令和4年度 機関運営会議(研究課題)
重点事業および指定研究に関する意見聴取について
令和5年1月12日(木)に、令和4年度機関運営会議(研究課題)を開催し、令和4年度で終了する重点事業の事後報告(1件)、令和5年度から実施する重点事業の事前説明(1件)、令和5年度から実施する指定研究の事前説明(2件)を行いました。
1 目的
機関運営会議は、外部の学識者等6名から構成されており、当所の研究計画や研究成果等について客観的な立場からご意見をいただき、効果的・効率的な研究の実施や予算・人員等の重点的・効率的配分に反映させるとともに、研究業務の透明性を高めることを目的としています。
2 開催日時
令和5年1月12日(木) 14時00分〜16時30分
3 会議内容と当所の対応
機関運営会議においては、主担当者のプレゼンテーションに対して有意義なご意見を頂きました。
以下に、構成員からのコメントのまとめおよび当所としての対応方針を示します。
1) 重点事業「非破壊測定技術の高度化(R3〜R4)」(事後報告)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 公設試に設置される高価な装置として、稼働率が高く、企業支援に十分寄与できている。複数の技術者で多くの試験依頼に対応することになるため、データの評価やそれに基づくアドバイスなども含め、組織内の技術水準の維持向上に努めてほしい。
- X線CTでの形状評価という新規分野において、独自アイデアやノウハウの蓄積が、依頼試験に対して迅速かつ正確な測定結果を提示するために重要である。データ評価手法の知見を深めるとともに、多次元マッピングなどの手法も取り入れて更なる効率化を進めると良い。
- 企業から見てどのような時に今回の装置が活用できるのかなど、具体的な事例を示すことが企業の新規利用にも繋がる。得られたデータをどう解析し、製品開発にどう活かすかということも重要である。講演会やウェビナーなど、それらの情報発信を一層強化することを期待する。
当所としての今後の対応
- 担当者間での情報共有や技術の相互習得の機会を多く設け、知見を深めるための検討や議論を進めることで、技術レベルの保持および上昇を目指します。
- 本分野における測定技術や知見を継続して蓄積するとともに、取得データの評価検証においては実際の製品評価段階を意識した取り組みを進めます。検証結果を踏まえたデータベースやマップ作成などにより、迅速に企業からの依頼に応えられる体制を構築します。
- 講演会やWebなど様々な媒体を通じて、具体的な活用事例や研究成果の発信に努め、より多くの企業への技術支援につなげます。
2) 重点事業「熱励起による非破壊検査手法の確立 (R5〜R6)」(事前説明)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 新たに導入する赤外線非破壊検査装置とこれまで導入した非破壊検査装置との特徴の違いを企業にわかりやすく広報して、企業支援に活かしていってほしい。
- 新たな手法を既存の手法と連携させることに新規性があり、中小企業の開発を支援するミッションがある公設試のテーマとして妥当性がある。
- 速やかに測定・評価技術を習得し、定性評価の段階から定量評価が可能になるように研究を発展させてほしい。
当所としての今後の対応
- 異種材料の接合部における欠陥の評価など得意とする検査対象および装置の原理について、講演会や見学会などで企業にわかりやすく広報し、活用の促進に努めます。
- X線CTや超音波探傷器との新規な連携により対応可能なニーズを増やし、非破壊検査に関する中小企業への技術支援の強化を図ります。
- 研究を通してフラッシュランプなどの熱励起の方法や励起条件に関する知見を蓄積し、検査感度の向上や結果の定量評価などの検討を進めます。
3) 指定研究「ロボットアームを活用した外観検査システムの撮影環境構築 (R5)」(事前説明)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 撮影環境を構築するより良い手法がないか検討して、再構築手法の確立を進めてほしい。
- AIを用いた検査は期待も大きく需要も拡大していくので、研究の課題・成果物を明確にして企業に活用されることを望む。
- 検査対象の事例や研究の成果が企業に与えるインパクトを分かりやすくPRすると良い。
当所としての今後の対応
- 学会や論文等で技術情報の収集に努め、AIの検査精度向上につながる、より良い手法を取り入れられるようにします。
- 電子基板の実装部品検査を事例として、撮影環境の再構築がAIを用いた検査に与える影響を検証し、得られた知見を企業支援へ活用できるように進めます。
- 企業が活用するメリットを明確にし、検証事例に基づいてPRできるよう成果をまとめていきます。
4) 指定研究「廃電子機器リサイクルのための分液技術に関する研究 (R5)」(事前説明)
機関運営会議におけるコメントまとめ
- 廃電子基板の価値を貴金属含有量の観点から分析評価するという課題はSDGsの視点から見ても重要な技術となり得る。
- 各種基板や基板毎の差を調べるなどデータの蓄積が重要である。また、現行方法や他機関との比較を行い、最終的には回収率向上、低コスト化につながる研究にしてほしい。
- 企業に対してどのような波及効果があるのかを明らかにし、企業から活用される技術になってほしい。
当所としての今後の対応
- 廃電子基板等に含まれる金、銀、銅などの有価物をより正確に評価するための分析評価技術の開発に取り組み、企業に活用される技術の確立を目指します。
- 融剤の種類や処理温度などの溶融条件を検討し、分析データの蓄積に努めるとともに、現行の方法に対して回収率の向上や低コスト化につながるよう研究を進めます。
- 分析技術の開発にとどまらず、金属資源の循環経済への寄与を目指し、学会等における研究発表の機会を活用するなど技術の広報に努めます。
構成員名簿
令和4年度 名古屋市工業研究所機関運営会議(研究課題)構成員名簿
(敬称略 順不同)
氏名 |
役職 |
宮ア 誠一 |
名古屋大学 大学院 工学研究科長・工学部長 電子工学専攻 教授 |
渡辺 義見 |
名古屋工業大学 大学院 工学研究科 工学専攻(物理工学領域) 教授 |
坂 直樹 |
経済産業省 中部経済産業局 地域経済部 産業技術課長 |
多田 周二 |
産業技術総合研究所 中部センター 所長代理 |
旭野 欣也 |
シヤチハタ株式会社 研究開発部 部長 |
柘植 良男 |
株式会社中央製作所 取締役 経営企画室長 |