセラミックス(いわゆるマシナブルセラミックス)の製造技術を開発する。従来法よりも環境負荷を大幅に削減して低コストで製造する技術を確立する。マシナブルセラミックスはたとえば「熱処理・鋳造設備向けのセラミックス部材」としての利用が期待できる。 |
研究テーマ名 |
内部評価 | 外部評価 | 当所の取り扱い | |||
評点 | 評価 | 評点 | 評価 | コメント | ||
セラミックスコーティング膜の研究開発 | 7.5 | B | 7.7 | A | ・液の安定性も充分に確認すること。 ・Znめっき、クロメート皮膜との比較は、96hrでなく、240hr、480hr、さらに限界まで実施して欲しい。 ・充分な成果をあげていると感心した。皮膜の構造設計ができるようになると実用化も見えてくるように思う。 ・実用化フェーズでは、さらに多くの問題が発生することを前提にユーザーと一緒になって、実用化研究をねばり強く、続けて欲しい。 ・水系シリカコーティングについては、現実の使用環境を想定し、多様な評価のもとで検討することが必要である。 ・本研究の続行を期待する。 ・実用化へのノウハウの蓄積と中小企業が容易に実施できるレベルへの努力を期待する。 |
当所などが委託を受けて取り組んでいる戦略的基盤技術高度化支援事業「次世代防錆めっきシステムの開発」においても、セラミックスコーティングの実用化研究を実施しているところであり、今後も受託研究や共同研究などにより適用分野の開拓および実用化を図る。 |
プラスチック熱分解を利用したリサイクル技術に関する検討 | 6.1 | B | 6.8 | B | ・この組み合せが最適か、バランスしているかをチェックすること。 ・廃材は多くの添加剤を含むので、それらの影響もチェックすること。 ・コスト計算の精度を上げて、再計算して欲しい。 ・事業化できればおもしろい。事業化に向けて良いパートナー(企業)をみつけることを期待する。 ・着想は面白いが対象が限られている。 ・コスト的に見合う条件を明確にしておくことも必要である ・資源回収技術としてさらなる発展が期待される。 ・実用化に向けてさらに(研究を)継続するか、ユーザーと議論すること。 |
本研究によって得られた、金属回収ならびに活性炭の製造手法が適用可能な企業や業界団体との共同研究などにより、技術移転をめざす。 |
燃料電池の材料開発および実用化技術開発 | 7.2 | B | 8.1 | A | ・非常にレベルの高い研究で、今後の発展が楽しみである。企業との共同研究をより活用されるとよいと思う。 ・ニッチを狙う(focus)ことは、良いこと。 ・密なコラボ(共同研究)を期待する。 ・実用化を期待する。 ・知財戦略がどうなっているか気になる(他社との違い、ベンチマーク)。 ・研究担当者を増やす体制の強化が必要である。 ・地道な研究が実を結びつつあると思われる。 ・ターゲットが明確である。 ・中小企業の経営で大切なことは、一点集中主義と云われている。燃料電池の世界はかなり大きなものと考えられるので、一匹のうさぎを徹底的に追いつめることが大事と考えられる。資金の集中のためにも一点集中主義は、必要である。 ・より低温型の開発が理論的思考も含めて期待される。 |
今年度からの研究テーマにこれまでの成果を取り入れ、企業および大学との共同研究を充実させながら知財や技術開発に戦略的に取り組む。 |
泡沫分離法に関する研究開発 | 5.9 | B | 7.7 | A | ・成果に希望が持てる。 ・大変興味ある成果である。今後の展開が楽しみである。 ・切に特許出願をして欲しい。 ・産業界に使ってもらうために、企業と共同で実用化まで持っていく価値がある。 ・研究だけで満足しないこと。 ・典型的な化学工学の問題である。操作そのものは簡単であり実用的な方法である。 ・金を更に効率よく回収すること。 ・銀及びレアメタルを対象に入れていくこと。 ・回収された物の価格が高いものをねらっていく事は、事業化につながり易いことに注目すべきである。 |
当所オリジナルの向流接触型泡沫分離法を用いて、希少元素の分離濃縮への展開を図る。 |
・評点は、1.研究の達成度、2.達成された成果の意義、3.技術としての発展性の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:十分な研究成果が得られている。 B:一定の研究成果が得られている。 C:十分な研究成果が得られていない。
研究テーマ名 |
内部評価 | 外部評価 | 当所の取り扱い | |||
評点 | 評価 | 評点 | 評価 | コメント | ||
セラミックスの耐熱部品および耐摩耗部品への応用に関する研究 | 8.6 | B | 11.9 | A | ・社会ニーズを具体化し、研究目的を実問題に照らしてより明確化しておくことが望ましい。 ・具体的な用途を想定して研究を進めると良い成果につながることが期待される。 ・ニーズ(目標の定量化)の明確化と、材料設計の考え方が必要である。 ・市工研の強みと産総研のシーズ(強み)との組み合わせで共同研究の役割分担がポイントである。 ・特許出願も考えること。 ・ち密さと加工性の両立に考え方(材料設計の考え方)が必要である。 |
ニーズ調査等で早期により具体的な用途を見出していく。材料設計的考え方を取り入れつつ、工研の独自技術を活用することで研究を進展させる。また、できるだけ早い時期の特許出願を目指す。 |
・評点は、1.当所の使命との適合性、2.研究目的の妥当性、3.研究内容の妥当性、4.研究実施体制の妥当性、5.成果の波及効果の各項目(5点満点)における、評価委員の平均点の合計
・評価は、A:計画どおり実施する。 B:一部修正して実施する。 C:計画を変更して実施する。